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第1章
10 へぇ、スライムって食えるのかぁ。絶対食べないけどな!
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「町に出て、この国の事を知りたいのです。」
そばかすの可愛い栗毛の少女がもじもじしながら俺にお願いをしてきた。
何だこの可愛い生き者は。幸せな事に俺の婚約者だ。
名をティアラという。
アレンと同じ年で、少し前に8才の誕生日を迎えたばかりだ。婚約者としてこの国へ来て1年がたとうとしていた頃、つまりはお忍びで城の外に出てみたいと言い出したのだった。
婚約者の俺は生き残るための修行で相手が出来ず、同じ年のアレンは勇者の修行で忙しい。かわいそうに暇なのだろう。
「分かった、行くか。」
ティアラの顔がみるみる明るくなる。とても嬉しそうだ。
まだまだ年も幼く、俺はいずれいなくなる身。僅かの間のかりそめの婚約者だが、俺は素直で可愛らしいティアラを大切に思っていた。
そんなティアラの初めてのお願いだ、叶えてやりたいに決まっている。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ラインハルト様。真剣にやって下さらないと困ります。」
ティアラはそう言って物凄く冷たい眼差しを俺に向けた。
「俺は至って真面目だが?」
そう言ってくるりと回る。
「そのくらいの変装では王族のオーラがただ漏れです!何を気取っているのですかっ!もっと泥にまみれて下さい!」
俺の可愛いティアラが恐い。
「そうですよね。金髪碧眼で町民の服を着ただけで何が変装ですかね?」
同じく変装したアレンがうんうんと頷きながら言う。
するとティアラはアレンをキッと睨んだ。
「アレン様もですっ!何ですかその目力は!町の人達を目で殺す気ですかっ!!その目しまって下さい!」
「しまうって……」
途端にアレンがシュンとなる。ふたりは同じ年と言うこともありとても仲が良い。
「お二人がお忍びで町に出るには劇的な大改造が必要のようですね。」
俺の可愛いティアラが恐い。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
こっそりテレポートで町に出た俺達は、賑やかな音につられてある広場に出た。そこは食べ物や民芸品を売る屋台で賑わっている。まるでお祭りのようだ。
まだ幼いアレンとティアラは目を輝かせて店の様子を見ている。
「ラインハルト様、あれは何をしているのですか?とても美味しそうな臭いがします。」
町娘風に変装したティアラは、鼻をクンクンさせながら俺の袖を引っ張る。
俺は頭に灰をかぶって髪色を霞ませたので変装は完璧だ。
アレンはだて眼鏡をかけさせられている。
これで目で人を殺す事はないだろう。
「何か美味しい物を焼いているのだろう。行ってみよう。」
瞳をキラキラさせながら二人がついてくる。
ああ、……もう可愛いなぁ。
「……何だこれは?」
「何ってスライム焼きだよ。味見してみるかい?」
ええ~何イカ焼きのように言ってんの?スライムだよ?生臭いあいつだよ?
「いや、いい。」
お断りする。
隣の何の肉か分からないのを焼いている店も恐い。何か指が見えてるんですけど?
「もう、ラインハルト様は私に着いてきて下さい。」
色んな露店を回るが一向に何も買わない俺に、業を煮やしティアラが俺の手を引いていく。
これにします!と言って俺が一番嫌だと思うスライム焼きを買い上げた。
すごい量だ。
「……二人で食べるといい。」
「嫌ですよ~。あれってスライムでしょ?無理ですって。」
アレンが俺の手を引き、ティアラを傷つけないようにと、こっそり言う。
「何を二人でイチャイチャしているのですか?早く食べましょう?」
はい!とスライム焼きを何の邪心もない澄みきった瞳で渡される。アレンは断わりきれず、目をぎゅっと閉じて食べた。――すげぇ。13才の俺より大人だ。
「美味しい!」
……いくら美味しくても俺はごめんだ。お前しばらく「おままごと」でのちゅう禁止だからな。
そばかすの可愛い栗毛の少女がもじもじしながら俺にお願いをしてきた。
何だこの可愛い生き者は。幸せな事に俺の婚約者だ。
名をティアラという。
アレンと同じ年で、少し前に8才の誕生日を迎えたばかりだ。婚約者としてこの国へ来て1年がたとうとしていた頃、つまりはお忍びで城の外に出てみたいと言い出したのだった。
婚約者の俺は生き残るための修行で相手が出来ず、同じ年のアレンは勇者の修行で忙しい。かわいそうに暇なのだろう。
「分かった、行くか。」
ティアラの顔がみるみる明るくなる。とても嬉しそうだ。
まだまだ年も幼く、俺はいずれいなくなる身。僅かの間のかりそめの婚約者だが、俺は素直で可愛らしいティアラを大切に思っていた。
そんなティアラの初めてのお願いだ、叶えてやりたいに決まっている。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「……ラインハルト様。真剣にやって下さらないと困ります。」
ティアラはそう言って物凄く冷たい眼差しを俺に向けた。
「俺は至って真面目だが?」
そう言ってくるりと回る。
「そのくらいの変装では王族のオーラがただ漏れです!何を気取っているのですかっ!もっと泥にまみれて下さい!」
俺の可愛いティアラが恐い。
「そうですよね。金髪碧眼で町民の服を着ただけで何が変装ですかね?」
同じく変装したアレンがうんうんと頷きながら言う。
するとティアラはアレンをキッと睨んだ。
「アレン様もですっ!何ですかその目力は!町の人達を目で殺す気ですかっ!!その目しまって下さい!」
「しまうって……」
途端にアレンがシュンとなる。ふたりは同じ年と言うこともありとても仲が良い。
「お二人がお忍びで町に出るには劇的な大改造が必要のようですね。」
俺の可愛いティアラが恐い。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
こっそりテレポートで町に出た俺達は、賑やかな音につられてある広場に出た。そこは食べ物や民芸品を売る屋台で賑わっている。まるでお祭りのようだ。
まだ幼いアレンとティアラは目を輝かせて店の様子を見ている。
「ラインハルト様、あれは何をしているのですか?とても美味しそうな臭いがします。」
町娘風に変装したティアラは、鼻をクンクンさせながら俺の袖を引っ張る。
俺は頭に灰をかぶって髪色を霞ませたので変装は完璧だ。
アレンはだて眼鏡をかけさせられている。
これで目で人を殺す事はないだろう。
「何か美味しい物を焼いているのだろう。行ってみよう。」
瞳をキラキラさせながら二人がついてくる。
ああ、……もう可愛いなぁ。
「……何だこれは?」
「何ってスライム焼きだよ。味見してみるかい?」
ええ~何イカ焼きのように言ってんの?スライムだよ?生臭いあいつだよ?
「いや、いい。」
お断りする。
隣の何の肉か分からないのを焼いている店も恐い。何か指が見えてるんですけど?
「もう、ラインハルト様は私に着いてきて下さい。」
色んな露店を回るが一向に何も買わない俺に、業を煮やしティアラが俺の手を引いていく。
これにします!と言って俺が一番嫌だと思うスライム焼きを買い上げた。
すごい量だ。
「……二人で食べるといい。」
「嫌ですよ~。あれってスライムでしょ?無理ですって。」
アレンが俺の手を引き、ティアラを傷つけないようにと、こっそり言う。
「何を二人でイチャイチャしているのですか?早く食べましょう?」
はい!とスライム焼きを何の邪心もない澄みきった瞳で渡される。アレンは断わりきれず、目をぎゅっと閉じて食べた。――すげぇ。13才の俺より大人だ。
「美味しい!」
……いくら美味しくても俺はごめんだ。お前しばらく「おままごと」でのちゅう禁止だからな。
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