明楽日生

江上蒼羽

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10月24日(日)

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凛々しく正座をしている彼の隣にそっと腰を下ろした。

ピンと伸びた背筋と凛とした横顔に見惚れていると、不意に彼がこちらに顔を向ける。

私を見て微かに笑った彼は、少し強引に私を引き寄せた。

声も出せぬまま目を見開く私の口を彼の唇が覆う。

突然の出来事に私はただ驚くだけ。


間近にあるやや彫りの深い顔の美しさを直視出来なくて、固く目を瞑る。

柔らかい感触に脳天が痺れそうだ。

1度離れ、再度押し当てられる唇。

先程より更に深い。

成す術もなく……だからといって抵抗する気は更々なくて、素直に彼の熱を受け入れた。


長めの口付けの後、俯く私に彼は申し訳なさそうに言う。



「………すまない、嫌だっただろうか?」



私は首がもげてしまうんじゃないかってくらい激しく左右に振る。



「い、嫌な訳ないじゃないですか!逆に凄く嬉しい……」



恐らく真っ赤に染まっているであろう自分の顔を隠すように覆う。

照れる私につられながら、彼は「それは良かった」と優しく微笑んだ。




…………と、ここまでの時点で『あー……これ夢やなぁ…』と気が付いていた。

けれど、夢だからこそ目覚めるのが勿体なくて、必死に続きを見れるよう集中したのだが

カーテン隙間から射し込む陽の光と、限界まで達していた尿意によって強制的に目覚めさせられた。


夢の中での私はかなり若返って美化されていて、守ってあげたくなるような小柄な可愛い女子になっていた。

キスなんて最後にいつしたっけかやん?って程、年単位でご無沙汰なもんで、目が覚めた時にドキドキが暫く止まらなかった。

夢とはいえ、妙にリアルな感触だったのよ。

しかも相手は大好きな人。

最高だった。

キュンとは縁遠い枯れた日々を過ごしているオバハンながら、久し振りにキュンキュンする感覚を堪能させて頂いた。

少し気持ちが若返るかしら?なんつって。




………まぁ、キスの相手は2次元のキャラってのがヤバいんだけどさぁ(笑)

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