ヒロインになりたい!!

江上蒼羽

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笑いのエンターテイナー①[side:漣]

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次から次へと予想もつかない突飛な言動をする、山田 輝子こと、てるり。

奇妙な妄想をし、時に暴走する。

一緒に居ると楽し過ぎるし、思いっ切り笑わせてくれる。

更に、沢山の驚きと刺激も与えてくれる。

だから勝手に【びっくり箱女子】と命名させて頂いた。



そんな彼女と付き合い始めて、結構経った。

世間的に見たら容姿は普通、お世辞にも可愛いとは言い難い彼女だけど、一緒に居る時間が増えてから、誰よりも可愛いな…と思うようになった。

ふとした表情や仕草とか……たまにドキッとさせられる。

カズは「あーゆー顔は、見慣れれば可愛く見えてくるんじゃない?」なんて、ふざけて言ってた。

確かにそれも一理あるのかもな……と納得しつつ、自分の彼女だから特別ってのもあるんだろうとも思う。

娯楽……と言ったら言葉が悪いけど、てるりは俺にとってエンターテイナー。

彼女と出会ってから、よく笑うようになったと周りから言われるし、自分でも自覚してる。

彼女の居ない日常なんて……みたいな格好つけたがりみたいな台詞を言うつもりはないけど、それに近い事を日々思ってる。

こうして考えてみると、結構彼女にベタ惚れなのかもしれない。

だから、好きな子と深い関係になる事を望むのは自然な事で…

ただ触れるだけ、キスするだけじゃ物足りない。

かといって、漸くキスに慣れてきたような状態なてるりに、更に過激な行為を求めるのは拷問に当たる気がしないでもない。


………けど、逆にその状況にテンパるてるりも見てみたかったりする。

きっと、面白可愛いんだろうな……と、邪な考えを抱きながら、泊まり掛けの温泉旅行を提案してみた。

非日常的な場所なら、容易くそういう空気に持っていけそうだったし。





旅館に着いて温泉と豪華な食事を楽しんだ後「さ~て、寝るか~」と、隣の部屋に続く襖を開けたてるり。

意気揚々と向かったくせに、開けた瞬間から声も挙げずに固まった。

どうやら、部屋に並べて敷かれた二組の布団を見て、何かを感じたらしい。


「てるり?どうしたの?」


そっとてるりの肩に手を乗せると、彼女は「おおふっ!!」と変な声を出して身を震わせた。


「おおふって……何?その変な声」

「な、ななな………何でもない。ねっ、ねる、ねる………寝るんだよね?」


何やら慌てふためいているらしいてるりさん。


「何?ねるねるねーるねが食べたくなったの?」

「ち、違っ………」


フッ……と耳に息を吹き掛けてみると、てるりは声にならない悲鳴を挙げながら、その場に崩れた。

期待通りの面白可愛さに、思わず頬が緩む。

ニヤニヤを抑えながら後ろ手で襖を閉め、照明を落とすと、また彼女は大袈裟に肩を揺らした。


「………可愛い…」

「え………」


うっかり漏れ出た独り言に反応するてるりの隣にゆっくり腰を降ろす。


「結構、我慢してたんだよね」


言いながら彼女の肩を抱いたら、小刻みに震えているのがよく分かった。


「………怖い?やだ?」


聞くと彼女は首を上下左右に激しく振る。

今更やだとは言わせるつもりはないけど、恐怖心がちょっと厄介だ。

どうしたもんかなー……なんて考えていると、彼女が恐る恐る口を開く。


「ど、どうしたら良いか分かんない……取り敢えず、私はそれっぽい声出しながら腰をクネクネさせれば良いの?」

「ぶっ………」


突拍子もない言葉に、堪え切れずに吹き出してしまった。

てるりはやっぱり、面白い。
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