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第七話 皇宮
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第七話 皇宮
「……いや、皇宮って聞いたからさ、僕もある程度凄そうな所なんだなぁって覚悟してたけどさ
ここまでは聞いてないよ?」
この世全ての美が集められているような皇宮の荘厳な内装の部屋にて、白然は一人呟いた。
○●○
連絡が来た翌日、真珠宮に宮廷の武官約30名以上が訪れて来た。
龍丹から迎えが来るとは聞いてはいたものの、想像以上に規模が大きい迎えが来てくれたようだ。
「お待たせいたしました、白然様。もう既に説明を受けているとは思いますが、この毒殺騒ぎが収まるまでの間は皇宮に暮らしていただきます。」
「………コク。」
昨日のうちに説明やら面倒な手続きやらは龍丹がやってくれたので、このまま皇宮に行けるとの事だった。
こういう時、彼の手際の早さは非常に役立っていた。
従属達もこの期間限定で皇宮勤務となっていたため、早速後宮の正面口へと向かっていった。
流石に武官30名で囲まれながらの移動となると、迫力は十二分にあった。
下級妃や中級妃たちがこの軍勢と間違われてもおかしくない集団を見て、気圧されていた。
後宮の門をくぐると、贅沢な事に馬車が複数台用意されていた。
久々の外の空気を味わいたい事だが、そう呑気なことを言ってられる状況じゃあないようで、武官達はかなりピリピリした様子で護衛をしていた。
白然達も馬車へと乗って、皇宮へと向かった………
そして、4日たつ現在へと至っている。
そのなんとも目が眩みそうな内装の部屋に、白然は本当に目が眩んでいた。
(どれもこれも、一級品だらけじゃないか。銀が一体どれくらい吹き飛ぶのだろう……。)
後宮の真珠宮も十分目が飛び出るほどの代物だが、皇宮となると次元が違う。
この世の頂点とその親族のみが住むことが許されるただ一つの地、そんな場所が自身の避難場所として使用されていると考えると、胃が無くなる思いだった。
しかも、それだけではない。
「白然様、お着替えの準備に参りました。」
「白然様、お食事の用意ができました。」
「白然様、お湯の用意ができました。
このようにいた至れり尽くせりなのである。
幸い後宮と比べて自身の本当の性別を知っている者は多いため、服を脱がなきゃいけない場面とかでは男性の従者が用意されているのはありがたかった。
だが、これらの事を優位に超える、胃どころか内臓も吹き飛んでしまいそうな事があった。
それは……
「ねぇねぇ白然!今日も遊ぼうよ!」
「……麒鍾月、またサボってきたでしょ?」
「うぐっ……そ、そんな事は…。」
麒鍾月。10年前死んでいった帝のかつての皇后の子、つまり現在の東宮であり、白然の事情を知る数少ない人のうちの一人だ。
帝の文武や政策に関して抜きん出た才能を受け継いで生まれた才男だが、優秀ゆえに良くサボりがちなのが玉に瑕であった。
「………はあ、囲碁なら少しだけ付き合うから、後で教育係の人に謝ってちゃんと勉強してね?」
「やったーー!!!じゃあ早速やろ!!」
この困った皇子に振り回されつつも、なんだかんだ初めての同年代の友達なので無下な扱いはしなかった。
ー 数十分後 ー
「あー負けたぁーーー!!!白然強すぎるよぁ…もう一回!」
「もうだめだよ?早く行かないと…あ、来るよ。」
バタンっ!!
「麒鍾月様!!そろそろお戻りください!!白然様、麒鍾月様がいつも申し訳ありません…。」
「いえいえ、確かにサボるのはいけませんが、麒鍾月と遊ぶのは純粋に楽しいので……参藍さんもいつもお疲れ様です。」
参藍は麒鍾月の教育係を任せられている苦労人であり、薬品庫の腹痛薬の消費が異常に減りが早いのは大体はこの型のせいである。
「そう言っていただけるだけで救われる思いです…。さあ、参りますよ。」
「うぅ…白然、戻ったらまた遊ぼうなぁ~……。」
東宮とは思えない、何か小さくてかわいいものと似たような顔をしながら連れ去られていった。
(…緊急避難とは言ったけど、皇宮での生活の方が楽しいな……。毒の捜査、上手くいくといいけれど。)
「……いや、皇宮って聞いたからさ、僕もある程度凄そうな所なんだなぁって覚悟してたけどさ
ここまでは聞いてないよ?」
この世全ての美が集められているような皇宮の荘厳な内装の部屋にて、白然は一人呟いた。
○●○
連絡が来た翌日、真珠宮に宮廷の武官約30名以上が訪れて来た。
龍丹から迎えが来るとは聞いてはいたものの、想像以上に規模が大きい迎えが来てくれたようだ。
「お待たせいたしました、白然様。もう既に説明を受けているとは思いますが、この毒殺騒ぎが収まるまでの間は皇宮に暮らしていただきます。」
「………コク。」
昨日のうちに説明やら面倒な手続きやらは龍丹がやってくれたので、このまま皇宮に行けるとの事だった。
こういう時、彼の手際の早さは非常に役立っていた。
従属達もこの期間限定で皇宮勤務となっていたため、早速後宮の正面口へと向かっていった。
流石に武官30名で囲まれながらの移動となると、迫力は十二分にあった。
下級妃や中級妃たちがこの軍勢と間違われてもおかしくない集団を見て、気圧されていた。
後宮の門をくぐると、贅沢な事に馬車が複数台用意されていた。
久々の外の空気を味わいたい事だが、そう呑気なことを言ってられる状況じゃあないようで、武官達はかなりピリピリした様子で護衛をしていた。
白然達も馬車へと乗って、皇宮へと向かった………
そして、4日たつ現在へと至っている。
そのなんとも目が眩みそうな内装の部屋に、白然は本当に目が眩んでいた。
(どれもこれも、一級品だらけじゃないか。銀が一体どれくらい吹き飛ぶのだろう……。)
後宮の真珠宮も十分目が飛び出るほどの代物だが、皇宮となると次元が違う。
この世の頂点とその親族のみが住むことが許されるただ一つの地、そんな場所が自身の避難場所として使用されていると考えると、胃が無くなる思いだった。
しかも、それだけではない。
「白然様、お着替えの準備に参りました。」
「白然様、お食事の用意ができました。」
「白然様、お湯の用意ができました。
このようにいた至れり尽くせりなのである。
幸い後宮と比べて自身の本当の性別を知っている者は多いため、服を脱がなきゃいけない場面とかでは男性の従者が用意されているのはありがたかった。
だが、これらの事を優位に超える、胃どころか内臓も吹き飛んでしまいそうな事があった。
それは……
「ねぇねぇ白然!今日も遊ぼうよ!」
「……麒鍾月、またサボってきたでしょ?」
「うぐっ……そ、そんな事は…。」
麒鍾月。10年前死んでいった帝のかつての皇后の子、つまり現在の東宮であり、白然の事情を知る数少ない人のうちの一人だ。
帝の文武や政策に関して抜きん出た才能を受け継いで生まれた才男だが、優秀ゆえに良くサボりがちなのが玉に瑕であった。
「………はあ、囲碁なら少しだけ付き合うから、後で教育係の人に謝ってちゃんと勉強してね?」
「やったーー!!!じゃあ早速やろ!!」
この困った皇子に振り回されつつも、なんだかんだ初めての同年代の友達なので無下な扱いはしなかった。
ー 数十分後 ー
「あー負けたぁーーー!!!白然強すぎるよぁ…もう一回!」
「もうだめだよ?早く行かないと…あ、来るよ。」
バタンっ!!
「麒鍾月様!!そろそろお戻りください!!白然様、麒鍾月様がいつも申し訳ありません…。」
「いえいえ、確かにサボるのはいけませんが、麒鍾月と遊ぶのは純粋に楽しいので……参藍さんもいつもお疲れ様です。」
参藍は麒鍾月の教育係を任せられている苦労人であり、薬品庫の腹痛薬の消費が異常に減りが早いのは大体はこの型のせいである。
「そう言っていただけるだけで救われる思いです…。さあ、参りますよ。」
「うぅ…白然、戻ったらまた遊ぼうなぁ~……。」
東宮とは思えない、何か小さくてかわいいものと似たような顔をしながら連れ去られていった。
(…緊急避難とは言ったけど、皇宮での生活の方が楽しいな……。毒の捜査、上手くいくといいけれど。)
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