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第四章 将軍様一局願います!
第9話 駒に乗せた心
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折れた。
心が。
それはもう見事に。
「私は・・・・私は、ケイタに心は望まない。求めない」
それだけだった。
今までどんなに冷たい態度を取られても、どんなに酷い仕打ちを受けても、それでも耐え続けていたのに、そのたった一言で俺の心は簡単にバキリとへし折れた。
盗み聞きするつもりは無かったけど、怒鳴り合う声に眠っていた意識が呼び戻された。
それで、覚醒した瞬間に耳に入ってきたのが冒頭の台詞だ。
何を考えているのか、ずっと知りたいと思っていた。
バルギーの気持ちを、ずっと教えて欲しいと思っていた。
それを漸く聞けたんだ。
まさか、こんな形で聞くことになるとは思わなかったけど。
そっか。
そっか・・・・・。
俺の心は不要なのか。
それがバルギーの望みか。
本当に、体だけだったのか。
バルギーが俺に望むのは抱き人形として側にいる事だけで、俺の心は余計だったらしい。
あぁ、そうそう。
言われてたわ。
余計な事は考えるなって。
そうか、本当に。
本当に余計だったのか。
そうか・・・。
ははは・・・・・・・・・・きっつ。
バルギーとの関係を諦めたくなくて、今まで必死にしがみついてきた。
どんなに拒絶されても、いつかまた必ず以前と同じように穏やかに笑い合える日が来ると信じて、振り落とされないように一生懸命しがみ続けた。
理解しあって、向き合えると信じて。
だけど。
見事に振り払われてしまった。
バルギーの言葉はあまりにも威力が強すぎて、掴み続けられなかった。
掴み続けるには、もう力が残ってなくって。
馬っ鹿みてぇ。
意地になって、存在しもしない希望に縋り付いてたんだ。
ただただ虚しいだけじゃねぇか。
胸に空いてた小さな穴は、今やどデカい風穴だ。
暖かかったものが全部零れ落ちて、冷たい風が通り抜けるだけ。
痛くて、寒くて、辛くて。
バルギーにまた手を伸ばすなんて事、とてもじゃ無いけど怖くてできそうに無かった。
バルギーと顔を合わせる勇気がもう無くて、俺は目を開けずに寝たフリをした。
聞こえてくる怒鳴り声は、バルギーとカディ。
最初は聞き分けるのが難しいと思っていた2人の声だけど、いつの間にかはっきりと区別つくようになっていた。
目を閉じてても、どちらが喋っているか分かる。
カディは柔らかさのある優しい低音で、バルギーは落ち着いた深みのある低音。
どちらも心地の良い声だと思っていた。
けど、その声が今は厳しく怒鳴りあっている。
それが悲しかった。
だけど、それよりもさっきのバルギーの台詞の方がずっと頭の中で木霊し続けていて、バルギーたちの怒鳴り合う内容まではあまり頭には入ってこなかった。
思い出したくないと思うのに、心は要らないというバルギーの言葉が頭の中で勝手に何度も再生される。
その度に、心がズタズタに切り裂かれる。
まるでシュレッダーにかけられたみたいに、復元できないほど細かく切り刻まれた気がした。
俺の心は紙屑みたいに粉々にされてゴミ箱に捨てられたんだ。
なんで、俺は今まであんなに必死にバルギーに縋ってたんだろ。
バルギーの何を信じていたんだろ。
バルギーに対して抱いていた希望とか期待とか。
何を原動力にして、あんなに強く信じ続けられたのか。
心を細切れにされすぎて、なんかもう自分でも自分の気持ちが分かんなくなっちった。
でも、一つだけはっきりしている事がある。
俺は。
もう。
ここに居たくない。
しばらくして、バルギーとカディは怒鳴り合い険悪な雰囲気のまま部屋を出て行った。
2人の気配が扉から離れていくのを感じて、俺はようやく息を吐き出せた。
吐き出して初めて、自分が息を止めていたことを知る。
ゆっくりと瞼を上げれば、顔のすぐ側にエリーが佇んでいた。
俺が起きたことに気付いて、そっと労るように小さな手が優しく頬を撫でてくれた。
「ありがと、エリー・・・」
その手の優しさに、少しだけ心の痛みがやわらいだ。
そういえば、起きる直前何だか変な夢を見ていた気がするな。
はっきりとは覚えていないけど、安全な場所だったのは覚えている。
それを思いだしたら無性に夢の中に戻りたい衝動に駆られて、俺は開けたばかりの瞼をすぐにまた落とした。
もう色々と考えるのが面倒だった。
今はまだ、この胸の痛みをちゃんと処理できそうにない。
バルギーの言葉を思い出すだけで、胸が痛くて痛くて痛くて・・・。
とにかく此処から逃げたい一心で、意識を無理矢理沈めた。
部屋から逃げることが出来ない代わりに、せめて夢の中に逃げようと思って。
この世界に来て一番悲しくて、寂しいと感じる夜だった。
でも、どんなに辛くても朝はいつも通り来るもので。
もう2度と起きたくねぇと思っていたのに、朝日の明るさに嫌でも意識を呼び起こされた。
静かな室内、ボサボサ頭のままボンヤリとベッドに座っている。
一晩寝たら少しは気持ちが落ち着くかと思ったけど、全然そんな事は無かった。
起きた瞬間に思い出したのは、やっぱり昨日のバルギーの言葉だった。
窓からは昇ったばかりの新鮮な日の光が入ってきてて、部屋は朝特有の爽やかさに満たされているというのに、俺の気持ちは底無し沼にズブズブ沈むみたいに暗くてネガティブな方へと引っ張られてる。
駄目だ・・・・ずっと胸が痛くて悲しい。
こんな思い今まで経験したことが無かったから、折れた心の痛みや悲しみをどう処理すれば良いのかが分からない。
そうやって気持ちの整理がつかないまま、一緒に起きたエリーを撫でている時だった。
キィと木材が軋む音と共に扉が開いた。
バルギーが来た。
そう思った瞬間、開いた扉から咄嗟に目を逸らしてしまった。
バルギーの姿を見ることが出来なかった。
向き合う事が怖くて。
それでも、確実に室内に人が入ってきた気配を感じ取って、心臓がエンジンをかけたみたいにバクバクと暴れ始める。
まるで全身が脈打っているみたいに、鼓動が身体中に響き渡っている。
高まる緊張に、無意識に呼吸が浅くなる。
起きている俺に気付いたみたいで、大柄な気配が足早にこちらに向かってきた。
「ケイタ、起きたかっ・・・・」
何やら安堵を滲ませたような声だったけど、近づいてくるバルギーに俺の体は硬直した。
ベッドの直ぐ側に立った、慣れた気配。
俺が顔を上げるのを待っているような雰囲気を感じたけど。
無理だった。
怖くて、バルギーに顔を向けられない。
今、どんな目で俺を見てる?
いつもみたいに、あの冷たい感情の読めない目?
バルギーの気持ちを知ってしまった今、何を考えているのか分からないと思っていたあの目は強い意味を持った。
あれは、本当に人じゃなくて物を見る目だったんだ。
俺に人としての意思は必要とされていなかった。
ただ、好きな時に好きなように遊べる玩具。
良くて、ペットか。
可愛がりたい時に、自分が楽しめる方法で可愛がれるペット。
「ケイタ?」
いつまでも顔を上げない俺に焦れたのか、バルギーの手が顔の前にスッと差し出された。
俺の顔に触ろうとしたのか分からないけど、突然視界に入ってきた大きな手に俺は驚いてしまった。
それで、思わず体が勝手に動いた。
まるでバネが弾け飛ぶように、差し出された手から勢いよく距離を取ってしまったんだ。
絵に描いたような露骨な避け方だった。
まずい。
怒らせたかもしれない。
顔を合わせるのは怖かったけど、今のでどれ位機嫌を損ねたのか確認しないのも怖い気がして、恐る恐るバルギーの方へ視線をやれば。
茫然とした表情のバルギーと目が合った。
俺が避けた手をそのままに、バルギーが固まっている。
俺があんな避け方をするなんて考えてもいなかったって感じで、瞬きもせずに目を開いていた。
「あ・・・・・ごめ・・」
バルギーのその驚きの表情が、次の瞬間には怒りへと変わるんじゃないかと怖くなって、思わず逃げるように視線を外した。
何時もなら視線が合っても目を逸らすのは常にバルギーの方だったのに、初めて俺の方が先に視線を外した。
どうしよう。
怒ったかな。
怒ったよな。
バルギーを怒らせれば、それがどんな形で自分に返ってくるのかは、この部屋に閉じ込められてから嫌ってほど学んでいる。
いつあの大きな体がのし掛かってくるのか、俺は緊張に強張りながら、ただその時が来るのを待つことしかできなかった。
あぁ、嫌だ。
もうシたくない。
バルギーには玩具のように扱われたくない。
もう、俺の心はこれ以上耐えられないんだ。
張り裂けそうな胸の痛みを抱えながらバルギーの反応に怯えていたけど、予想に反してベッドに組み敷かれる事は無かった。
差し出されていた手が静かに引いていく。
「・・・すまない、驚かせたな。触らぬから安心しなさい・・・」
隣から聞こえてきたのは、酷く力の無い声だった。
バルギーが距離を取るように、ベッドから一歩離れた。
それを感じ取って、少しだけ体から力が抜けた。
力が抜けて、そして、自覚してしまった。
バルギーが離れて安心した事に。
それは、バルギーに対して持っていた信頼感が崩れてしまったという証。
安心感を感じていたはずのあの大きな手が、今や俺にとっては脅威へと変わってしまったという事実。
衝撃だった。
大切にしていた筈のものを、気が付かないうちに拒絶すべきものとして認識していた事が。
大事にしていた宝物はいつの間にか砕け散って、自分を傷つける鋭い破片へと変わってしまったのだ。
昨日のバルギーの言葉で、もうこれ以上傷つく事なんか無いと思っていたのに、俺は2回目の心の折れる音を聞いてしまった。
一回目はバルギーの言葉に、2回目は自分の中の大切な物が壊れていた事を自覚して。
「ケイタ・・・・・体調は?痛いところはないか?辛いところは?」
距離を取ったバルギーが、静かに聞いてくる。
「大丈夫」
もう顔を上げもせずに、それだけ答えた。
バルギーのこういう気遣うような態度が、決して優しさからでは無いことを知ってしまったから。
バルギーのこれは、ただの玩具の品質管理だ。
“俺”の事を思っての言葉じゃ無いんだ。
そう思うと、気遣わしげなバルギーの態度はとても俺を傷つけた。
優しくされればされるほど、それの本当の意味を思い知らされるから。
「ケイタ」
「大丈夫だから」
バルギーの声をこれ以上聞きたくなくて、同じ言葉を繰り返す。
「もう、大丈夫」
もう、期待しない。
そうして俺は、心の中でずっとバルギーに伸ばし続けていた手を静かに降ろした。
その後もバルギーは少ししつこい程に体調について聞いてきたけど、俺はただ大丈夫という返事だけを繰り返した。
同じことしか返さない俺に諦めたのか、バルギーは少ししてから小さな溜息を吐いて部屋を出て行った。
扉が閉まるその瞬間まで、俺はバルギーに視線を向ける事はできなかった。
バルギーが出て行った後は、酷く疲れた気がしてそのまま二度寝をした。
次に目が覚めたのは、太陽が完全に空の真上に昇った頃だった。
寝過ぎたせいか、まるで重石を背負ったような倦怠感が全身を包んでいる。
横になり続けているのもしんどくてエリーを抱きしめながらノッタリと窓辺に移動すれば、いつの間にか食事の用意がされていた。
『あー・・・寝てる間にバルギーが置いてったかな』
全然気が付かなかったな。
いつもよりも消化に良さそうな内容の食事と、星苺のジュース、それから栄養ドリンクくらいの小さめの陶器瓶が一つ置かれている。
『何これ』
瓶を持ち上げたら、下にメモが置かれてた。
【カディ***薬***後に****】
俺の描く芸術的な文字とは全く違う、お手本みたいな綺麗な字で何か書かれている。
だけど、俺は文字はまだ殆ど読めなくて飛び飛びでしか分からない。
理解できる単語から推測するに、多分カディの用意した薬で、食後に飲めって事?だと思う。
何の薬なのかは分からないけど、考えるのも面倒でとりあえず飲んでおく事にした。
バルギーの命令に抵抗しても意味がない事は知っているし、ここで拒否したところで必要であればきっとバルギーは無理矢理飲ませてくるだろう。
そんな目にあうくらいなら、自分でさっさと済ませた方が楽だ。
さほど食欲があるわけでもなかったから、とりあえず果物を一個だけ食べて、瓶の中身を一気に飲み干した。
薬は中々エキセントリックな味わいで、後味は最悪だった。
なるほど、星苺のジュースは口直し用ってことか。
薬の苦味と臭みを流すようにジュースを飲んで、香りの強めな果物も一口だけ齧った。
これでノルマは達成したから、もういいだろ。
やっぱり食欲は無くて、他の食べ物にはそれ以上手をつけなかった。
口を拭きながら、ふと皿の向こうに置いてあった戦盤の存在に気がついた。
食事を持ってきた時に動かしたんだろうな、何時もみたいに当たり前のようにバルギーの駒が動いている。
それを見て、胸の中が虚しさで満たされた。
バルギーとの会話のきっかけになれば良いと思っていた。
少しでもバルギーの心に近寄れる手段になればと。
毎日動く駒を見て、言葉は無くてもバルギーと向き合えている気がして嬉しかった。
盤上にバルギーの心が残っている気がして、それを見つけようと必死で続けてきた。
でも。
何の意味もなかったんだ。
結局、これもバルギーの気まぐれで続けて貰ってただけで、そこには俺が求めるような意味は何も無かった。
希望が詰まっていると信じて必死で開けようとしていた宝箱は空っぽだったんだ。
それに気づきもしないで縋っていた自分の滑稽さが悔しい。
続けてきた意味は何も無かった。
続ける意味ももう無い。
もう、やめよう。
まだ途中の局面だったけれど最早これに意味を見出せなくて、俺は茸の王様をそっと倒して対局を終わらせた。
『・・・・うっ』
自分で倒した駒を見ていたら、いきなり喉がヒクリと痙攣した。
まるでシャックリのように、俺の意思を無視してヒク、ヒクと喉が一定のリズムを刻んで跳ねている。
そのうちに、何でか鼻水も出てきて。
顔中がグチャグチャになって。
ようやく、自分が子供みたいに泣きじゃくっている事に気付いた。
泣いていると自覚すると、もう駄目だった。
我慢できなかった。
『う”ーっ!!』
例えそこにバルギーの心が無かったのだとしても、俺の心はちゃんとあったんだ。
俺はあの盤の上に、自分の大切な心を置いていたんだ。
それを、自分で倒してしまった。
バルギーの言葉に心をへし折られた時も、涙は出なかった。
大切なものを失ったと自覚して、自分で自分の心をへし折った時も涙は出なかった。
バルギーに初めて抱かれた時も、奴隷印をつけられた時も、部屋に閉じ込められた時も、目を合わせて貰えなくなった時も、会話して貰えなくなった時も、毎日ベッドの上で俺の意思を無視され続けた時も。
ずっと、ずっと、涙を流す事はしなかった。
どんなに辛くても、耐えていられた。
いつかはバルギーと分かり合えると信じていたから。
希望があったから。
だけどそれが無くなって、俺を支えるものが消えてしまった。
俺が倒した駒は。
俺の。
心だった。
抑え続けていた悲しみがとうとう溢れた。
色々と溜まり続けたストレスが、感情が、爆発する。
気持ちを抑えられなくて、俺は小さい子供と同じように癇癪を起こすように大泣きした。
『うっ、うえっ、あ”っ・・・・・・う”ぁーーーっ!!』
いい歳こいた大人の泣き方じゃないのは分かっている。
だけど、感情が暴走して制御できない。
錯乱と言っても良いような俺の突然の泣きざまに驚いたみたいで、エリーが俺の周りをオロオロと走り回っている。
エリーはしばらく狼狽えたように走った後、目の前の皿から小さな果物をいくつか持ってきては、俺の前に置いていった。
食えと言わんばかりに果物を差し出されて、俺はもう何だか分かんないまま泣きながらそれを口に放り込んだ。
口に放り込んで、泣きながら噛み砕いて飲み込む。
それでも涙は止まらなくて泣き続けてたら、エリーが今度は必死に俺の顔横までよじ登って来て、俺のベショベショの顔をいっぱい撫でてくれた。
エリーにあやされている。
『うえ”ぇ”ぇ”ぇ”ーーーっ』
エリーのその優しさが沁みて、余計に涙が溢れた。
我慢し続けていた気持ちが一気に表に出てきたせいで、収拾がつかない。
何をしても泣き止まない俺に困り果てたのか、とうとうエリーも一緒に泣くように俺の横でブルブルと震え始めてしまった。
そうやってしばらくビービー泣き続けていた時だった。
【ケイター、どうしたー】
【なんで吠えてるんだ?】
【腹が空いてるのか?】
【違うと思うけど・・・】
『う”っ、うぇっ、え”っ?えっ、ん?えぇ、うへぇぇっ?!』
突然の懐かしい声に、嗚咽が間抜けな驚きへと変わってしまった。
慌てて外を見れば、窓に張り付く3つの腹と、呆れたように首をふる小さな飛竜。
予想外の友達の登場に余りにも驚いて、頭の中が真っ白になった。
『えっ、えっ、あれっ、え?なんで皆居るんだ?』
【ちょっと早いけど、帰ってきたー!】
【色んなとこ行ってきたよ!】
【楽しかったぞ!】
【俺はちょっと疲れた】
驚く俺に、ダイル達が元気に答える。
【大きな泉でアリが人間と協力してデッカい魚を仕留めたんだ!】
【人間の狩りに乱入したんだ・・・】
【カイマンは黒い森の地竜と力比べして勝ったんだぞ!】
【いきなり喧嘩売るから驚いたぞ・・・】
【ダイルは人間の飼っているデカイ鳥と足の競い合いをした!】
【人間のものには手を出すなって言ったのに・・・】
ダイル達の言葉に、アントが疲れたように突っ込んでいく。
【魚美味かったな!】
【横どりされて人間は怒ってたな】
【地竜から勝ち取った獲物も美味かった!】
【獲物奪われて、あの地竜も怒ってたな】
【あのデカイ鳥から貰った卵も美味かった!】
【あれは盗んだって言うんだ。鳥も凄く怒ってたぞ】
地竜と飛竜の漫才のような掛け合いだ。
別れた時と何ら変わらない竜達のその明るさに、ちょっと力が抜けた。
力が抜けて、それから。
ちょっと笑ってしまった。
『ははは・・・』
【【【【ケイタ、ただいまー!!】】】】
止め方が分からなかった涙は、ダイル達の明るい騒々しさに見事に吹き飛ばされた。
心が。
それはもう見事に。
「私は・・・・私は、ケイタに心は望まない。求めない」
それだけだった。
今までどんなに冷たい態度を取られても、どんなに酷い仕打ちを受けても、それでも耐え続けていたのに、そのたった一言で俺の心は簡単にバキリとへし折れた。
盗み聞きするつもりは無かったけど、怒鳴り合う声に眠っていた意識が呼び戻された。
それで、覚醒した瞬間に耳に入ってきたのが冒頭の台詞だ。
何を考えているのか、ずっと知りたいと思っていた。
バルギーの気持ちを、ずっと教えて欲しいと思っていた。
それを漸く聞けたんだ。
まさか、こんな形で聞くことになるとは思わなかったけど。
そっか。
そっか・・・・・。
俺の心は不要なのか。
それがバルギーの望みか。
本当に、体だけだったのか。
バルギーが俺に望むのは抱き人形として側にいる事だけで、俺の心は余計だったらしい。
あぁ、そうそう。
言われてたわ。
余計な事は考えるなって。
そうか、本当に。
本当に余計だったのか。
そうか・・・。
ははは・・・・・・・・・・きっつ。
バルギーとの関係を諦めたくなくて、今まで必死にしがみついてきた。
どんなに拒絶されても、いつかまた必ず以前と同じように穏やかに笑い合える日が来ると信じて、振り落とされないように一生懸命しがみ続けた。
理解しあって、向き合えると信じて。
だけど。
見事に振り払われてしまった。
バルギーの言葉はあまりにも威力が強すぎて、掴み続けられなかった。
掴み続けるには、もう力が残ってなくって。
馬っ鹿みてぇ。
意地になって、存在しもしない希望に縋り付いてたんだ。
ただただ虚しいだけじゃねぇか。
胸に空いてた小さな穴は、今やどデカい風穴だ。
暖かかったものが全部零れ落ちて、冷たい風が通り抜けるだけ。
痛くて、寒くて、辛くて。
バルギーにまた手を伸ばすなんて事、とてもじゃ無いけど怖くてできそうに無かった。
バルギーと顔を合わせる勇気がもう無くて、俺は目を開けずに寝たフリをした。
聞こえてくる怒鳴り声は、バルギーとカディ。
最初は聞き分けるのが難しいと思っていた2人の声だけど、いつの間にかはっきりと区別つくようになっていた。
目を閉じてても、どちらが喋っているか分かる。
カディは柔らかさのある優しい低音で、バルギーは落ち着いた深みのある低音。
どちらも心地の良い声だと思っていた。
けど、その声が今は厳しく怒鳴りあっている。
それが悲しかった。
だけど、それよりもさっきのバルギーの台詞の方がずっと頭の中で木霊し続けていて、バルギーたちの怒鳴り合う内容まではあまり頭には入ってこなかった。
思い出したくないと思うのに、心は要らないというバルギーの言葉が頭の中で勝手に何度も再生される。
その度に、心がズタズタに切り裂かれる。
まるでシュレッダーにかけられたみたいに、復元できないほど細かく切り刻まれた気がした。
俺の心は紙屑みたいに粉々にされてゴミ箱に捨てられたんだ。
なんで、俺は今まであんなに必死にバルギーに縋ってたんだろ。
バルギーの何を信じていたんだろ。
バルギーに対して抱いていた希望とか期待とか。
何を原動力にして、あんなに強く信じ続けられたのか。
心を細切れにされすぎて、なんかもう自分でも自分の気持ちが分かんなくなっちった。
でも、一つだけはっきりしている事がある。
俺は。
もう。
ここに居たくない。
しばらくして、バルギーとカディは怒鳴り合い険悪な雰囲気のまま部屋を出て行った。
2人の気配が扉から離れていくのを感じて、俺はようやく息を吐き出せた。
吐き出して初めて、自分が息を止めていたことを知る。
ゆっくりと瞼を上げれば、顔のすぐ側にエリーが佇んでいた。
俺が起きたことに気付いて、そっと労るように小さな手が優しく頬を撫でてくれた。
「ありがと、エリー・・・」
その手の優しさに、少しだけ心の痛みがやわらいだ。
そういえば、起きる直前何だか変な夢を見ていた気がするな。
はっきりとは覚えていないけど、安全な場所だったのは覚えている。
それを思いだしたら無性に夢の中に戻りたい衝動に駆られて、俺は開けたばかりの瞼をすぐにまた落とした。
もう色々と考えるのが面倒だった。
今はまだ、この胸の痛みをちゃんと処理できそうにない。
バルギーの言葉を思い出すだけで、胸が痛くて痛くて痛くて・・・。
とにかく此処から逃げたい一心で、意識を無理矢理沈めた。
部屋から逃げることが出来ない代わりに、せめて夢の中に逃げようと思って。
この世界に来て一番悲しくて、寂しいと感じる夜だった。
でも、どんなに辛くても朝はいつも通り来るもので。
もう2度と起きたくねぇと思っていたのに、朝日の明るさに嫌でも意識を呼び起こされた。
静かな室内、ボサボサ頭のままボンヤリとベッドに座っている。
一晩寝たら少しは気持ちが落ち着くかと思ったけど、全然そんな事は無かった。
起きた瞬間に思い出したのは、やっぱり昨日のバルギーの言葉だった。
窓からは昇ったばかりの新鮮な日の光が入ってきてて、部屋は朝特有の爽やかさに満たされているというのに、俺の気持ちは底無し沼にズブズブ沈むみたいに暗くてネガティブな方へと引っ張られてる。
駄目だ・・・・ずっと胸が痛くて悲しい。
こんな思い今まで経験したことが無かったから、折れた心の痛みや悲しみをどう処理すれば良いのかが分からない。
そうやって気持ちの整理がつかないまま、一緒に起きたエリーを撫でている時だった。
キィと木材が軋む音と共に扉が開いた。
バルギーが来た。
そう思った瞬間、開いた扉から咄嗟に目を逸らしてしまった。
バルギーの姿を見ることが出来なかった。
向き合う事が怖くて。
それでも、確実に室内に人が入ってきた気配を感じ取って、心臓がエンジンをかけたみたいにバクバクと暴れ始める。
まるで全身が脈打っているみたいに、鼓動が身体中に響き渡っている。
高まる緊張に、無意識に呼吸が浅くなる。
起きている俺に気付いたみたいで、大柄な気配が足早にこちらに向かってきた。
「ケイタ、起きたかっ・・・・」
何やら安堵を滲ませたような声だったけど、近づいてくるバルギーに俺の体は硬直した。
ベッドの直ぐ側に立った、慣れた気配。
俺が顔を上げるのを待っているような雰囲気を感じたけど。
無理だった。
怖くて、バルギーに顔を向けられない。
今、どんな目で俺を見てる?
いつもみたいに、あの冷たい感情の読めない目?
バルギーの気持ちを知ってしまった今、何を考えているのか分からないと思っていたあの目は強い意味を持った。
あれは、本当に人じゃなくて物を見る目だったんだ。
俺に人としての意思は必要とされていなかった。
ただ、好きな時に好きなように遊べる玩具。
良くて、ペットか。
可愛がりたい時に、自分が楽しめる方法で可愛がれるペット。
「ケイタ?」
いつまでも顔を上げない俺に焦れたのか、バルギーの手が顔の前にスッと差し出された。
俺の顔に触ろうとしたのか分からないけど、突然視界に入ってきた大きな手に俺は驚いてしまった。
それで、思わず体が勝手に動いた。
まるでバネが弾け飛ぶように、差し出された手から勢いよく距離を取ってしまったんだ。
絵に描いたような露骨な避け方だった。
まずい。
怒らせたかもしれない。
顔を合わせるのは怖かったけど、今のでどれ位機嫌を損ねたのか確認しないのも怖い気がして、恐る恐るバルギーの方へ視線をやれば。
茫然とした表情のバルギーと目が合った。
俺が避けた手をそのままに、バルギーが固まっている。
俺があんな避け方をするなんて考えてもいなかったって感じで、瞬きもせずに目を開いていた。
「あ・・・・・ごめ・・」
バルギーのその驚きの表情が、次の瞬間には怒りへと変わるんじゃないかと怖くなって、思わず逃げるように視線を外した。
何時もなら視線が合っても目を逸らすのは常にバルギーの方だったのに、初めて俺の方が先に視線を外した。
どうしよう。
怒ったかな。
怒ったよな。
バルギーを怒らせれば、それがどんな形で自分に返ってくるのかは、この部屋に閉じ込められてから嫌ってほど学んでいる。
いつあの大きな体がのし掛かってくるのか、俺は緊張に強張りながら、ただその時が来るのを待つことしかできなかった。
あぁ、嫌だ。
もうシたくない。
バルギーには玩具のように扱われたくない。
もう、俺の心はこれ以上耐えられないんだ。
張り裂けそうな胸の痛みを抱えながらバルギーの反応に怯えていたけど、予想に反してベッドに組み敷かれる事は無かった。
差し出されていた手が静かに引いていく。
「・・・すまない、驚かせたな。触らぬから安心しなさい・・・」
隣から聞こえてきたのは、酷く力の無い声だった。
バルギーが距離を取るように、ベッドから一歩離れた。
それを感じ取って、少しだけ体から力が抜けた。
力が抜けて、そして、自覚してしまった。
バルギーが離れて安心した事に。
それは、バルギーに対して持っていた信頼感が崩れてしまったという証。
安心感を感じていたはずのあの大きな手が、今や俺にとっては脅威へと変わってしまったという事実。
衝撃だった。
大切にしていた筈のものを、気が付かないうちに拒絶すべきものとして認識していた事が。
大事にしていた宝物はいつの間にか砕け散って、自分を傷つける鋭い破片へと変わってしまったのだ。
昨日のバルギーの言葉で、もうこれ以上傷つく事なんか無いと思っていたのに、俺は2回目の心の折れる音を聞いてしまった。
一回目はバルギーの言葉に、2回目は自分の中の大切な物が壊れていた事を自覚して。
「ケイタ・・・・・体調は?痛いところはないか?辛いところは?」
距離を取ったバルギーが、静かに聞いてくる。
「大丈夫」
もう顔を上げもせずに、それだけ答えた。
バルギーのこういう気遣うような態度が、決して優しさからでは無いことを知ってしまったから。
バルギーのこれは、ただの玩具の品質管理だ。
“俺”の事を思っての言葉じゃ無いんだ。
そう思うと、気遣わしげなバルギーの態度はとても俺を傷つけた。
優しくされればされるほど、それの本当の意味を思い知らされるから。
「ケイタ」
「大丈夫だから」
バルギーの声をこれ以上聞きたくなくて、同じ言葉を繰り返す。
「もう、大丈夫」
もう、期待しない。
そうして俺は、心の中でずっとバルギーに伸ばし続けていた手を静かに降ろした。
その後もバルギーは少ししつこい程に体調について聞いてきたけど、俺はただ大丈夫という返事だけを繰り返した。
同じことしか返さない俺に諦めたのか、バルギーは少ししてから小さな溜息を吐いて部屋を出て行った。
扉が閉まるその瞬間まで、俺はバルギーに視線を向ける事はできなかった。
バルギーが出て行った後は、酷く疲れた気がしてそのまま二度寝をした。
次に目が覚めたのは、太陽が完全に空の真上に昇った頃だった。
寝過ぎたせいか、まるで重石を背負ったような倦怠感が全身を包んでいる。
横になり続けているのもしんどくてエリーを抱きしめながらノッタリと窓辺に移動すれば、いつの間にか食事の用意がされていた。
『あー・・・寝てる間にバルギーが置いてったかな』
全然気が付かなかったな。
いつもよりも消化に良さそうな内容の食事と、星苺のジュース、それから栄養ドリンクくらいの小さめの陶器瓶が一つ置かれている。
『何これ』
瓶を持ち上げたら、下にメモが置かれてた。
【カディ***薬***後に****】
俺の描く芸術的な文字とは全く違う、お手本みたいな綺麗な字で何か書かれている。
だけど、俺は文字はまだ殆ど読めなくて飛び飛びでしか分からない。
理解できる単語から推測するに、多分カディの用意した薬で、食後に飲めって事?だと思う。
何の薬なのかは分からないけど、考えるのも面倒でとりあえず飲んでおく事にした。
バルギーの命令に抵抗しても意味がない事は知っているし、ここで拒否したところで必要であればきっとバルギーは無理矢理飲ませてくるだろう。
そんな目にあうくらいなら、自分でさっさと済ませた方が楽だ。
さほど食欲があるわけでもなかったから、とりあえず果物を一個だけ食べて、瓶の中身を一気に飲み干した。
薬は中々エキセントリックな味わいで、後味は最悪だった。
なるほど、星苺のジュースは口直し用ってことか。
薬の苦味と臭みを流すようにジュースを飲んで、香りの強めな果物も一口だけ齧った。
これでノルマは達成したから、もういいだろ。
やっぱり食欲は無くて、他の食べ物にはそれ以上手をつけなかった。
口を拭きながら、ふと皿の向こうに置いてあった戦盤の存在に気がついた。
食事を持ってきた時に動かしたんだろうな、何時もみたいに当たり前のようにバルギーの駒が動いている。
それを見て、胸の中が虚しさで満たされた。
バルギーとの会話のきっかけになれば良いと思っていた。
少しでもバルギーの心に近寄れる手段になればと。
毎日動く駒を見て、言葉は無くてもバルギーと向き合えている気がして嬉しかった。
盤上にバルギーの心が残っている気がして、それを見つけようと必死で続けてきた。
でも。
何の意味もなかったんだ。
結局、これもバルギーの気まぐれで続けて貰ってただけで、そこには俺が求めるような意味は何も無かった。
希望が詰まっていると信じて必死で開けようとしていた宝箱は空っぽだったんだ。
それに気づきもしないで縋っていた自分の滑稽さが悔しい。
続けてきた意味は何も無かった。
続ける意味ももう無い。
もう、やめよう。
まだ途中の局面だったけれど最早これに意味を見出せなくて、俺は茸の王様をそっと倒して対局を終わらせた。
『・・・・うっ』
自分で倒した駒を見ていたら、いきなり喉がヒクリと痙攣した。
まるでシャックリのように、俺の意思を無視してヒク、ヒクと喉が一定のリズムを刻んで跳ねている。
そのうちに、何でか鼻水も出てきて。
顔中がグチャグチャになって。
ようやく、自分が子供みたいに泣きじゃくっている事に気付いた。
泣いていると自覚すると、もう駄目だった。
我慢できなかった。
『う”ーっ!!』
例えそこにバルギーの心が無かったのだとしても、俺の心はちゃんとあったんだ。
俺はあの盤の上に、自分の大切な心を置いていたんだ。
それを、自分で倒してしまった。
バルギーの言葉に心をへし折られた時も、涙は出なかった。
大切なものを失ったと自覚して、自分で自分の心をへし折った時も涙は出なかった。
バルギーに初めて抱かれた時も、奴隷印をつけられた時も、部屋に閉じ込められた時も、目を合わせて貰えなくなった時も、会話して貰えなくなった時も、毎日ベッドの上で俺の意思を無視され続けた時も。
ずっと、ずっと、涙を流す事はしなかった。
どんなに辛くても、耐えていられた。
いつかはバルギーと分かり合えると信じていたから。
希望があったから。
だけどそれが無くなって、俺を支えるものが消えてしまった。
俺が倒した駒は。
俺の。
心だった。
抑え続けていた悲しみがとうとう溢れた。
色々と溜まり続けたストレスが、感情が、爆発する。
気持ちを抑えられなくて、俺は小さい子供と同じように癇癪を起こすように大泣きした。
『うっ、うえっ、あ”っ・・・・・・う”ぁーーーっ!!』
いい歳こいた大人の泣き方じゃないのは分かっている。
だけど、感情が暴走して制御できない。
錯乱と言っても良いような俺の突然の泣きざまに驚いたみたいで、エリーが俺の周りをオロオロと走り回っている。
エリーはしばらく狼狽えたように走った後、目の前の皿から小さな果物をいくつか持ってきては、俺の前に置いていった。
食えと言わんばかりに果物を差し出されて、俺はもう何だか分かんないまま泣きながらそれを口に放り込んだ。
口に放り込んで、泣きながら噛み砕いて飲み込む。
それでも涙は止まらなくて泣き続けてたら、エリーが今度は必死に俺の顔横までよじ登って来て、俺のベショベショの顔をいっぱい撫でてくれた。
エリーにあやされている。
『うえ”ぇ”ぇ”ぇ”ーーーっ』
エリーのその優しさが沁みて、余計に涙が溢れた。
我慢し続けていた気持ちが一気に表に出てきたせいで、収拾がつかない。
何をしても泣き止まない俺に困り果てたのか、とうとうエリーも一緒に泣くように俺の横でブルブルと震え始めてしまった。
そうやってしばらくビービー泣き続けていた時だった。
【ケイター、どうしたー】
【なんで吠えてるんだ?】
【腹が空いてるのか?】
【違うと思うけど・・・】
『う”っ、うぇっ、え”っ?えっ、ん?えぇ、うへぇぇっ?!』
突然の懐かしい声に、嗚咽が間抜けな驚きへと変わってしまった。
慌てて外を見れば、窓に張り付く3つの腹と、呆れたように首をふる小さな飛竜。
予想外の友達の登場に余りにも驚いて、頭の中が真っ白になった。
『えっ、えっ、あれっ、え?なんで皆居るんだ?』
【ちょっと早いけど、帰ってきたー!】
【色んなとこ行ってきたよ!】
【楽しかったぞ!】
【俺はちょっと疲れた】
驚く俺に、ダイル達が元気に答える。
【大きな泉でアリが人間と協力してデッカい魚を仕留めたんだ!】
【人間の狩りに乱入したんだ・・・】
【カイマンは黒い森の地竜と力比べして勝ったんだぞ!】
【いきなり喧嘩売るから驚いたぞ・・・】
【ダイルは人間の飼っているデカイ鳥と足の競い合いをした!】
【人間のものには手を出すなって言ったのに・・・】
ダイル達の言葉に、アントが疲れたように突っ込んでいく。
【魚美味かったな!】
【横どりされて人間は怒ってたな】
【地竜から勝ち取った獲物も美味かった!】
【獲物奪われて、あの地竜も怒ってたな】
【あのデカイ鳥から貰った卵も美味かった!】
【あれは盗んだって言うんだ。鳥も凄く怒ってたぞ】
地竜と飛竜の漫才のような掛け合いだ。
別れた時と何ら変わらない竜達のその明るさに、ちょっと力が抜けた。
力が抜けて、それから。
ちょっと笑ってしまった。
『ははは・・・』
【【【【ケイタ、ただいまー!!】】】】
止め方が分からなかった涙は、ダイル達の明るい騒々しさに見事に吹き飛ばされた。
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