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第2章 亜麻色の光
22 魔王降臨
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「お前達は絶対に許さない」
「……っ!」
王都に来てみると完全に殺気立ったランが、ちょっと良い所のお嬢様って感じの女の子二人に魔法を使おうとしていた。商家のお嬢様とかかな? アリスと同い年くらいに見える。ランが使おうとしている魔法は拘束魔法であって攻撃系統ではないんだけど、精霊以外に分かることではないし、彼女達は泣いて動けなくなってるねぇ。
でもランが怒るって珍しい。一緒にいたらしいクレアちゃんとミシェルさんが必死に止めようとしてる。俺とルーが来たことにも気付いてなさそうだねー。
「どうします?」
「あれは攻撃魔法じゃなくて拘束魔法だよ。拘束してどうするつもりなのかは知らないけど、放っておけば良いんじゃないの」
「……ラン。これはどういう状況ですか?」
「ルー……ナギサ様も。ナギサ様の大事な人を悪く言ってるのを聞いた。ナギサ様の大事な人は僕達精霊の大事な人でもある」
それでお灸を据えようと? どの程度やるつもりだったのかは分からないけど、人がいっぱい集まってきたね。そりゃあ王都で騒ぎが起きればそうなるか。
でも意外に冷静そうではあるね。ただ、クレアちゃんとミシェルさんの二人がかりでもビクともしていないを見るに、冷静なのは見た目だけかもしれない。
「なんて言ってたの?」
「……『全然可愛くないのに一体どうやって取り入ったのかしら?』『どうせ体でも使ったのでしょ。それかナギサ様の婚約者だと嘘の噂を流しているんじゃない?』だって。これはアリス様だけじゃなくてナギサ様に対しての侮辱でもある」
「ラン。殺ってしまって良いですよ。ナギサ様に代わって側近である僕が許可を出します」
「分かった」
なんで勝手に決めてんの………でも、俺も同じ気持ちだねぇ。俺への侮辱は別にどうでも良い。自分で言うのもなんだけど、他人の評価なんて気にする性格じゃない。だけどアリスに対する侮辱は許せないよー。それにアリスは可愛いからね? この二人と比べたら天地の差。雲泥の差。女神とミジンコ。いや、こんなこと言ったら地と泥とミジンコがかわいそうか。
「はいはい、お二人さん。一旦落ち着きなよ」
「ナギサ様は怒らないのですか?」
まったく笑えない冗談やめてよー。まあ笑顔を崩すつもりはないし、顔は笑ってるかもしれないけど。
「んー?」
「……いえ、なんでもないです」
「ふふっ、殺すのはやめてね。二人には俺から注意しておくよ」
「魔王降臨……」
ちょっとラン、誰が魔王って? たとえなのは分かるけどこの世界には本物の魔王がいるからね?
座り込んで呆然と涙を流す二人に手を貸して立ち上がらせる。するとなにを思ったか二人揃って顔を赤らめた。そんな彼女達に向かって微笑み、そのまま口元を扇で隠す。俺の声が二人にだけ聞こえるくらいの距離まで近付いた。
「────……分かったなら、金輪際俺やアリス近付くな」
言いたいことだけ言うと顔を離して、もう一度にっこり笑って見せる。すると一拍遅れて赤らんでいた顔を真っ青にし、せっかく立たせてあげたのにまた座り込んでしまった。
もう涙も出ないようだったけど、ここまで言えば今後アリスになにかしたり言ったりはしないだろうねー。ま、これでも懲りないようなら精霊達の好きにさせるだけのこと。俺は別にどちらでも構わない。
「ルー、撤収するよ。ここは人が集まってきたから気分が悪い。クレアちゃんとミシェルさんはランを宥めてあげてねー」
「あっ! ちょ、ちょっと待ってくださいナギサ様!」
「皆もその子達に手を出しちゃ駄目だよ」
集まってきた人の中には精霊もたくさんいたので一言手を出すなとだけ命じ、人気の多いところを離れるべく歩き出す。少し歩いたところで慌てて追ってくるルーを待ち、癒しを求めてある場所に向かった。
「……っ!」
王都に来てみると完全に殺気立ったランが、ちょっと良い所のお嬢様って感じの女の子二人に魔法を使おうとしていた。商家のお嬢様とかかな? アリスと同い年くらいに見える。ランが使おうとしている魔法は拘束魔法であって攻撃系統ではないんだけど、精霊以外に分かることではないし、彼女達は泣いて動けなくなってるねぇ。
でもランが怒るって珍しい。一緒にいたらしいクレアちゃんとミシェルさんが必死に止めようとしてる。俺とルーが来たことにも気付いてなさそうだねー。
「どうします?」
「あれは攻撃魔法じゃなくて拘束魔法だよ。拘束してどうするつもりなのかは知らないけど、放っておけば良いんじゃないの」
「……ラン。これはどういう状況ですか?」
「ルー……ナギサ様も。ナギサ様の大事な人を悪く言ってるのを聞いた。ナギサ様の大事な人は僕達精霊の大事な人でもある」
それでお灸を据えようと? どの程度やるつもりだったのかは分からないけど、人がいっぱい集まってきたね。そりゃあ王都で騒ぎが起きればそうなるか。
でも意外に冷静そうではあるね。ただ、クレアちゃんとミシェルさんの二人がかりでもビクともしていないを見るに、冷静なのは見た目だけかもしれない。
「なんて言ってたの?」
「……『全然可愛くないのに一体どうやって取り入ったのかしら?』『どうせ体でも使ったのでしょ。それかナギサ様の婚約者だと嘘の噂を流しているんじゃない?』だって。これはアリス様だけじゃなくてナギサ様に対しての侮辱でもある」
「ラン。殺ってしまって良いですよ。ナギサ様に代わって側近である僕が許可を出します」
「分かった」
なんで勝手に決めてんの………でも、俺も同じ気持ちだねぇ。俺への侮辱は別にどうでも良い。自分で言うのもなんだけど、他人の評価なんて気にする性格じゃない。だけどアリスに対する侮辱は許せないよー。それにアリスは可愛いからね? この二人と比べたら天地の差。雲泥の差。女神とミジンコ。いや、こんなこと言ったら地と泥とミジンコがかわいそうか。
「はいはい、お二人さん。一旦落ち着きなよ」
「ナギサ様は怒らないのですか?」
まったく笑えない冗談やめてよー。まあ笑顔を崩すつもりはないし、顔は笑ってるかもしれないけど。
「んー?」
「……いえ、なんでもないです」
「ふふっ、殺すのはやめてね。二人には俺から注意しておくよ」
「魔王降臨……」
ちょっとラン、誰が魔王って? たとえなのは分かるけどこの世界には本物の魔王がいるからね?
座り込んで呆然と涙を流す二人に手を貸して立ち上がらせる。するとなにを思ったか二人揃って顔を赤らめた。そんな彼女達に向かって微笑み、そのまま口元を扇で隠す。俺の声が二人にだけ聞こえるくらいの距離まで近付いた。
「────……分かったなら、金輪際俺やアリス近付くな」
言いたいことだけ言うと顔を離して、もう一度にっこり笑って見せる。すると一拍遅れて赤らんでいた顔を真っ青にし、せっかく立たせてあげたのにまた座り込んでしまった。
もう涙も出ないようだったけど、ここまで言えば今後アリスになにかしたり言ったりはしないだろうねー。ま、これでも懲りないようなら精霊達の好きにさせるだけのこと。俺は別にどちらでも構わない。
「ルー、撤収するよ。ここは人が集まってきたから気分が悪い。クレアちゃんとミシェルさんはランを宥めてあげてねー」
「あっ! ちょ、ちょっと待ってくださいナギサ様!」
「皆もその子達に手を出しちゃ駄目だよ」
集まってきた人の中には精霊もたくさんいたので一言手を出すなとだけ命じ、人気の多いところを離れるべく歩き出す。少し歩いたところで慌てて追ってくるルーを待ち、癒しを求めてある場所に向かった。
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