主人公をいじめぬいて最後は殺される悪役王子だった事に気付いた10才の俺。

はるか

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第1章

20 モブ少女Aの激白

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私の話を聞いてください。あっ、どうも、女子に圧倒的人気だった恋愛シミュレーションゲーム、「恋はドキドキハラハラ天国」、略して、恋ドキハラの世界に転生した、モブ役の少女Aです。

モブとはいえ、この世界の事は隅から隅まで、結果まで知り尽くしておりますので、一番いいポジ(主人公の友達役)を確保し、この世界を楽しんでおりました。ええ、ええ。イケメンばかりのこの世界、すんばらしいです。悪役までイケメン、美少女って毎日がハッピーでたまりません。

ちなみに私の推しメンは、隣国の王子、勇者アレン様。13才ながら、すらりと高い身長に、細マッチョの肉体美、炎を思わせる真っ赤な髪に、同じく赤いルビーのように美しい大きな瞳。常に冷静でクール。笑った所など見たこともない。学校に特別枠で入ってきたかと思えばすぐにぶっちぎりでトップの成績をたたきだし、未だ継続中。まさに、非の打ち所のないキングオブイケェメン!!


数あるイケメンの中で何故この方が推しメンかと言うと、私の記憶と違うのです。私の中で、アレン様と言えば、生まれて初めて優しくしてくれた主人公にゾッコンの大型犬。次々とこの学校で花開く才能の嵐に飲まれながらも、まだまだ発展途上中のお子様。瞳もウルルン、キュルンの上目遣いが必殺技。

実はこのアレン様は同じ会社から出ているゲーム、「ライトオブホープ」のキャラクターで、連動したら最後は王様になったアレン様と結ばれる所を見られるという特典付でした。


それがなんという事でしょう?もう出来上っちゃってるし!しかも誰もがメロメロになる主人公に見向きもしないイレギュラーぶり。学校中の女子に告白されているけどいつも徹底的に無視。


けれど悪役令嬢のサラは虎視眈々とアレン様を狙っていて、近付く少女達はことごとく意地悪をされ陰湿ないじめに合っているようですが、サラの見た目は清楚系なので誰も気付きません。


……私以外はね。ふふふ、いつかこっぴどく暴いてやろうと思って、今は情報集めの真っ最中です。



そんな彼女が、最近こそこそと赤髪のモブ男子と消えるのを何度も目撃したのです。何か匂いますよね?私は勿論こっそり後をつけました。彼等が入っていたのは、滅多に使われない実験室の奥の倉庫。若い男女かこんな場所に入るなんて、あれ・・しかないですよね?確認のため扉に耳を近付けます。はい!アウトォ!念のために会話も魔法で録音しておきましょうね。


そして事件は起こりました。私の転生人生の中で一番の思い出になるであろう重大事件が。ああ、思い出すと今でも鼻血か出そう……



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



「だから、身に覚えがないんだけど?」


いつもの冷めた赤い瞳で、アレン様は泣きじゃくるサラを一瞥していました。周囲は見目麗しい二人の修羅場に何事かと興味津々です。


「ひどい!!私の事好きじゃなかったの?」


足元にサラがすがりました。なんと見苦しいのでしょうか?あんな事をしておいて、このまま二人の関係が続くようなら、校内放送であれ・・を流してやろうかと思っていた所でした。
アレン様は自分の足からサラの両手を外し、顔を覗き込みます。なんという冷めた瞳。遠くに居る私でさえ、緊張で身動きが取れません。アレン様は王者の風格が既におありでした。



「誰が、お前を好きと?調子に乗るなよ?」


おう!カッコ良すぎるぅ!その言葉は貴方しか言えません!!どこまでもついてゆきます~!



「どうして?この子・・・はどうするの?いずれこの子は国王になれるのに。」



サラがお腹を擦る。いや!アレン様の子じゃないから!モブ男子の子でしょうが!!



「もし仮にそれ・・が俺の子だとしてもそいつ・・・は国王になれない。俺には兄がいる。兄の子が国王になる。当たり前の事だろう?」




「そんなの変!アレン様のお兄様は国王様に嫌われた落ちこぼれでしょ?優秀なアレン様の方が時期国王に相応しいって、みんな言ってるわ!!」





確かに、国王にはアレン様がなるよね。うん!それは正解。アレン様の兄は最低王子だから民衆に嬲り殺しにあうのよね。


でも、モブ男子との子が国王になる事はないから!…貴方にはお仕置きが必要なようですね。私は録音した魔法を解放させようとしました。その時です。



アレン様が私のすぐ近くの柱へ吹っ飛んできたのです。



「…えっ?」



いつもなら柱に埋もれているアレン様に目がいくのですが、私はサラに近付く青年に釘付けになっていました。


金糸のような前髪が真っ青で透き通った瞳にかかり、サラリと揺れています。血管が透ける程白い肌は染みひとつない純白のドレスを想像させました。美しいという言葉はこの人の為にあるのだと私は確信しました。これ・・は人なのかも怪しいぞと。とにかく神々しいのです。周囲も突然登場した美しすぎる青年に、息も出来ずに注目していました。



「愚弟が失礼をした。私は兄のラインハルトです。国王に代わり謝罪と誠意を示しに参りました。」




どっひゃ~!? ああああ、あに~!?違う!思うてたんと違う~!!


「国王は今回の事に大変心を痛めております。我が国は必ずや貴方とそのお子を保護し、然るべき処置を取ります。どうか、ご両親にお話をさせていただきたいのですが。」




「は、はい。」



「それはよかった。さっ、貴方一人の体ではないのですから安静にしておかないと、部屋でお休み下さい。」



サラの両手をそっと彼は包み込み、見つめ合っていました。でも、誰もが彼にしか目が行きません。サラも美形なのに今やモブに見えます。次の瞬間、アレン様が少女の手を包んだ彼の手を取り、立たせていました。いつの間に復活したのでしょう?



「――あんたはいったい何をしているんですか?」



さっきまでの冷めた目とは違い、とろけそうに甘い瞳です。キラキラと熱を持ち彼を見つめていました。初めて見るアレン様に、私達は驚いていました。



「お前、大きくなったなぁ。でも、好き勝手し過ぎだ。」



めっ!と人差し指を目の前に立て、上目使いにアレン様を叱ったのです。何のご褒美ですか?その破壊力たら否や、近くにいた者達は昇天していました。



「ぐぅ…」



それを至近距離で受けたアレン様、流石です。ダメージは図りかねますが持ちこたえていました。そして周囲を殺しかねないほど威嚇しながら彼をさらっていかれました。



彼等が去った大広間は静まり返っていました。まさに嵐が去った後のようです。しばらくして、我に返った私は自分の仕事をすべく、サラの元へ向かいました。



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



私の話はこれで終わりです。この時の事を思い出すと興奮が収まらず拙い言葉になってしまいごめんなさい。そして最後まで聞いてくださってありがとうございました。


これから先、彼等と私が交わることはないでしょう。それでも、私はここで彼等と交わりました。どうか、これから先の彼等に祝福あれ!
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