売名恋愛

江上蒼羽

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計画始動⑤

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メディアでの露出はなくなっても、お笑い芸人は、やはりお笑い芸人。

ましてや、チョイ役ばかりでありながらもじわじわ露出が増えつつある俳優と一緒となれば、嫌でも目立つ。

道行く人は大抵振り返り、二度見。

指を差され、写真を撮られ……

きっと今頃は、ツィートされ、画像もUPされ、私と忍足さんの目撃情報は大いに拡散されている事だろう。

世の中って怖い………




「………やっぱり、ちょっと子供っぽかったかな?」


目的地に到着して一番に、忍足さんが眉を下げながら言った。


「いや、私は好きですよ?遊園地」


ジェットコースターから聞こえる悲鳴をBGMに私が答えると、忍足さんは「本当?」と、確認してくる。


「はい、久し振りなんでワクワクします」

「そっか」


眼前に聳える大観覧車を前に、胸が踊り出す。


「人も多いですし、計画遂行にはもってこいの場所ですよ」


周りを見れば、人、人、人。

これは、アトラクション前の長い行列も覚悟しなければならなそうだ。



二人分のフリーパスを購入して入場ゲートをくぐる。

一歩足を踏み入れると、現実から隔離されたようなメルヘンな世界が待っていた。


「はぐれたら大変だよね、きっと」

「そんな感じですね」


人の多さに圧倒されながら、歩を進める。


「アトラクション、全制覇したかったけど、流石にこの人じゃ無理そうだなー……」


忍足さんが残念そうに呟いた。


「全制覇って……なんか忍足さん、子供みたい……」

「そう?攻略したくなるんだよね、こういう所に来ると」

「へぇ………凄く意外です」


クールなタイプかと勝手に思っていたけれど、意外と子供じみた一面もあるらしい。

あちこちから聞こえてくる「わー!」だの「きゃー!」だの騒ぐ声。

絶えず私の好奇心を刺激してくる。

それに相まって、園内のファンシーな空気が私を興奮させる。


「た、楽しそうですね!どのアトラクションから行きます?」


駆け出したい衝動をひたすら抑え、忍足さんを見上げると、彼は入場の際に渡された案内図を見ていた。


「んー……取り敢えず、定番のジェットコースター、ホラーハウス、観覧車はいっときたいよね」

「え………」


忍足さんがサラッと言った言葉に、私の顔の筋肉が強張った。


「絶叫系はやめときましょうよ……ホラーハウスもちょっと…」


小さな声で「苦手なんで……」と付け加えると、忍足さんは「何言ってるの」と笑う。


「番組ロケで絶叫マシーン乗りまくってたじゃん。凄いヤバそうなのとか………それに比べれば、ここのジェットコースターなんか子供騙しみたいなものだよ」

「い、いや………でも…」


確かに忍足さんの言う通り。

番組の企画で、世界各地の絶叫マシーンを体験させて頂いた。

上から下へ急降下するもの、ぐるんぐるん回るもの………種類は様々でも、絶叫と名が付くものは何でも乗らされて……


「し、心臓が口から出そうな体験を何度もしてきたんで、絶叫系はもう沢山です」

「免疫はついてないんだ」

「つけようがありません!」


一生分の絶叫マシーンを堪能した私は、平和な乗り物を楽しく満喫したい。

「それなら……」と、忍足さんが提案する。


「ジェットコースターは後回しにして、ホラーハウスからいっちゃう?」


思わず「ひぇ~」と声が出た。


「やめましょうよ!心臓に悪い!」

「あっはは……心霊ロケとか行ってたじゃん」

「あれは、霊媒師が同伴だったから……とにかく、心身への負担が少ない乗り物から行きましょう!」


自分で言っておいて、心身への負担が少ない乗り物ってどんなだよ!と、密かにつっこむ。


「じゃ、手始めにスカイサイクルでも乗ろっか?」


頭上のレールを指差しながら、忍足さんが悪戯っぽく言う。


「小学生位の子も平気で乗ってるし、心身への負担は少なそうだよ」


その邪気のない笑顔が、どことなく腹立たしい。

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