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第1章 幕開けは復讐から
23 秀才の二人
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この国の学園は日本と少し違って、十五歳から二十歳の六年間学園に通うんだって。セナちゃんも今から楽しみにしてるらしいんだけど、異世界の学校というのはどんなものなのか興味がある。今度忍び込んでみようかなぁ……
「ここです」
「案内ありがとう。じゃあセナちゃん、静かにね?」
唇に人差し指を当てて出来る限り静かにするように伝える。気配を消してそっと部屋に忍び込むと、お兄ちゃんに教えてもらいながら問題を解いているセインくんと、同じく自分の勉強もしながら教えているセリスくんの姿があった。
「……ここの問題はどう解くか分かる?」
「兄上でも解けない問題を僕が分かると思います?」
「思わないね」
うーん……と悩みつつ、色々調べながら考える二人に忍び寄って覗き込んでみると俺が知っているような問題ばかりだった。多分日本で言うなら県立大学くらいのレベルかな。結構難しい問題を解いてるんだね。こういう所々違う部分はありながらも軸は前の世界に似ている部分が多いから、やっぱり日本からの転生者に優しい世界だと思う。
「ここの問題はねぇ……この二つを入れ替えて計算すると簡単だよ。あと難しく考えすぎないこと。順番に見ていけば答えは書いてあるようなものだから」
「あ、確かにこうしたら簡単……って、え? ナギサ様!?」
「あはは、侵入しがいがある反応」
「おっ……お久しぶりにございます、ナギサ様」
教えてあげると納得した表情を浮かべて、そのあとすぐに『ん?』と異変を感じたような顔になり、俺の方を見て叫んだ。二人そろって良い反応だね。恐らくセナちゃんの気配には気付いていたと思う。ただ、身内だから特に気に留めなかったんだろうね。俺には気付いていなかったようだけど。
「久しぶり。そんなに畏まらないでよ。遊びに来ただけだからさ」
「は、はい」
まだ動揺してるみたいだねぇ。俺にとってはどうでも良くても、周りからすると精霊王は気軽に話せる相手ではないか。でも精霊王って人間の王と違って基本的に仕事してるわけでもなく、ただ自由に過ごしてるだけであって別に何かすごいことをしてるわけでもないからねぇ。
強いて言うならたまに精霊を生み出したりとかかな。自然を管理するのは精霊の仕事だけど、それは大精霊がやってるからなー。
魔法が使えて国を発展させたり周辺諸国への抑止力にもなるから、そういう意味では精霊は重要な存在ですごいことをしているのかもしれないけど。
「勉強は得意なんだよね?」
「はい。何でも解けるというわけではありませんが」
「苦手な科目は?」
「数学ですね」
たしかにさっき解けなくて困っていたのも数学の問題だったね。苦手と言っても学年トップをキープし続けるくらいには頭良いんだろうけど。
「たまに遊びに来た時には勉強教えようか? 嫌なら別に遠慮なく断ってくれていいけど、俺は多分どんな問題でも解けると思うよー」
伊達に数百年も精霊王として生きていない。前世の知識も合わせるともっとわかることは多いだろうね。俺も毎日ここに来るわけではないし、ずっと付きっきりで教えることは出来ないけど……
「ありがたいですが私はもう卒業ですので」
「あー……そういえばそうだったね。式は今週だっけ?おめでとう」
そっか、二十歳だもんね。十八歳で成人だからすぐに仕事を始めることになるのかな? 大変だねぇ。
「ありがとうございます」
「あの、僕は教えて頂いてもよろしいですか? 今は学年トップですが友人が次席で、すぐにでも追い越されそうなのです」
「もちろんだよ」
「ここです」
「案内ありがとう。じゃあセナちゃん、静かにね?」
唇に人差し指を当てて出来る限り静かにするように伝える。気配を消してそっと部屋に忍び込むと、お兄ちゃんに教えてもらいながら問題を解いているセインくんと、同じく自分の勉強もしながら教えているセリスくんの姿があった。
「……ここの問題はどう解くか分かる?」
「兄上でも解けない問題を僕が分かると思います?」
「思わないね」
うーん……と悩みつつ、色々調べながら考える二人に忍び寄って覗き込んでみると俺が知っているような問題ばかりだった。多分日本で言うなら県立大学くらいのレベルかな。結構難しい問題を解いてるんだね。こういう所々違う部分はありながらも軸は前の世界に似ている部分が多いから、やっぱり日本からの転生者に優しい世界だと思う。
「ここの問題はねぇ……この二つを入れ替えて計算すると簡単だよ。あと難しく考えすぎないこと。順番に見ていけば答えは書いてあるようなものだから」
「あ、確かにこうしたら簡単……って、え? ナギサ様!?」
「あはは、侵入しがいがある反応」
「おっ……お久しぶりにございます、ナギサ様」
教えてあげると納得した表情を浮かべて、そのあとすぐに『ん?』と異変を感じたような顔になり、俺の方を見て叫んだ。二人そろって良い反応だね。恐らくセナちゃんの気配には気付いていたと思う。ただ、身内だから特に気に留めなかったんだろうね。俺には気付いていなかったようだけど。
「久しぶり。そんなに畏まらないでよ。遊びに来ただけだからさ」
「は、はい」
まだ動揺してるみたいだねぇ。俺にとってはどうでも良くても、周りからすると精霊王は気軽に話せる相手ではないか。でも精霊王って人間の王と違って基本的に仕事してるわけでもなく、ただ自由に過ごしてるだけであって別に何かすごいことをしてるわけでもないからねぇ。
強いて言うならたまに精霊を生み出したりとかかな。自然を管理するのは精霊の仕事だけど、それは大精霊がやってるからなー。
魔法が使えて国を発展させたり周辺諸国への抑止力にもなるから、そういう意味では精霊は重要な存在ですごいことをしているのかもしれないけど。
「勉強は得意なんだよね?」
「はい。何でも解けるというわけではありませんが」
「苦手な科目は?」
「数学ですね」
たしかにさっき解けなくて困っていたのも数学の問題だったね。苦手と言っても学年トップをキープし続けるくらいには頭良いんだろうけど。
「たまに遊びに来た時には勉強教えようか? 嫌なら別に遠慮なく断ってくれていいけど、俺は多分どんな問題でも解けると思うよー」
伊達に数百年も精霊王として生きていない。前世の知識も合わせるともっとわかることは多いだろうね。俺も毎日ここに来るわけではないし、ずっと付きっきりで教えることは出来ないけど……
「ありがたいですが私はもう卒業ですので」
「あー……そういえばそうだったね。式は今週だっけ?おめでとう」
そっか、二十歳だもんね。十八歳で成人だからすぐに仕事を始めることになるのかな? 大変だねぇ。
「ありがとうございます」
「あの、僕は教えて頂いてもよろしいですか? 今は学年トップですが友人が次席で、すぐにでも追い越されそうなのです」
「もちろんだよ」
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