【第2章完結】最強な精霊王に転生しました。のんびりライフを送りたかったのに、問題にばかり巻き込まれるのはなんで?

山咲莉亜

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第3章 動き出す思惑

43 ナギサの口調は

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 それからしばらくして、シュリー公爵家のみんなが会場に入ってきた。公爵夫妻もだけどセリスくんとセナちゃんを見たのはすごく久しぶりな気がする。やっぱり全員会場内の違和感には気付いたみたいだねぇ。まあ当然か。

 俺達、会場中の人から妙に意識されてるし彼らと同じように精霊の気配を感じたんだと思う。ちなみにウンディーネは力を隠しきれていないけど、俺は完璧に隠せているはずだから男爵家の中でも俺が注目されているのはずっと腕を組んで離そうとしないウンディーネが原因だろうねー。

「───皆様、本日はお集まりいただきありがとうございます」

 騒めいていた会場内も、主催である公爵が入ってくると一気に静まり返った。そしてさすがは筆頭公爵家当主、俺はいつも友人と話すかのように緩い口調で話してるけど、本来ならほとんどの人がそれを許される立場ではないんだなと改めて感じるくらいには威厳がある。公爵家相手にあんな適当な口調で話してるのはきっと俺や精霊くらいだよね。王族でももっと丁重に扱うでしょ。

 でもね、俺だって意味があってこの緩い話し方をしているんだよ。俺の『語尾を少し伸ばす感じの口調』ってあまりいないと思う。語尾を伸ばすような口調って、人によってはうざいと感じるでしょ? 俺はそう思わせるためにやってる。人ってイライラすると思考が単純になるから、その上で煽れば自分の思い通りに事を運びやすくなる。俺なりの処世術の一つだよ。別に好き好んでこんな話し方をしてるわけじゃないからやめようと思えばいつでもやめられる。ただ、俺にとって人に好かれるより優先すべきことがあったからこうなったってわけ。

「短い時間ではありますがごゆっくりお過ごしください」

 公爵が話している姿を眺めて少し上の空でいるといつの間にか挨拶が終わっていた。

「……ナイジェル、あんた公爵様がご挨拶されている時に興味なさげにしてるんじゃないよ。幸い気付かれてはいないようだけど、もう少し興味を持ったらどうだい?」
「そうですね」
「ナイジェル様、そのつもりはないんだってぇ」

 ウンディーネが俺の気持ちを代弁してくれた。いつの時代の学生も同じこと考えてると思うんだけど、学校の校長の話って長くて面倒だよね? 申し訳ないけど、今の俺にとってシュリー公爵の挨拶はそんな感じだったからさ。聞いてて楽しくはないかなーって。公的な場での挨拶に楽しさを求めるべきでもないけど。

「さて、挨拶回りに行きましょうか」
「……人酔いしてしまったので私は少し席を外させていただきます」
「挨拶くらいしたらどうだい?」
「それは私の代わりにウンディーネにお願いします。落ち着いたら戻ってきますので」
「絶対嘘だろう……」
「それでは」

 そう、嘘だよ。クレアちゃん大正解! 人混みは嫌いだけど酔うほどじゃないから。
 ちょっと強引かなとは思うけど、ウンディーネを連れてきた時点で何かあるのだろうとは思ってるでしょ。
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