前向き時々後ろ向き

江上蒼羽

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10月22日

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10月22日(火)


天皇即位礼正殿の儀で祝日。

検査なし。

血圧正常、酸素数値やや低い。 

病室は設定温度を高くしてあるのか、少し暑い。

じっとしていれば気にならないけれど、動くと汗が滲む。

日曜と祝日は病院内のお風呂が使えない為、自称潔癖症の旦那はイライラ。

お風呂は毎日入らないと気が済まないタイプなので、病室入り口の手洗い場で髪を洗い、ボディーシートで入念に体を拭いていた。

髪を洗う際、洗面器でお湯を掛ける作業を手伝った。

髪を洗う旦那の指に絡む数本の毛、透ける頭皮を見て見ぬふり。

薬の副作用か、抜ける季節だからなのか、はたまたストレスか……

いずれにせよ、ここで下手に反応すると旦那が傷付くので精一杯平静を装った。

本人は軽く悲鳴を挙げていたけれど。


ここへ来て、漸く気持ちが落ち着いてきた。

やっと毎日メソメソの状態から脱却出来た。

投げやりになった訳ではなく、ステロイドに屈していない旦那の姿を見て、希望を持てたからだと思う。

泣いてても劇的な何かが起こる訳じゃないので。


旦那が入院してから、ご飯を作るのが億劫になった。

元々面倒臭がっていたけれど、更に輪をかけて嫌になった。

買い物に行っても何を買えばいいのだろう?と食材片手に悩む日々。

義父は、気に入らないおかずだと一切手を付けないし、気に入ったおかずでも翌日に残り物として出すと食べない。

子供達は、基本的に好きなものばかり食べる。

旦那は何でも食べてくれてた。

美味しいものは「これ旨い」と言ってくれ、微妙なものは何も言わずに食べてた。

少し前に料理研究家の平野レミさんが、ご主人が亡くなった時に、ご主人に料理を作る事が自分の幸せだった………といった内容のコメントを残していたけれど

そのコメントに“あぁ、なるほどなぁ……”と、妙に納得してしまった。

自分の心に響いたというか、何というか。

私自身、旦那の「旨い」を聞く為に料理をしていたんだろうなぁ。

少し億劫に感じてても、その言葉が励みになっていたんだと思う。

だからといって、子供達には毎日手抜き料理を食べさせるわけにはいかないから、ちゃんとバランスの取れた食事を作り続けるつもり。

私のモチベーションを保つ為にも、旦那には早く退院して貰いたい。

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