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第一章

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 日本とちょっと違って、十五歳から二十歳の六年間学園に通うんだってー。セナちゃんも今から楽しみにしてるらしいんだけど異世界の学校というのは興味があるねぇ。今度忍び込んでみよっかなー?

「ここです」
「オッケー。じゃあセナちゃん、静かにね?」

 唇に人差し指を当ててグッと顔を近づけるとボンッと顔を真っ赤に染め上げてコクコク頷いてくれた。気配を消してそーっと部屋に忍び込むと、お兄ちゃんに教えてもらいながら問題を解いているセインくんと、教えているセリスくんの姿があった。

「…ここの問題はどう解くか分かる?」
「兄上でも解けない問題を僕が分かると思います?」
「思わないね」

 うーん…と色々調べながら考える二人に忍び寄って覗き込んでみると日本と似たような問題ばかりだった。多分有名大学くらいのレベルかな。やっぱり日本からの転生者に優しい世界だねぇ?

「ここの問題はねぇ、この二つを入れ替えて計算すると簡単だよー」
「あ、確かにこうしたら簡単……って、えぇ!?ナギサ様!?」
「あはは、すごい驚くねぇ」
「おっ、お久し振りにございますナギサ様!」

 教えてあげると納得した表情を浮かべて、そのあとすぐに「ん?」って顔になり、俺の方を見て叫んだ。良い反応が見られたし、こっそり忍び寄ったかいがあったよー。

「久しぶり。そんなに畏まらないでよー遊びに来ただけだからさぁ」
「は、はい…」

 まだ動揺してるみたいだねぇ。俺にとってはどうでも良くても周りからすると精霊王は気軽に話せる相手ではないかー。でも精霊王って人間の王と違って仕事してるわけでもなくただ自由に過ごしてるだけで、別に凄いことをしてるわけでもないからねぇ。

 強いて言うならたまに精霊を生み出したりとかかなー?自然を管理するのは精霊の仕事だけど、それは大精霊がやってるからなー。

 国を発展させるのに精霊は欠かせない存在だからそういう意味ではすごいことしてるのかもだけど。

「勉強は得意なんだよねー?」
「はい。なんでも分かるという訳ではありませんが」
「苦手な科目は?」
「数学ですね」

 あ、やっぱりそうなんだねー。苦手と言っても学年トップをキープし続けるくらいには頭良いんだと思うけどさ。

「たまに遊びに来た時には勉強教えようかー?嫌なら別に遠慮なく断ってくれていいけど、俺は多分どんな問題でも解けると思うよー」

 伊達に数百年も精霊王として生きていない。前世の知識も合わせるとより詳しく分かるだろうね。
 俺も毎日ここに来るわけではないし、ずっと付きっきりで教えることは出来ないけど……

「ありがたいですが私はもう卒業ですので」
「あーそういえばそうだったねぇ。式は今週だっけ?おめでとー」

 そっかー。二十歳だもんねぇ。十八歳で成人だからすぐに仕事を始めることになるのかな?大変だねぇ。

「ありがとうございます」
「あの、僕は教えて頂いてもよろしいですか?今は学年トップですが友人が次席ですぐにでも追い越されそうなので」
「いいよー」
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