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腐っても女子①
しおりを挟む私が腐の道に進んだのは、中学二年生の頃。
五歳上の姉が隠し持っていたBL本を発見してしまった事がキッカケだった。
それは、少年コミックを基にした二次創作的なやつで、所謂同人誌と呼ばれる代物だった。
最初は何気な~く、表紙のイラストの美麗さに惹かれて手に取ってみたのだけれど……
「な、ななな………何これ…」
中身のハードさに、とんでもなく衝撃を受けた。
だって、男同士で○△□をしていたんだもの。
年頃で多少の知識はあったけれど、それは男女間での事。
まさか、男の○○が男の△△に□□されるなんて思ってもみなかった。
初めて遭遇した、めくるめくボーイズラブの世界は、とてもとても刺激的で。
だからといって、目を逸らす事も出来なくて……
気付いたら、ページを捲る手が止まらなくなってしまっていた。
ボーイズラブにどっぷりハマってからというもの、今まで普通に見えていた世界が大きく変化した。
街中で仲良さげに歩く若者二人組を見掛ければ
『あぁぁ………あの二人……きっと短髪の方が攻めで帽子の方受け……』
クラスでじゃれている男子達を眺めては
『眼鏡でひょろい中本が受けで、ごつい岡田が攻めと見せ掛けて………実は逆パターンだったり…?』
もう、妄想が止まらなかった。
勿論ヨダレも。
私がボーイズラブにハマった当時は、まだ腐女子という言葉がなかったし、そういったジャンルがあるという事は広く認知されていなかった。
だから当然、そういった趣味を持っている事が知れた途端に私は変人扱い。
靴の中に画鋲が……とか、教科書を隠される……といったありきたりなイジメはなかった。
体操服を焼却炉に……とか、廊下を歩いていたらバケツの水をかけられたり……というようなハードなイジメもなかった。
目に見えるイジメは大事になるというのが皆分かっていたから、直接的な事はしてこなかった。
でも無視、陰口は当たり前で。
わざと机を蹴られたり、床にプリントをぶちまけても見ない振り。
授業で発言すれば、どこからともなくクスクス笑われ、体育で二人組を作る時も決まって私一人だけ残ってた。
他人からすれば「こんな事位で……」と鼻で笑われるだろうけど、思春期の私には辛過ぎた。
学校に行くのが怖くて、でも親に怒られるから休む訳にはいかなくて。
泣く泣く校門を潜っては、即保健室に逃げ込んでいた。
お陰で、内申は芳しくなく…
元々の頭の悪さも相俟って、行ける高校は限られていた。
諦め半分、希望半分で入学した高校では、中学時代の苦い経験を元に、普通を装って生活しようと心に決めていた。
普通にしてれば皆に好かれる、BL好きを隠していれば誰からも蔑まれない……
本当の自分を隠しての高校生活は、息苦しくて堪らなかった。
森川と出会うまでは。
「……森川さんって、覆面ライダー好きなの?」
学祭のステージで出し物をしなくてはならない事になり、不運な事に相方として私に目を付けられた森川。
偶々目にした彼女の携帯の待受が子供に人気のヒーローだったのに、少なからず驚かされた。
「………誰にも言わないで」
「…………」
進学科に在籍していた彼女が、まさか自分と同じ秘密を持っているとは、思ってもみなかったから。
ジャンルは違えど、通ずるものは一緒。
他人から冷たい仕打ちを受けた過去を持つのも同じ。
初めて心を開けそうな人物に出会えた喜びを感じた。
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