前向き時々後ろ向き

江上蒼羽

文字の大きさ
29 / 74

10月21日

しおりを挟む



10月21日(月)


検査なし。

血圧正常、酸素数値ちょい低い。

いい加減、病院生活に嫌気がさしたのか、旦那は少しカリカリしてた。

日中のLINEにも【帰りたい】【もう嫌だ】の文字が並ぶ。

何もしなさ過ぎてボケてしまいそうだとも。


日中、旦那の会社の常務から電話があったらしい。

忙しい時期に10月11月と、2ヶ月も入院となると、流石に会社側も迷惑に思っているに違いない。

使えないなら辞めてくれと、首を切られるかもしれないと旦那がぼやいていた矢先の着信。

内心ビックリした事だろう。

どんな内容だったと聞くと、旦那は少し微妙な表情で語った。

取り敢えず「体調はどう?」から始まり、今の仕事の状況説明、新しい従業員が増えた事等、話好きの常務はほぼ一方的に報告してきたという。

新しい従業員が増えたという事は、自分は不要なのか?と不安になった旦那。

しかし、常務は意外な事を口にしたそう。

復帰したら現場には出ず、内勤として自分や部長の補佐をして欲しい、そう言ったのだと。
 
その為に、パソコンを覚えたり、資格を取得したりして欲しいと言われたそう。

時に営業に出向いたり、見積書を作成したり……

現場に出て重労働をするより、こちらの方が体に負担がないだろうと、常務なりに考えてくれた上での申し出だったらしい。

旦那は現場で指示されて動いている方がいいらしく、常務の申し出にはあまり良い反応を見せていなかったけれど、私としては非常にありがたいお言葉だった。

退院したら、休んでいた分を取り戻す為、すぐに仕事に復帰したいと考えている旦那だけれど、ステロイドでの治療で体が弱くなっている状態で無理して欲しくない。

だから、常務が言うようにあまり体に負担のない内勤での事務作業や営業の方が断然良いと思う。

「しっかり治しなさい」と常務に言われ、通話は終了。

旦那は「治らないけどね…」と毒づいていたけれど、常務からのこの電話は、少なくとも私にとって、救いに思えた。

実際の常務の考えは、また別の所にあるのかもしれないけれど。

しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

痩せたがりの姫言(ひめごと)

エフ=宝泉薫
青春
ヒロインは痩せ姫。 姫自身、あるいは周囲の人たちが密かな本音をつぶやきます。 だから「姫言」と書いてひめごと。 別サイト(カクヨム)で書いている「隠し部屋のシルフィーたち」もテイストが似ているので、混ぜることにしました。 語り手も、語られる対象も、作品ごとに異なります。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

おじさん、女子高生になる

一宮 沙耶
大衆娯楽
だれからも振り向いてもらえないおじさん。 それが女子高生に向けて若返っていく。 そして政治闘争に巻き込まれていく。 その結末は?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

処理中です...