押しかけ贄は白蛇様を一途に愛す

阿合イオ

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第四章

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「んぅ……」

 上唇を食まれて、旭の唇が薄く開く。
 狙ったかのように咥内に侵入した舌が、旭の舌先をとらえた。
 驚きに引っ込んだ舌を追いかけて、さらに奥へと滑り込む。
 未知の感覚に戸惑う旭を、導くような口づけ。

「ふ、ぅ、……んんっ、」

 耳の縁を、白蛇の指が擽る。
 両耳を白蛇の手に挟み込まれると、咥内の音が響いて、旭は喉を震わせた。
 白蛇の片手が、旭の頬を撫で、首筋を這い、襟を開く。
 少しだけ冷たい白蛇の手に、旭はぴくりと肌が跳ねた。

「ん、ふ、」

 口づけに夢中の旭は、白蛇の手がいつの間にか襟ぐりを大きく開いていることに気がつかなかった。
 咥内を翻弄する唇が離れていくのが名残惜しくて、舌がはしたなく白蛇を追いかける。

「ぁ、……んっ」

 白蛇に舌を吸われ、旭は足先で布団を掻いた。
 揶揄するように軽く唇で触れられ、旭はようやく自身の状態に気付いたのだった。

「……あ、ぅあ……」

 襦袢は、肩の辺りまではだけられていた。
 鎖骨の下を這っていた白蛇の手が、旭の胸の突起を押しつぶす。

「あ、ッ!」

 くに、と潰れた突起を、親指で押され、旭は顎を上向けた。
 円を描くように縁をなぞっては、尖りをぐりぐりと刺激する。

「ぁ、あぅ、ふ、」
「ここが、善いんだな」

 低い声で囁くように指摘され、旭はかっと顔に熱が集まった。

「う、ぁ……ッ」

 首筋を唇が這って、旭の胸の尖りに触れる。
 弄られてじくじくと疼くそこを、白蛇が吸った。

「ぁああっ」

 旭は喉を仰け反らせて喘ぐ。

(なに、なに、これ……っ)

 全身を走った稲妻のような衝撃に旭は腰に力が入らなくなった。

「あ、ぅ、し、白蛇、さま……!」
「なんだ」
「そ、れぇ、だ、だめ……っ」

 白蛇の頭を抱えて、旭は悶える。
 舌先で突かれ、舐られ、吸われる感覚が、全身をびりびりと襲っていた。

「行動と台詞が合ってないぞ」
「は、……っ、ぁあっ、あっ、」

 ぎゅうぎゅうと白蛇の頭を抱えながら、旭は頭を振った。
 快楽を逃がそうとしているはずなのに、ますます気持ちよくなってしまう。
 白蛇の手が、少しずつ下がる。
 無意識のうちに擦り合わせていた腿を割り開かれた。

「ぁ、あ、ッ」

 開いた足の間に、白蛇の体が入る。
 胸の突起を舐っていた唇が離れたことで、旭は白蛇の頭を抱えていた手が緩んでいたことに気付く。
 尖りきったそこが、空気に触れてじんじんと切ない。

 襦袢の紐が解かれ、旭は裸体を白蛇に晒した。
 白蛇に抱かれることを期待して下着も身につけていなかったせいで、あっけなく無防備な姿になってしまう。

「あ……!」

 咄嗟に閉じようとした旭の膝は、白蛇の手に阻まれた。

「隠すな」

 そう言われてしまえば、旭に為す術などない。
 全身を見られている。
 一度見られた時とは違う、熱の籠もった瞳で。
 せめてもの抵抗で、旭は顔を横に向けた。
 見られていると思うと、とてもじゃないが白蛇の顔を見ることが出来なかった。

 旭の陰茎は、しとどに濡れ、勃ち上がっている。
 晒されて見られていることを自覚して、ぴくぴくと震えるそこを、白蛇が握った。

「ひ、ッ!」
「軽く達したのか?」
「わ、わかりま、せん……っ。あ、ぅ、ッ」

 先走りなのか白蛇の言うようにいつの間にか達していたのかは分からないが、濡れそぼったそれを、白蛇が軽く上下に擦る。

「ひぁ、あっ、……ぅあ、あぁ、ッ!」
「一度きちんと達しておかねば辛いだろう」
「だ、だめ、あ、ぁあ、い、イく、あぁあ、」

 とろとろと体液を零し続けるはしたない鈴口を、白蛇が強く擦った。
 勢いよく白濁が飛び出して、旭は上半身を仰け反らせて痙攣する。

「……は、ぁ……っ、は、」

 呼吸を整える旭の視界の端で、白蛇が瓶の蓋を開けた。
 とろりとした液体が、白蛇の指に絡みつく。
 白蛇の指先が、旭の後孔の縁をゆっくりなぞった。

「あ……ぁあ、」

(し、白蛇さまの指が……っ)

 そんなところを触らせるのが申し訳なくなって、旭は手を伸ばす。
 その手を取られて、指に口づけられた。

「んっ、」

 宥めるように優しく口づけられて、「止めるな」という白蛇の意思表示だと分かる。
 力の抜けた旭の手は、そっと布団の上に下ろされた。
 焦らすようにすりすりと会陰から縁をなぞっていた指が、旭の後孔を軽く叩く。

「っ、」

 とん、とん、と叩かれては、また会陰をなぞる白蛇の指。
 腹の奥にじわじわと広がるもどかしさに、旭は布団の敷布をきゅっと握る。

「――あっ、」

 そのもどかしさを、汲み取って貰えたのだろうか。
 つぷり、と白蛇の指が挿入された。
 丁寧に、慎重に挿入される指に、嫌悪感は全く感じなかった。
 自分で入れたときの違和感や、不快な感覚もない。

「ん……ふ、」

 指の付け根まで呑み込んで、旭は息を吐いた。

(白蛇さまの、指だから……)

 好きな人の、指だから。
 そう自覚すると、きゅん、と後孔が締まった。

「――っ!」

 白蛇の指が、旭の様子を探るように動く。
 時折ぐ、ぐ、と腸壁を押され、旭はあえかな声を漏らす。

「しろ、へびさま……、あ、」
「不快感はないか?」
「は、い、大丈夫、です……ん、っ」

 唇を寄せられ、旭は瞼を閉じる。
 ぬめる舌に翻弄され、縋るように白蛇の腕を掴んだ。
 口づけに夢中になっているうちに、指が増やされていた。
 中の指が旭の後孔を拡げる。
 馴染むのを待った後、ゆっくりと抜き差しの動きに変わっていく。

「ぅあんっ……!」

 白蛇の指が、ある一点を押した。
 女性のような高い声がまろび出て、旭ははっと口を自分の手で塞いだ。

(いま、のは、)

 旭の中にあるしこりを、白蛇が再度指の腹で擦った。

「ん、んぁ、ッ!」
「こら、」

 唇を塞ぐ手にまた口づけが落とされて、やんわりと退けられる。

「あ、ぅ、あ、っ、……ひ、!」

 ずり、ずり、と擦られて、体がびくびくと震えた。
 引き攣れた声で嬌声を上げる旭の陰茎が、達したばかりだというのに再び持ち上がる。

「あ、あ、なん、で……っ」

 自分で入れたときは、こんな感情にならなかった。
 擦られているところが熱くて、気持ちよくて、押し寄せる快楽の波に抗えない。
 旭の意志とは関係なくうねる腸壁が、ぎゅうぎゅうと白蛇の指を締め上げる。

「あっ、―――ぁあ、っ。 白蛇さま、中が、おかしい、ん、です……っ」
「善さそうに見えるが」
「ちが、あ、なんか、来る……っ、来ちゃう……っ! あ、ぁああっ」

 体中がびりびりと痺れて、旭は体をばたつかせた。

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