【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

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第2章 亜麻色の光

12 『感動の再会』

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 ◇

 『感動の再会』というのを俺は信じていなかった。信じていなかったと言うと夢物語だと思っていた、というように聞こえるかもしれないが、本当の意味で感動的な再会をできる者は中々いないだろう。だが俺たちが今まさに見ている光景は間違いなく感動の再会と言える。感動物語を冷めた気持ちで観てしまうこの俺でも。

 俺の妹であるアリスは転生者らしい。前年度の冬に聞かされた話だ。時々どこか憂い気な顔をする妹が気になっていたのだが、今年度最初の試験結果が発表された日を境にそんな顔をしなくなった。その日はアリスが泣きながら帰ってきたものだから何があったのかと心配したが、ずっと会いたかった人の姿を見たのだと言っていた。
 それからだった。俺がナギサの話をしていると興味深そうに加わってくるようになったのは。そして最近、ナギサも恐らくは転生者なのだろうとアリスは言った。アリスがそうだと聞かされた時も混乱はしたが、母さんは疑う気もない上、父さんからもそういうものがあるのだと聞いていたので俺も疑いはしなかった。
 だがナギサも同じだと言われると正直信じられなかった。どうしてもそんな風には見えなかったから。

 だがまあ、俺にとって恩人であり友人であることは変わらないのでいつも通りに接していた。……が、まさか前世のアリスと恋人同士だったなんて想像できるか? 知り合いだったのかもしれないとは考えていたが、よりによって恋人で婚約者だとは思わないだろ。
 二人が話している姿は、とても俺たちが割り込んでいけるような空気じゃなかった。だがお互いに絶対的な信頼を置いていて、本当に親しかったのが会話を聞いているだけでも分かる。

 それから、俺はアリスのことよりもナギサの反応に驚いた。ナギサは女性に対して可愛いだとか綺麗だとか良く言うが、恋愛とは間違いなく別物だ。この学園に入ってきて、何度告白されたか俺が偶然見かけたのでさえ多すぎて分からないが、恋愛なんて全く興味なさそうだったのに。ナギサの恋愛対象になる女性などいるのか、と。そう思ってしまうくらいには。だがアリスを好きだと、愛しているのだと伝える眼差しや声は本物だ。見たこともないくらいに感情が表れている。
 動揺したかと思えば、アリスの言葉一つで泣いたり笑ったり怒ったり。いつもならこんなに感情を見せたりしない。精霊王ナギサは……こんなに感情豊かだったのか……?

 あの人間ではないが人間離れしたナギサが、アリス相手には普通の男にしか見えない。ただの愛する人に向き合う一人の男そのもの。ああ、もちろん顔やスタイルや声、その他諸々は変わらないぞ。傍から見れば美男美女、これ以上のカップルがいるのかと思うほどにお似合いだ。

 ナギサにならアリスを任せても大丈夫そうだなと、認めたくないが認めることができる。それに良く見れば二人とも……左手の薬指に同じデザインの指輪が嵌っていた。

 ナギサの指にはピンクゴールドのリングに亜麻色の宝石、アリスの指には同じくピンクゴールドのリングに濃い青の宝石。お互いの色だな。

 新しい友人の姿を知ってしまったが……友人や妹が幸せそうなら俺も嬉しい。ナギサが未来の義弟になるのかもしれないと思うと不思議な感じがするが、これはこれで悪くないな。

 ◇
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