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【童話に対して思うこと】(作品ミックス・一話完結)
【言葉の鎖】徳永×茜の場合(矢花茜・談)
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鏡よ、鏡…… 世界で一番美しいのは、だあれ?——
病院の片隅にある、キッズコーナーに放置されていた白雪姫の絵本を片付けようにした時、開いたままになっていたページの端っこに、有名なセリフが書かれているのが目に入った。
「美しいのは…… か」
膝をついて座り、本を手に取って私がボソッと呟くと、「何サボってるんですか?まだ患者さん、いますよ?」と、背後から声をかけられた。そのくせ私の肩に顎をのせてくるのだから、他人からは、後ろから私に抱きついているようにしか見えないのではないかと思うと、背中に冷や汗が流れた。
「せ、先生?離れないと…… 。何をしてるのかと、思われますよ?」
「そうかもしれませんね。ここの病院は、真っ昼間から何をしているんだと…… 白い目で見られるかも」
と言うくせに、人の耳をカプリと噛んでくるせいで、私は「ひゃあ!」と情けない声をあげてしまった。咄嗟に慌てて口を両手で塞いだが、そのせいで手からは絵本がトサッと落ちてしまった。
「あぁーあ、本が折れちゃうじゃないか。せっかく寄贈してもらった物なのに」
「だって、先生が!——あ」
大声をあげてしまい、また急いで口を塞ぐ。そんな事をしても叫んだ事実は消えないっていうのに、それでもじっとはしていられなかった。
「先生が…… 何?耳を噛んだのがいけなかったのか?首を吸った方がいい?それとも…… 胸、触ってくれないから拗ねた、とか?」
「そ、そんな訳がないじゃないですかっ」
語気は強めに、でも小声で文句を言う。
患者さんに聞かれたら一体どうするというのだ、全く。というか、もうかなり聞こえているのでは?変に思われる程度で済む話の内容では無いのに何を考え…… ——あぁ!
「…… やっと気が付いたのか?患者さんは、もう俺が会計を済ませて、お帰り頂いたよ」
呆れ声で言われたが、『患者さんが居る』と言ったのはそっちじゃないか。あぁ、また意地悪ですか!そうですよね、私を揶揄うのが趣味みたいですし⁉︎ホント、先生のそういう所が嫌になる。
「まぁ、冗談はさておき、だ。何見てたんだ?」
じょ、冗談…… ですか。イヤイヤ、先生待て。ソレはセクハラでしかなく、冗談では済みませんとツッコミたい。だがそんな事を言えば、またスタッフルームに連行され、あれよあれよとスカートの中に手を入れ、『セクハラってのは、こういう事を指すんだぞ?』とえっちな行為を強要してくるに決まってる!
なので私はぐっと言いたい気持ちを堪えて、彼の問いかけにきちんと答える事とした。
「白雪姫の絵本だよ。別に、読んでいた訳では無いよ?開いたまま放置してあったので、ちょっと目に入っただけで」
「ふーん…… 。全然話なんか覚えてないな。林檎をかじったら死んだお姫様のお話、だったか?」
眼鏡の奥に見える瞳が、心底どうでも良さそうな色をしている。子どもは欲しいらしいが、こんなテキトーにしかお話を覚えていなくって大丈夫なのだろうか?
「死んでないし、白雪姫は。眠っていただけですよ?死んだみたいに」
「イヤイヤ、普通に考えて死ぬだろ。喉に林檎詰まって倒れてたんだぞ?しかも、一人きりの時に。小人が帰って来て、棺に入れられてって、その時点でもう時間切れだ。助からん。適切に対処出来なかったくせに、棺はきっちり用意していやがった小人達が殺したも同然だ」
パラパラとページをめくり、文句を言う。もう内容を把握したみたいではあるが、なんともまぁ大人目線の読み方をするものだ。
「作品によっては棺には入れず、台の上で花に囲まれて寝かされているだけだったりと、しっかり考えてあるものもあるよ?これは、たまたまた、何でか棺に入ってるけど」
「へぇ…… 」
反応が薄い。やっぱり、そんな事はどうでもよさそうだ…… 。
「そう言えばさっき、『美しいのは』とかこぼしていたけど、何か気になるのか?整形したいとか言ったら茜の給与、今月からこの先全部差し押さえるけど」
「鬼ですか、アンタは!」
「『ですか』って、おい。…… また、敬語」と言いつつ、私の頬を引っ張る。この程度でも怒るとか、これくらいは許して欲しいものだ。二人きりだと認識した時は敬語禁止とか、ホント面倒臭い。どっちでもいいじゃないか、その時その時の話し易い方で。
先生はただ単に私を苛めたい材料の一つとして言っているだけだという事に気付かぬまま、話は続く。
「徳永先生は、よく私の顔が好きだって言うけど…… 私が年をとったら、どうなるのかな…… と、ちょっと…… 思って」
声が小さくなり、俯いてしまう。
べ、別に先生が好きって訳じゃ無い!強姦魔だし、セクハラすごいし、毎夜どころか、真昼間でも襲ってくるし!性格も悪いし、女癖も悪かったみたいだし!好きになる要素なんか、顔くらいなものだ。
「茜は、歳をとったら目鼻が逆転でもするのか?口と耳の位置が変わるとか?」
「んな訳、あるはずが無いじゃない」
「なら心配いらんだろ。俺はそのパーツ配置が好きなのであって、『若いから』『可愛いから』好きな顔だって訳じゃ無いんだし」
「…… そ、そうなの?」
「歳をとるなんてお互い様だろ?俺だって、茜から見ればおっさん目前の年齢な訳だし。なのにソレを棚に上げて、『老けたお前は好きじゃない』とか言って、他にいくとでも思ってるのか?冗談じゃない。俺はこの特等席で、その顔が段々と味わい深くなっていく様子を見守ると決めてんだ。この先の楽しみを俺から奪うとか…… どうなるかわかってて言ってるのか?」
後ろから顎を掴まれ、上を無理やり向かされる。先生の顔は見えないが、その声には闇深いものを感じ、白雪姫の魔女並みに怖いと思った。
でも、同時に嬉しくも思う。私の事はただ一時の感情で縛っている訳ではなさそうだ。
だけど、それと同時に、また私を縛る言葉が増えてしまった。そのうち完全に私をがんじがらめにして、一切の思考まで奪われそうで怖くなる。こんな人は危険だからすぐにでも離れるべきだってわかってるはずなのに、警告音のする方向へ戸板を立てて、耳を塞いでしまいたくなるくらい…… 言葉の奥に眠る真意が甘い。
「まったく…… 散々その体に、茜が好きだって、叩き込んでいるのに、まだわかってないとか。呆れるよ、ホント」
叩き込まれているのは性欲であって、愛情では…… ない気が。
「今何か言ったか?」
「何も言ってないよ?」
絶対に口に出してないのに気配で察知とか、怖過ぎる!
「とにかくまぁ」と言い、先生が私を背後からのままギュッと抱きしめてくる。
「そんな訳だから、このお姫様の継母みたいに、誰よりも美しい姿なんぞに執着しなくても、俺はお前を手放したりはしないよ。指輪までやったのに、まだ信じられんのか?」
「べ、別に…… そんな心配は」
「嘘だね」
…… ハイソウデスネ。
でもだからって、『うん、そうなの』なんて言える程私は素直では無い。物語の白雪姫の様な純粋で心優しい真っ白なお姫様では無いのだ。脱げばもう体中占有の証だらけで、『ここまでいくともう虐待ですよね?皮下出血多過ぎてとんでもない事になってんですけど!』なレベルのせいで温泉にも行けない身にされ、素直なんて言葉はとっくに廃棄処理してしまったのだから。
「まーだ足りないとか、ホント茜は貪欲だなぁ。でも残念、もうすぐで本当に患者さんが来る。あと少しで予約の時間になるからな。そうでなければもう、即座にでも今この場で…… と、あまり言うと茜の体が反射的に火照ってしまうから、控えた方がいいかな?」
着ている白衣の襟付近を少し引っ張り、見えるか見えないかの位置に、また先生が私の体に赤い跡を増やしていく。今回は厄介な位置なので、意識していなければ簡単に見えてしまいそうだ。
「…… ははは。気になって、気になって仕方がないみたいだな。これで四六時中、俺のことばかり考えちゃうね」
考えるのは『見えてしまわないかどうか』であって徳永先生の事、では無いのですが…… ソレは自分の為にも黙っておきます。
「じゃあ、おもちゃの片付けの続き、よろしくね」
そう言って、先生は私の両肩をポンッと軽く叩く。すっかりお仕事向けの顔付きになっており、私はその顔を見て『こんな王子様のキスで目が覚めたりでもしたら、お姫様なんてイチコロなんだろうなぁ』なんて事を、ぼんやりと考えてしまったのだった。
【終わり】
病院の片隅にある、キッズコーナーに放置されていた白雪姫の絵本を片付けようにした時、開いたままになっていたページの端っこに、有名なセリフが書かれているのが目に入った。
「美しいのは…… か」
膝をついて座り、本を手に取って私がボソッと呟くと、「何サボってるんですか?まだ患者さん、いますよ?」と、背後から声をかけられた。そのくせ私の肩に顎をのせてくるのだから、他人からは、後ろから私に抱きついているようにしか見えないのではないかと思うと、背中に冷や汗が流れた。
「せ、先生?離れないと…… 。何をしてるのかと、思われますよ?」
「そうかもしれませんね。ここの病院は、真っ昼間から何をしているんだと…… 白い目で見られるかも」
と言うくせに、人の耳をカプリと噛んでくるせいで、私は「ひゃあ!」と情けない声をあげてしまった。咄嗟に慌てて口を両手で塞いだが、そのせいで手からは絵本がトサッと落ちてしまった。
「あぁーあ、本が折れちゃうじゃないか。せっかく寄贈してもらった物なのに」
「だって、先生が!——あ」
大声をあげてしまい、また急いで口を塞ぐ。そんな事をしても叫んだ事実は消えないっていうのに、それでもじっとはしていられなかった。
「先生が…… 何?耳を噛んだのがいけなかったのか?首を吸った方がいい?それとも…… 胸、触ってくれないから拗ねた、とか?」
「そ、そんな訳がないじゃないですかっ」
語気は強めに、でも小声で文句を言う。
患者さんに聞かれたら一体どうするというのだ、全く。というか、もうかなり聞こえているのでは?変に思われる程度で済む話の内容では無いのに何を考え…… ——あぁ!
「…… やっと気が付いたのか?患者さんは、もう俺が会計を済ませて、お帰り頂いたよ」
呆れ声で言われたが、『患者さんが居る』と言ったのはそっちじゃないか。あぁ、また意地悪ですか!そうですよね、私を揶揄うのが趣味みたいですし⁉︎ホント、先生のそういう所が嫌になる。
「まぁ、冗談はさておき、だ。何見てたんだ?」
じょ、冗談…… ですか。イヤイヤ、先生待て。ソレはセクハラでしかなく、冗談では済みませんとツッコミたい。だがそんな事を言えば、またスタッフルームに連行され、あれよあれよとスカートの中に手を入れ、『セクハラってのは、こういう事を指すんだぞ?』とえっちな行為を強要してくるに決まってる!
なので私はぐっと言いたい気持ちを堪えて、彼の問いかけにきちんと答える事とした。
「白雪姫の絵本だよ。別に、読んでいた訳では無いよ?開いたまま放置してあったので、ちょっと目に入っただけで」
「ふーん…… 。全然話なんか覚えてないな。林檎をかじったら死んだお姫様のお話、だったか?」
眼鏡の奥に見える瞳が、心底どうでも良さそうな色をしている。子どもは欲しいらしいが、こんなテキトーにしかお話を覚えていなくって大丈夫なのだろうか?
「死んでないし、白雪姫は。眠っていただけですよ?死んだみたいに」
「イヤイヤ、普通に考えて死ぬだろ。喉に林檎詰まって倒れてたんだぞ?しかも、一人きりの時に。小人が帰って来て、棺に入れられてって、その時点でもう時間切れだ。助からん。適切に対処出来なかったくせに、棺はきっちり用意していやがった小人達が殺したも同然だ」
パラパラとページをめくり、文句を言う。もう内容を把握したみたいではあるが、なんともまぁ大人目線の読み方をするものだ。
「作品によっては棺には入れず、台の上で花に囲まれて寝かされているだけだったりと、しっかり考えてあるものもあるよ?これは、たまたまた、何でか棺に入ってるけど」
「へぇ…… 」
反応が薄い。やっぱり、そんな事はどうでもよさそうだ…… 。
「そう言えばさっき、『美しいのは』とかこぼしていたけど、何か気になるのか?整形したいとか言ったら茜の給与、今月からこの先全部差し押さえるけど」
「鬼ですか、アンタは!」
「『ですか』って、おい。…… また、敬語」と言いつつ、私の頬を引っ張る。この程度でも怒るとか、これくらいは許して欲しいものだ。二人きりだと認識した時は敬語禁止とか、ホント面倒臭い。どっちでもいいじゃないか、その時その時の話し易い方で。
先生はただ単に私を苛めたい材料の一つとして言っているだけだという事に気付かぬまま、話は続く。
「徳永先生は、よく私の顔が好きだって言うけど…… 私が年をとったら、どうなるのかな…… と、ちょっと…… 思って」
声が小さくなり、俯いてしまう。
べ、別に先生が好きって訳じゃ無い!強姦魔だし、セクハラすごいし、毎夜どころか、真昼間でも襲ってくるし!性格も悪いし、女癖も悪かったみたいだし!好きになる要素なんか、顔くらいなものだ。
「茜は、歳をとったら目鼻が逆転でもするのか?口と耳の位置が変わるとか?」
「んな訳、あるはずが無いじゃない」
「なら心配いらんだろ。俺はそのパーツ配置が好きなのであって、『若いから』『可愛いから』好きな顔だって訳じゃ無いんだし」
「…… そ、そうなの?」
「歳をとるなんてお互い様だろ?俺だって、茜から見ればおっさん目前の年齢な訳だし。なのにソレを棚に上げて、『老けたお前は好きじゃない』とか言って、他にいくとでも思ってるのか?冗談じゃない。俺はこの特等席で、その顔が段々と味わい深くなっていく様子を見守ると決めてんだ。この先の楽しみを俺から奪うとか…… どうなるかわかってて言ってるのか?」
後ろから顎を掴まれ、上を無理やり向かされる。先生の顔は見えないが、その声には闇深いものを感じ、白雪姫の魔女並みに怖いと思った。
でも、同時に嬉しくも思う。私の事はただ一時の感情で縛っている訳ではなさそうだ。
だけど、それと同時に、また私を縛る言葉が増えてしまった。そのうち完全に私をがんじがらめにして、一切の思考まで奪われそうで怖くなる。こんな人は危険だからすぐにでも離れるべきだってわかってるはずなのに、警告音のする方向へ戸板を立てて、耳を塞いでしまいたくなるくらい…… 言葉の奥に眠る真意が甘い。
「まったく…… 散々その体に、茜が好きだって、叩き込んでいるのに、まだわかってないとか。呆れるよ、ホント」
叩き込まれているのは性欲であって、愛情では…… ない気が。
「今何か言ったか?」
「何も言ってないよ?」
絶対に口に出してないのに気配で察知とか、怖過ぎる!
「とにかくまぁ」と言い、先生が私を背後からのままギュッと抱きしめてくる。
「そんな訳だから、このお姫様の継母みたいに、誰よりも美しい姿なんぞに執着しなくても、俺はお前を手放したりはしないよ。指輪までやったのに、まだ信じられんのか?」
「べ、別に…… そんな心配は」
「嘘だね」
…… ハイソウデスネ。
でもだからって、『うん、そうなの』なんて言える程私は素直では無い。物語の白雪姫の様な純粋で心優しい真っ白なお姫様では無いのだ。脱げばもう体中占有の証だらけで、『ここまでいくともう虐待ですよね?皮下出血多過ぎてとんでもない事になってんですけど!』なレベルのせいで温泉にも行けない身にされ、素直なんて言葉はとっくに廃棄処理してしまったのだから。
「まーだ足りないとか、ホント茜は貪欲だなぁ。でも残念、もうすぐで本当に患者さんが来る。あと少しで予約の時間になるからな。そうでなければもう、即座にでも今この場で…… と、あまり言うと茜の体が反射的に火照ってしまうから、控えた方がいいかな?」
着ている白衣の襟付近を少し引っ張り、見えるか見えないかの位置に、また先生が私の体に赤い跡を増やしていく。今回は厄介な位置なので、意識していなければ簡単に見えてしまいそうだ。
「…… ははは。気になって、気になって仕方がないみたいだな。これで四六時中、俺のことばかり考えちゃうね」
考えるのは『見えてしまわないかどうか』であって徳永先生の事、では無いのですが…… ソレは自分の為にも黙っておきます。
「じゃあ、おもちゃの片付けの続き、よろしくね」
そう言って、先生は私の両肩をポンッと軽く叩く。すっかりお仕事向けの顔付きになっており、私はその顔を見て『こんな王子様のキスで目が覚めたりでもしたら、お姫様なんてイチコロなんだろうなぁ』なんて事を、ぼんやりと考えてしまったのだった。
【終わり】
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