【R18】【本編完結済】ロールキャベツ系彼女とツンデレ(後々)彼氏

米粉パン

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本編

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(何だか……とても緊張してきました)


いつもは前田さんと2人なので、帰路の間ずっとお喋りしている。

しかし、今日はなんと神崎先輩が隣に座っているのだ。




チラッと隣を見ると、先輩は窓の外を眺めていた。

すっと通った鼻筋、長いまつ毛、薄い唇。

こんなに近い距離でまじまじと顔を見た事がなかったので、ここぞとばかりに観察していると、私の視線に気付いた先輩がこちらを見て

「……なに見惚れてんだ?」

と不敵に笑った。


「~~~っ!見惚れてなんかいません。観察してただけです」

プイッと先輩と反対側の窓の方へ顔を逸らした。顔が熱い。


ククッと隣から笑う声が聞こえる。

(土日は覚えておきなさいよ)

と思ったのは秘密だ。




敷地内に入ります、と前田さんから声が掛かると、車は右へ曲がり、噴水のあるロータリーに入り、大きな両開きのドアがある玄関の真正面で止まった。

隣から「マジか…」と呟きが聞こえた。



静かに停車し、神崎先輩は「ありがとうございました」と前田さんに声をかけ、すぐに車から降り、私が座っている方のドアを開けた。

私が足を地面に着けたタイミングで先輩は手を差し伸べた。


ーーーーー本当にこの人、何者なのだろうか?エスコートが完璧だ。



「ありがとうございました」と私も前田さんに声をかけると、軽く礼をして、口を開いた。

「つがい様と仲がよろしい様で安心致しました。」

そして先輩に目を向けて

「神崎様、お嬢様をお願いいたします」

と深く礼をした。



「はい。大切にします」

先程取った手をきゅ、と握り、先輩はこちらを見て微笑んだ。


「先輩……もう泣きそうです」

「はやい。結婚の挨拶に来た訳でもないのに」

「でも、ゆくゆくはしますよね?」

「その時はその時だろ」


ハハッと笑ったが、先輩は気づいているだろうかーーー結婚する前提になっているということにーーー


「……では、ここからは私が案内しますね」


5段くらいの低くて幅の広い階段を上ると、ドアが内側から開けられた。


「いらっしゃいませ、神崎様。おかえりなさいませ、お嬢様。ご両親は応接室にいらっしゃいます」

「わかりました、ありがとう」



一般家庭のような段差はなく、床の材質を切り替えることで土足と室内履きを分けている。

スリッパに履き替え、先輩を連れて応接室のドアをノックした。



「ただいま戻りました」

扉を開けると、ローテーブルを挟んだ奥のソファに父母が2人で座っていた。


進むと、父が立ち上がって「初めまして、永冨雅人ながとみ まさとです」と言って握手を求めた。

「初めまして、神崎悠です」と先輩と父が握手すると、母も「尚人なおとです、初めまして」と言って先輩と握手した。


「どうぞ、座って」

父に促され、2人掛けのソファに先輩と並んで座った。
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