19 / 29
【童話に対して思うこと】(作品ミックス・一話完結)
【赤ずきんは森のオオカミに恋をする】レン×狼さんの場合
しおりを挟む
これはまだ、狼さんが秘密基地めいたツリーハウスに一匹で暮らし、レンが押し掛け女房的行為を勤しんでいた時期のお話——
「じゃじゃーん。こぉれ、なーんだ」
そう言って、レンは狼に向かい一冊の本を見せた。その大きめな本はちょっとした凶器の代わりになりそうな程の分厚さがある。装飾はとても丁寧で、表紙に入る絵は綺麗な赤い薔薇。その薔薇は淡く光を放っているが、項垂れていて今にも枯れそうで、ちょっと寂しげな雰囲気があった。
「本、だろう?それくらい知ってる。何だ?無知な私を『獣だからどうせ知らない』と言って、笑い者にでもしたかったのか?——はっ!残念だったな」
「そんなつもりは全然無いよ。君ったら、被害妄想が過ぎるんじゃないの?」
お前がそれを言うか⁉︎
散々レンからは被害にしか合っていない狼はそう思ったが、それは言わないでおいた。馬鹿にするつもりで本を持って来た訳では無かった事が、正直嬉しかったのだ。
その事でちょっと気分を良くした狼が、鼻高々に話を続ける。
「中身だってなぁ、タイトルから想像がつくぞ。だからそれを読む気は全然無いからな、持って帰ってくれ。ここに置いていっても、私はその本を重石代わりにするか、お前を嵌める為の罠の材料くらいにしかしないぞ?」
「ハメるだなんてイヤラシイなぁ。でもそれは僕の役目だよね」
ニヤニヤと笑いながら、レンが狼の頬をツンツンと突つく。
「ちが!何をだ一体!全く…… だいだいアレだ、そんな本を持ってくるお前の方が、もっとずっとイヤラシイじゃないか。どうせお前みたいな主人公が、すごくイヤラシイ事を沢山しているような話なんだろう?んで、それを読めないであろう私にお前が自慢気に読み聞かせ、私が大騒ぎする様を見て高笑いする気だったんだ!でも残念だったな、私はお前のおばあさまから字を習い始めたから、いつかきっと、自分でだって本を読める様になってやるんだからな!」
ふんっと鼻息荒く、狼が胸を張る。だがその発言は、レンの情念を刺激するには十分過ぎる内容だった。
「え。字を習ってるの?それって僕の為だよね⁉︎や、やだ、君ってば、か、か、可愛過ぎでしょー!しかもそんな内容だと、勘違いしているくせに、自分で読めるから読んでもらう必要が無いだなんて、言っちゃうとか」
「…… へ?」
間に抜けた声が狼の口から溢れ出た。本当に、全く、そういう意図にしか取れないような発言をしてしまった自覚が無かったみたいだ。
「…… あ。う、う、うわぁぁぁ!ちが、違う!それを読みたいとかじゃなく、いつかは私だって文字を読めると言いたかっただけで!」
「しかもタイトル絶対に読み間違ってるし。『と』の部分を『が』って読んだでしょ。何?君ってば、そんなに僕の容姿が好きなの?そんなに可愛い?あ、違うね、僕は…… そんなに君の目から見ると美しいの?」
スッと目を細め、レンが狼の方へにじり寄る。両手両足を床につき、まるで獲物を狙う獣の様だ。
「しかも、淫猥な内容の本を読み聞かせる、か。そんな事は考えた事も無かったけど、いいね。最っ高の企画だよ。僕にでもその類の本を入手出来る様になったら、すぐにでも持って来てあげる。その頃には本当に君も字が読めるだろうし、ベットの中でじっくり僕に読んで聞かせてよ。同じ事をたっぷり実体験させてあげるから、ね?」
「や、やめ、いや、待って、許してぇぇぇぇ!」
金色の髪を揺らし、人の姿をした獣が狼に襲いかかって彼女の首に甘噛みをする。レンが手に持っていた本は床へと転がっており、その表紙には『美女と野獣』のタイトルが書かれていたのだった。
【終わり】
「じゃじゃーん。こぉれ、なーんだ」
そう言って、レンは狼に向かい一冊の本を見せた。その大きめな本はちょっとした凶器の代わりになりそうな程の分厚さがある。装飾はとても丁寧で、表紙に入る絵は綺麗な赤い薔薇。その薔薇は淡く光を放っているが、項垂れていて今にも枯れそうで、ちょっと寂しげな雰囲気があった。
「本、だろう?それくらい知ってる。何だ?無知な私を『獣だからどうせ知らない』と言って、笑い者にでもしたかったのか?——はっ!残念だったな」
「そんなつもりは全然無いよ。君ったら、被害妄想が過ぎるんじゃないの?」
お前がそれを言うか⁉︎
散々レンからは被害にしか合っていない狼はそう思ったが、それは言わないでおいた。馬鹿にするつもりで本を持って来た訳では無かった事が、正直嬉しかったのだ。
その事でちょっと気分を良くした狼が、鼻高々に話を続ける。
「中身だってなぁ、タイトルから想像がつくぞ。だからそれを読む気は全然無いからな、持って帰ってくれ。ここに置いていっても、私はその本を重石代わりにするか、お前を嵌める為の罠の材料くらいにしかしないぞ?」
「ハメるだなんてイヤラシイなぁ。でもそれは僕の役目だよね」
ニヤニヤと笑いながら、レンが狼の頬をツンツンと突つく。
「ちが!何をだ一体!全く…… だいだいアレだ、そんな本を持ってくるお前の方が、もっとずっとイヤラシイじゃないか。どうせお前みたいな主人公が、すごくイヤラシイ事を沢山しているような話なんだろう?んで、それを読めないであろう私にお前が自慢気に読み聞かせ、私が大騒ぎする様を見て高笑いする気だったんだ!でも残念だったな、私はお前のおばあさまから字を習い始めたから、いつかきっと、自分でだって本を読める様になってやるんだからな!」
ふんっと鼻息荒く、狼が胸を張る。だがその発言は、レンの情念を刺激するには十分過ぎる内容だった。
「え。字を習ってるの?それって僕の為だよね⁉︎や、やだ、君ってば、か、か、可愛過ぎでしょー!しかもそんな内容だと、勘違いしているくせに、自分で読めるから読んでもらう必要が無いだなんて、言っちゃうとか」
「…… へ?」
間に抜けた声が狼の口から溢れ出た。本当に、全く、そういう意図にしか取れないような発言をしてしまった自覚が無かったみたいだ。
「…… あ。う、う、うわぁぁぁ!ちが、違う!それを読みたいとかじゃなく、いつかは私だって文字を読めると言いたかっただけで!」
「しかもタイトル絶対に読み間違ってるし。『と』の部分を『が』って読んだでしょ。何?君ってば、そんなに僕の容姿が好きなの?そんなに可愛い?あ、違うね、僕は…… そんなに君の目から見ると美しいの?」
スッと目を細め、レンが狼の方へにじり寄る。両手両足を床につき、まるで獲物を狙う獣の様だ。
「しかも、淫猥な内容の本を読み聞かせる、か。そんな事は考えた事も無かったけど、いいね。最っ高の企画だよ。僕にでもその類の本を入手出来る様になったら、すぐにでも持って来てあげる。その頃には本当に君も字が読めるだろうし、ベットの中でじっくり僕に読んで聞かせてよ。同じ事をたっぷり実体験させてあげるから、ね?」
「や、やめ、いや、待って、許してぇぇぇぇ!」
金色の髪を揺らし、人の姿をした獣が狼に襲いかかって彼女の首に甘噛みをする。レンが手に持っていた本は床へと転がっており、その表紙には『美女と野獣』のタイトルが書かれていたのだった。
【終わり】
0
あなたにおすすめの小説
17歳男子高生と32歳主婦の境界線
MisakiNonagase
恋愛
32歳の主婦・加恋。冷え切った家庭で孤独に苛まれる彼女を救い出したのは、ネットの向こう側にいた二十歳(はたち)と偽っていた17歳の少年・晴人だった。
「未成年との不倫」という、社会から断罪されるべき背徳。それでも二人は、震える手で未来への約束を交わす。少年が大学生になり、社会人となり、守られる存在から「守る男」へと成長していく中で、加恋は自らの手で「妻」という仮面を脱ぎ捨てていく…
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
還暦の性 若い彼との恋愛模様
MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。
そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様。
その後、結婚、そして永遠の別れまでを描いたストーリーです。
全7話
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる