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第一章 政略結婚

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その後、夕方まで皇都の散策を楽しみ、馬車に乗って帰る時間になった。

「キース様。今日はありがとうございました。とても楽しい時間でしたわ。久しぶりにこんなにゆっくり皇都を散策しました!」

本当に喜んでくれたみたいで良かった。俺も楽しかったし、また誘ってもいいかもな。

「それは良かった。また今度来よう」

「はい!」

ガタガタと馬車が揺れる…。不思議とこの沈黙が嫌ではないな。

「マリナ」

「はい、どうしましたか?」

「その、良ければこれを…マリナに似合うと思って」

「これは?開けてみてもよろしいですか?」

「ああ」

「髪飾り…ですか?」

「…ああ。マリナの瞳と同じ色で綺麗な金髪に似合いそうだと思ったんだが…迷惑だったか?」

以前、仕立て屋で見つけたものを取っておいて貰ったのだが今日マダムと話していたアレとは髪飾りのことだ。

「いえ、迷惑なんかではありませんわ。とっても嬉しいです!本当に頂いてしまってよろしいのですか?」

「!勿論だ」

良かった…いらないと言われたらどうしようかと思った…

「ありがとうございます、キース様!大切に使わせて頂きますね!」

「ああ。喜んで貰えたなら良かったよ」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーー
マリナside

今日は朝からキース様と皇都に夜会用の衣装を仕立てに行き、その後夕方まで皇都を散策しました。

ゆっくり楽しめて満足していたのですが、馬車に乗った後でキース様が髪飾りをくださいましたの。
私の瞳の色と同じ色で、とても透明感のある石を使用した髪飾りでした。

一目で気に入ってしまいましたわ!なにより、キース様が不安そうにしながらも頬を少し染めて渡してくださいまして、そのお気持ちが何より嬉しかったですわ。


「それで、今度は私から贈り物をしようと思うのだけれど何が良いと思う、アイラ?」

「あ、あの旦那様が贈り物をくださったのですか?」

あの旦那様って…

「そうよ。とても素敵なものだったわ。ほら」

「マリナ様の瞳のお色と同じですね。確かにとても素敵です!」

「でしょう?それで私からも贈り物をしようと思ったの。何が良いかしら?」

「旦那様はマリナ様から頂いたものなら何でも嬉しいと思いますよ。強いて言うなら…手作りのものはいかがですか?」

「そうね。私もそれが良いと思うわ。うーん…ハンカチに刺繍?は定番過ぎるわね。刺繍とカフスボタンにしようかしら」

「良いですね!どちらもマリナ様の手作りであれば喜ばれると思いますよ!」

では決まりね。柄は後程決めましょう。
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