鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

吉良龍美

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鬼畜オオカミと蜂蜜ハニー

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 鈴は祖母の霊感体質に似たようで、こうして直人と話す事が出来る。
『里桜が怒ってるみたいだよ?』
「にいにはいっつもプンプンしてるもん」
 鈴が縁の下に潜り込んで泣いていた。
『里桜が嫌い?』
「…しゅき」
 鈴の頭を撫でた直人が、微笑んだ。
『君達は不思議だね』
「?」
『魂の双子って事だよ。産まれて来る前にはひとつだった魂が、二つに分かれるんだ。きっと辛い事があったのかな』
「…もう行っちゃうの?」
 直人は悲しそうに鈴の頬を撫でる。
『来世でまた逢えるといいね』
「とーちゃ」
 ぽろりと涙がまた零れる。鈴の横で腹ばいになっていた大きな狼が直人を見詰めていた。なんだか可笑しな光景だ。
『そこの子はきっと君を見守ってくれる筈だから、鈴』
「わんちゃん?」
 隣にくっついていた狼が鈴の涙をぺろりと舐める。狼…ジンは碧い双眸を鈴に向けていた。頬を摺り寄せている。鈴はくすぐったがりながら、直人の気配が無くなっている事に気付いた。
「とーちゃ、やあの、ふぇ~」
 ぼろぼろと泣きながら神社の縁の下から這い出て来る。砂で服が汚れていた。
「りんっ! みつけた!」
 里桜がホッとしながら鈴の顔を覗き込んだ。
「おかあさんがまってるぞ?」
「うん…。にいに、あのね?」
「ん?」
「だいしゅき」
 里桜がキョトンとして次に微笑んだ。
「おれもだいすき」
 里桜はその手を握り締めた。

 現代。
「すまないね、待たせて」
 小早川晴臣は、応接室で待つ宮根春彦と高橋剛に挨拶をする。二人はソファーから腰を上げた。薫が少し前に三人分のお茶を出してから、買い物へ行くからと出掛けている。
「お休みの処すみません」
 春彦がお辞儀をすると、晴臣に促されて剛とソファーに腰を下ろした。
「電話で云っていたが、訊きたい事とは?」
「はい、あの…先日先輩の見舞いに行ったんですが、あずさ先輩に会いまして…先輩の子供を妊娠していると聞かされたんですが」
 晴臣は苦しげに息を吐くと、お茶をひと口含んだ。玉露の甘みが喉の渇きを癒やしてくれる。が、晴臣は喉に小骨が刺さった様な不快感でこの処気落ちしていた。
「前に大学で精子を凍結する話が出て、確か先輩はその日体調不良で参加しなかった筈なんです」
「え? じゃあ、あの女嘘ついてんのか!?」
「妊娠は嘘じゃないと思うけど」
「どういう事だ? あの女は違う奴の子供を妊娠しておいて、隼人…、あいつを騙して『あなたの子供だ』とかぬかしてんのか?」
 云いながら剛が首を傾げる。もしそうなら許せない。
「剛君」
「は、はい」
「宮根君、だったね。薫さんには云わないで貰えるかい? 出産を控えているから、心配は掛けたくはないんだが」
「はい。それは大丈夫です。な、剛」
 隣に居る剛にも共犯者になれと促す。
「おう、大丈夫だ」
 晴臣は苦笑し、直ぐに真顔になった。
「夏に、合宿があっただろう? その時隼人から鈴君との事を告白されたんだ」
「「え!?」」
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