101 / 144
10月24日(日)
しおりを挟む凛々しく正座をしている彼の隣にそっと腰を下ろした。
ピンと伸びた背筋と凛とした横顔に見惚れていると、不意に彼がこちらに顔を向ける。
私を見て微かに笑った彼は、少し強引に私を引き寄せた。
声も出せぬまま目を見開く私の口を彼の唇が覆う。
突然の出来事に私はただ驚くだけ。
間近にあるやや彫りの深い顔の美しさを直視出来なくて、固く目を瞑る。
柔らかい感触に脳天が痺れそうだ。
1度離れ、再度押し当てられる唇。
先程より更に深い。
成す術もなく……だからといって抵抗する気は更々なくて、素直に彼の熱を受け入れた。
長めの口付けの後、俯く私に彼は申し訳なさそうに言う。
「………すまない、嫌だっただろうか?」
私は首がもげてしまうんじゃないかってくらい激しく左右に振る。
「い、嫌な訳ないじゃないですか!逆に凄く嬉しい……」
恐らく真っ赤に染まっているであろう自分の顔を隠すように覆う。
照れる私につられながら、彼は「それは良かった」と優しく微笑んだ。
…………と、ここまでの時点で『あー……これ夢やなぁ…』と気が付いていた。
けれど、夢だからこそ目覚めるのが勿体なくて、必死に続きを見れるよう集中したのだが
カーテン隙間から射し込む陽の光と、限界まで達していた尿意によって強制的に目覚めさせられた。
夢の中での私はかなり若返って美化されていて、守ってあげたくなるような小柄な可愛い女子になっていた。
キスなんて最後にいつしたっけかやん?って程、年単位でご無沙汰なもんで、目が覚めた時にドキドキが暫く止まらなかった。
夢とはいえ、妙にリアルな感触だったのよ。
しかも相手は大好きな人。
最高だった。
キュンとは縁遠い枯れた日々を過ごしているオバハンながら、久し振りにキュンキュンする感覚を堪能させて頂いた。
少し気持ちが若返るかしら?なんつって。
………まぁ、キスの相手は2次元のキャラってのがヤバいんだけどさぁ(笑)
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
3
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる