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○番外編・2○ 先生のお気に入り【八島莉緒エピソード】
家庭科教師がお気に入り②(八島莉央・談)
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「で?で?どうなのー先生!」
「ねぇねぇ、先生達いつから付き合ってるのー?」
案の定、興味本位の生徒達が入れ替わり立ち替わりで家庭科自習室までやって来る。
こちとら放課後になろうがまだまだお仕事があって忙しいというのに、彼女らは皆、そんな事はお構い無しだ。
「一週間も経ってないよー。はい、これでいいかな?部活動のない子はもう帰った、帰った!」
しっしっと手を払ってみせても、全然彼女達に移動する気配は無い。ノートを丸め、記者達が芸能人にマイクを突きつけて問い詰める時みたいに、それをこちらへ向けてきた。
「どこが好きなの?めっちゃ太ってんじゃーん、狸っちってさ」
狸っち…… 。んなあだ名がついてんのかい、狸小路さんったら。長いこと勤務していたというのに知らなかった。
今さっき思い付いたとかそんな感じなのか?もしかしたら。若い子達なら、有り得る!
交換したSNSで使用している名前も“タヌ吉”だったし、普段の見た目は信楽焼で、名前も狸小路だとあっては、ピッタリ過ぎて『失礼だからやめろ』とも言えない。
「まぁ、確かにぽっちゃりさんだけど、とっても優しいんだよー狸小路さんって。気遣いも出来るし、沢山手伝ってくれるしね」
そして、あのマシュマロボディ…… 。何か側に居るだけであったかいし、垂れ目でほんわかした笑顔がまたたまらん!のだが、この辺を言うと惚気になってくるので心の中だけにとどめておく。
「いやいや、ぽっちゃりレベルじゃ無いっす、アレは」
「んだよねぇー。マジ無いって、八島っち小さいのに、夜とか平気なのぉ?」
ニヤニヤと笑い、頬杖をつきながら訊かれ、このエロガキが!と言いそうになりグッと堪える。高校生ですもんねーそういう話とか興味津々っすよねぇ、うんうん。
「…… ナンノコトカナ。ガクセイガ、センセイニキクコトジャナイゾー」
棒読みになりながら、片付けを始める。
言えるかあぁ!しつこいし、絶倫でヤベェとか。
「狸っちってぇ、マグロっぽくね?全部八島っちに丸投げしちゃいそー」
「わっかるー!体力無さそうだもんねぇ。あと…… 童貞っぽいしぃ、早そう!」
勝手に盛り上がり、想像だけで非難すんな。
だがしかし、イケメン細マッチョに変身して放浪しまくりっすよなどと素直に言う気も無い。無いのだが…… 人の彼氏を散々目の前で非難とか、ちょっと酷くね?
どうせ今はこんな事言っておきながら、半年後の細くなった狸小路さんを見たら、掌返しをして『カッコイイ!』って騒ぎ出すに決まってるんだ。
白い肌のままだろうが、あのスタイルとあの顔立ちの青年を、学生共が放っておいてくれるとは到底思えない。『先生じゃ無いんだしワンチャンありじゃね?』なんて、言い出すに決まってる。彼女が居ようがなんだろうが、三十代から奪うのは簡単だと、十代なら企みそうだ…… 。
何かもう、全てが全て敵に見えてきた。——あ、なるほど…… 。今の狸小路さんの心境って、コレか。
「ねぇねぇ、先生達いつから付き合ってるのー?」
案の定、興味本位の生徒達が入れ替わり立ち替わりで家庭科自習室までやって来る。
こちとら放課後になろうがまだまだお仕事があって忙しいというのに、彼女らは皆、そんな事はお構い無しだ。
「一週間も経ってないよー。はい、これでいいかな?部活動のない子はもう帰った、帰った!」
しっしっと手を払ってみせても、全然彼女達に移動する気配は無い。ノートを丸め、記者達が芸能人にマイクを突きつけて問い詰める時みたいに、それをこちらへ向けてきた。
「どこが好きなの?めっちゃ太ってんじゃーん、狸っちってさ」
狸っち…… 。んなあだ名がついてんのかい、狸小路さんったら。長いこと勤務していたというのに知らなかった。
今さっき思い付いたとかそんな感じなのか?もしかしたら。若い子達なら、有り得る!
交換したSNSで使用している名前も“タヌ吉”だったし、普段の見た目は信楽焼で、名前も狸小路だとあっては、ピッタリ過ぎて『失礼だからやめろ』とも言えない。
「まぁ、確かにぽっちゃりさんだけど、とっても優しいんだよー狸小路さんって。気遣いも出来るし、沢山手伝ってくれるしね」
そして、あのマシュマロボディ…… 。何か側に居るだけであったかいし、垂れ目でほんわかした笑顔がまたたまらん!のだが、この辺を言うと惚気になってくるので心の中だけにとどめておく。
「いやいや、ぽっちゃりレベルじゃ無いっす、アレは」
「んだよねぇー。マジ無いって、八島っち小さいのに、夜とか平気なのぉ?」
ニヤニヤと笑い、頬杖をつきながら訊かれ、このエロガキが!と言いそうになりグッと堪える。高校生ですもんねーそういう話とか興味津々っすよねぇ、うんうん。
「…… ナンノコトカナ。ガクセイガ、センセイニキクコトジャナイゾー」
棒読みになりながら、片付けを始める。
言えるかあぁ!しつこいし、絶倫でヤベェとか。
「狸っちってぇ、マグロっぽくね?全部八島っちに丸投げしちゃいそー」
「わっかるー!体力無さそうだもんねぇ。あと…… 童貞っぽいしぃ、早そう!」
勝手に盛り上がり、想像だけで非難すんな。
だがしかし、イケメン細マッチョに変身して放浪しまくりっすよなどと素直に言う気も無い。無いのだが…… 人の彼氏を散々目の前で非難とか、ちょっと酷くね?
どうせ今はこんな事言っておきながら、半年後の細くなった狸小路さんを見たら、掌返しをして『カッコイイ!』って騒ぎ出すに決まってるんだ。
白い肌のままだろうが、あのスタイルとあの顔立ちの青年を、学生共が放っておいてくれるとは到底思えない。『先生じゃ無いんだしワンチャンありじゃね?』なんて、言い出すに決まってる。彼女が居ようがなんだろうが、三十代から奪うのは簡単だと、十代なら企みそうだ…… 。
何かもう、全てが全て敵に見えてきた。——あ、なるほど…… 。今の狸小路さんの心境って、コレか。
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