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腐っても女子②
しおりを挟む私が芸能界に入った理由はいくつかある。
一つは、学祭のステージ上での高揚感が忘れられなかったから。
二つ目は、芸能界という個性が重要視される特殊な世界でなら、自分を偽らずにいられると思ったから。
現に今、堂々とBL好きを公言して、一つのキャラとして受け入れられている。
凄く心が軽くなって生き生きしている。
そして、一番大きな理由が、本当に心を許せる人物とずっと一緒に居たかったから。
私がまんぼうライダーに拘ったのは、森川 素良という、唯一無二の親友を失いたくなかったから。
森川は私の趣味を肯定してくれているし、私も森川の趣味を否定したりしない。
お互いを尊重し合える非常に良い関係だ。
だから、解散なんてしない、したくないと思ってる。
森川の仕事が減り、私一人での仕事ばかりになった時も、ピンになる気は更々なかった。
まんぼうライダーは、二人で一つだったし、私の生き甲斐でもある。
それをみすみす潰したくなかった。
どうにか自分一人でも仕事をこなし、森川の居場所を確保しようと奮闘したけれど…
頑張れば頑張る程、森川の仕事が減っていった。
どんどん開いていく格差がもどかしくてもどかしくて……
森川からの「もう辞めたい…」に私はずっと怯えてた。
忍足さんとのヤラセ交際で、見事に売名に成功した森川。
女芸人と俳優という組み合わせの異色さで一気に注目を浴び、再浮上してみせた。
また一緒に仕事で駆け回れるって、喜んでいたのも束の間…
それがまさかのドッキリだったのが判明して、衝撃を受けたのは私も同じ。
明らかに落ち込んでるのに、気丈振ってる森川が痛々しかった。
自分を騙した忍足さんを口では悪く言っていたけれど、表情は切なくて。
好きな人に裏切られた悲しい気持ちが痛い程伝わってきた。
でも、森川の心の傷を癒す手立ても見出だせず、彼女の気持ちに寄り添う事が出来なかった。
私が出来た事と言えば、忍足さんとの橋渡し役程度。
一か八かの賭けに近い気持ちで、何も知らない森川を忍足さんの部屋へ向かわせた。
後は忍足さんの腕次第。
彼に全てを託した。
二人っきりにさえなってしまえば、きっと上手くいくだろう……との読み通り、森川と忍足さんは無事、めでたくくっついた。
森川は生まれて初めての彼氏が出来て、どうしたら良いのかテンパっている。
忍足さんは、そんな彼女が可愛いとみて、かなりの溺愛っぷり。
見てる側が恥ずかしくなってしまいそうな位ラブラブだ。
相方の幸せは素直に嬉しい。
なのに、それと同時に寂しくもあった。
いつだって私が相方の一番の理解者であるつもりだったし、これからもずっとそうだって信じて疑わなかった。
私が相方のNo.1なんだって自惚れてたから余計に。
だから、相方に私以外の大切な存在が出来た事が悔しかった。
まぁ、でも良いさ、私にはBLという癒しがあるし………なんて自分を慰めてた。
BLは私から離れて行かないし……って。
そんな私を憐れに思ったのか、ただの飲み友達程度の認識しかしていなかった彼が何の前触れもなしに、サラリと言った。
「俺を心の拠り所にしてみない?」
と。
見た目も中身もチャラそうな彼からの打診は、自分にとってプラスなのかマイナスなのかは分からない。
けど、乗ってみる価値は有りそうな気がした。
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