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【それでも俺は貴女が好き】
好きの先にある欲④
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「…… そうきたかって感じなんだけど、鈴音さん」
鈴音の目的地であったホテルの一室に入るなり、今まで言うのを我慢していた一言を、要が額を押さえながら吐き出した。
「こ、ここもホテルだろう?間違った場所には案内していないし、アタシは要を騙してもいないぞ?」
「…… そっすね」と言った要の表情は、何とも言えぬものとなっている。
確かに、確かにここはホテルだ。だが、温泉地などに大量にあるホテルであって、街中の隅っこにある方では無かった。露天風呂やゲームコーナー等が館内に、周辺には観光施設や縁結びなどを売りにした神社などもある様な、家族連れに人気の施設の方だ。
「要だって、文句無く、笑顔のままここまでついて来たじゃないか。それなのに今更言うか?」
「や、あのね?従業員さんや温泉を楽しみに来てる人達が周囲に居て、『ここじゃ無い。約束が違う』とか言えると思う?言えないよね?そこまで俺、空気読まん奴じゃ無いよ?」
そうは言いつつも要は和室仕様の室内に入るなり、テーブルの上に置かれたお茶を淹れようと準備を始める。「あ、ありがと」と、少し申し訳なさそうに礼を言いながら、鈴音は彼の隣に座った。
「一息ついたら、周辺の施設でも見に行かないか?足湯とか、お土産や以外にも見所が多いぞ、この辺りは」
「そうかもね。そのつもりで来たのなら、まぁそれもありだけど…… 。俺的には、ここまでの移動で充分ドライブデートを満喫出来たから、もう次に進みたい気分なんだけどなぁ」
口をとがらせ、要がテーブルに頬杖をつく。
拗ねているとまではいかないが、ちょっと騙された気がする感がどうしても拭えない。これから自分が抱かれちゃう施設に、女性側が車を運転して移動しているというシュチュエーションにドキドキしながらの道中だった為、落胆の方はかなり大きい。『ここならアンタを騙す事もなく、貞操も守れる』と考えての選択だったりしてと思うと正直切ない。
だが、向こうには全くその気がなかったのに、年単位で溜めた性欲に負け、押し切って得た約束な手前、これ以上我儘を言っていいのか悩む。だけどそうまでして得た機会をこのまま流したくも無い。これを逃せばガチで次は来年の一月かもとも考えてしまい、段々と要の口元がへの字に曲がっていった。
「しかし、よく考えたものだよね。お昼寝プランなんてさぁ。んなサービスがあるなんて知りもしなかったよ」
嫌味っぽい言い回しをしてしまい、要は少し後悔した。だが、鈴音の方は気にも留めていない。
「前に来た事があったんだよ。温泉に入って一息つくと眠くなる人も多いらしいから、結構人気があるんだぞ」
「鈴音さんが旅行慣れしている事を、初めて恨みたくなってきたよ」
ブーブーと文句を言いながら、要が「ていやー」と棒読みの声をあげながら鈴音の体に横から体当たりをする。その瞳に諦めは無く、どうにかこうにか自分のターンに引き戻そうと企んでいた。
「んな⁉︎」と声をあげ、唖然としながらも畳の上に鈴音と要の両名が転がった。お昼寝プランをうたうだけあって、部屋には既にもう二名分の布団が敷いてあり、このままグルンと転がっていけば布団まで直行出来そうな位置だ。
「…… しよ?」
「…… や、あー…… ボロアパートという程ではないが、騒げば隣の部屋に声が聞こえかねない程度だと思うぞ?」
鈴音の声が明らかに焦っている。だが、要の抱擁から逃げる事はなく、ちょっと気恥ずかしいといった雰囲気だ。
「もしかして、鈴音さんは、海外のエロ動画並みにあんあん言っちゃうタイプなの?」
「言わんわ!」
「じゃあ平気でしょ。それにほら…… 団体さんにも対応してるーってだけで、ここだってホテルだよね。夫婦とか、カップルでだって泊まりにくる場所でもある訳だ。そうなると、当然浴衣姿とかでエロい事くらいみんなするよねー」
ニヤッと笑って、要が鈴音の胸に顔を埋める。もう既にさっきまでの葛藤なんかなんのその、スイッチが入りかけており、観光や温泉に行く気など皆無だ。
「という訳で、着替えようか!浴衣姿に」
「風呂も入ってないのにか⁉︎そ、それだけの為だけにか?」
「…… あ、いや。それは次回の楽しみにしようかな。いきなり着衣プレイよりは、そういうのは徐々に…… えへへ」
「へ、変態か!」と言って、鈴音が要の額を軽く小突く。
「性欲真っ盛りの男を長年放置してれば、そりゃ拗れるってもんっすよ。なので鈴音さんがぁ、責任取ってねー」
胸の谷間に埋めている顔を右に左に振って、要が顔でその感触を楽しむ。もう一部が少し元気になり始め、段々と呼吸が荒れて目も座ってきた。
「んっ…… 」
短い声を鈴音がこぼし、とっさに口を手で塞ぐ。頰も赤くなってきており、彼女の方も満更でもなさそうだ。
「…… 好きだよ、鈴音さん。ねぇもっと聞かせて?あ、でも…… 俺だけに、聞こえるくらいでね?」と、要が言い終わる頃にはもう、二人は互いの唇を激しく求め始めたのだった。
【続く】
鈴音の目的地であったホテルの一室に入るなり、今まで言うのを我慢していた一言を、要が額を押さえながら吐き出した。
「こ、ここもホテルだろう?間違った場所には案内していないし、アタシは要を騙してもいないぞ?」
「…… そっすね」と言った要の表情は、何とも言えぬものとなっている。
確かに、確かにここはホテルだ。だが、温泉地などに大量にあるホテルであって、街中の隅っこにある方では無かった。露天風呂やゲームコーナー等が館内に、周辺には観光施設や縁結びなどを売りにした神社などもある様な、家族連れに人気の施設の方だ。
「要だって、文句無く、笑顔のままここまでついて来たじゃないか。それなのに今更言うか?」
「や、あのね?従業員さんや温泉を楽しみに来てる人達が周囲に居て、『ここじゃ無い。約束が違う』とか言えると思う?言えないよね?そこまで俺、空気読まん奴じゃ無いよ?」
そうは言いつつも要は和室仕様の室内に入るなり、テーブルの上に置かれたお茶を淹れようと準備を始める。「あ、ありがと」と、少し申し訳なさそうに礼を言いながら、鈴音は彼の隣に座った。
「一息ついたら、周辺の施設でも見に行かないか?足湯とか、お土産や以外にも見所が多いぞ、この辺りは」
「そうかもね。そのつもりで来たのなら、まぁそれもありだけど…… 。俺的には、ここまでの移動で充分ドライブデートを満喫出来たから、もう次に進みたい気分なんだけどなぁ」
口をとがらせ、要がテーブルに頬杖をつく。
拗ねているとまではいかないが、ちょっと騙された気がする感がどうしても拭えない。これから自分が抱かれちゃう施設に、女性側が車を運転して移動しているというシュチュエーションにドキドキしながらの道中だった為、落胆の方はかなり大きい。『ここならアンタを騙す事もなく、貞操も守れる』と考えての選択だったりしてと思うと正直切ない。
だが、向こうには全くその気がなかったのに、年単位で溜めた性欲に負け、押し切って得た約束な手前、これ以上我儘を言っていいのか悩む。だけどそうまでして得た機会をこのまま流したくも無い。これを逃せばガチで次は来年の一月かもとも考えてしまい、段々と要の口元がへの字に曲がっていった。
「しかし、よく考えたものだよね。お昼寝プランなんてさぁ。んなサービスがあるなんて知りもしなかったよ」
嫌味っぽい言い回しをしてしまい、要は少し後悔した。だが、鈴音の方は気にも留めていない。
「前に来た事があったんだよ。温泉に入って一息つくと眠くなる人も多いらしいから、結構人気があるんだぞ」
「鈴音さんが旅行慣れしている事を、初めて恨みたくなってきたよ」
ブーブーと文句を言いながら、要が「ていやー」と棒読みの声をあげながら鈴音の体に横から体当たりをする。その瞳に諦めは無く、どうにかこうにか自分のターンに引き戻そうと企んでいた。
「んな⁉︎」と声をあげ、唖然としながらも畳の上に鈴音と要の両名が転がった。お昼寝プランをうたうだけあって、部屋には既にもう二名分の布団が敷いてあり、このままグルンと転がっていけば布団まで直行出来そうな位置だ。
「…… しよ?」
「…… や、あー…… ボロアパートという程ではないが、騒げば隣の部屋に声が聞こえかねない程度だと思うぞ?」
鈴音の声が明らかに焦っている。だが、要の抱擁から逃げる事はなく、ちょっと気恥ずかしいといった雰囲気だ。
「もしかして、鈴音さんは、海外のエロ動画並みにあんあん言っちゃうタイプなの?」
「言わんわ!」
「じゃあ平気でしょ。それにほら…… 団体さんにも対応してるーってだけで、ここだってホテルだよね。夫婦とか、カップルでだって泊まりにくる場所でもある訳だ。そうなると、当然浴衣姿とかでエロい事くらいみんなするよねー」
ニヤッと笑って、要が鈴音の胸に顔を埋める。もう既にさっきまでの葛藤なんかなんのその、スイッチが入りかけており、観光や温泉に行く気など皆無だ。
「という訳で、着替えようか!浴衣姿に」
「風呂も入ってないのにか⁉︎そ、それだけの為だけにか?」
「…… あ、いや。それは次回の楽しみにしようかな。いきなり着衣プレイよりは、そういうのは徐々に…… えへへ」
「へ、変態か!」と言って、鈴音が要の額を軽く小突く。
「性欲真っ盛りの男を長年放置してれば、そりゃ拗れるってもんっすよ。なので鈴音さんがぁ、責任取ってねー」
胸の谷間に埋めている顔を右に左に振って、要が顔でその感触を楽しむ。もう一部が少し元気になり始め、段々と呼吸が荒れて目も座ってきた。
「んっ…… 」
短い声を鈴音がこぼし、とっさに口を手で塞ぐ。頰も赤くなってきており、彼女の方も満更でもなさそうだ。
「…… 好きだよ、鈴音さん。ねぇもっと聞かせて?あ、でも…… 俺だけに、聞こえるくらいでね?」と、要が言い終わる頃にはもう、二人は互いの唇を激しく求め始めたのだった。
【続く】
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