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第2章
26 思いっきり笑った夜
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そうして俺は記憶が戻るまでの間リリィとライナスの二人と、パーティを組むことになった。行き場所もないし身を隠すのには丁度いい。この二人の関係はよく分からないが、リリィはライナスの主のようだ。ライナスは明らかに怪しい俺をリリィの一声で渋々仲間にしてくれた。しかし、常に警戒はされているようだった。
「そのお酒美味しいんですか?」
こくんと頷く。ボロが出てはいけないので俺は極力話さないようにして寡黙キャラを貫いている。
「明日は危険な場所での仕事になります。あなたをそんな場所へ連れていくのは忍びないのです。」
リリィの中で俺はどんだけ最弱キャラなんだ?
「ライナスは置いていくよう言うのですが、あなたがこの町に一人で居て何かあったらと思うと…」
リリィが沈痛な顔をしている。あれ?俺守られてる?リリィ可愛い顔して男前だなぁ。でもさすがに町にいるだけで襲われたりはしないだろう。俺どんだけいじめられっ子キャラなんだよ!
「俺も行く。」
幼い頃より魔物を倒して稼いだお金を入れたマジックバッグをあの家に置いてきたから、俺は無一文。付いて行って稼がせて貰おう。
「そうですか。分かりました。私が必ず守りますからね。」
こんな可愛い女の子に守られるとはなんて幸せな男なんだ俺は。こんな醜男に優しいなんてリリィは天使なのかな?
「リリィ様、明日も早い事ですしそろそろ宿に帰りましょう。」
ジロリと俺を睨みながらライナスはリリィを立たせる。
「そうですね。帰りましょう。」
「俺はこれを飲んでから帰る。先に帰っていてくれ。」
こんな美味しいお酒を残して帰れるか。リリィは困った顔をしてライナスに助けを求めた。
「ご心配なさらずともリリィ様をお送りしてから戻ります。」
「その間が心配だわ。」
宿屋そこだけど?5分もかからないよね?
「リリィ、俺は大丈夫だ。ライナスも戻って来なくていい。」
俺は一人でゆっくり飲みたいんだ。
俺の言葉に二人は黙り、顔を見合わせため息をついた。
「何て無防備なの。記憶喪失だから自覚がないのかしら?」
「私は勝手にすればいいと思いますが。」
何の話だ?こんな公共の場で何がおこるって言うんだ。
「兎に角、俺が戻るまでの間大人しくしておけ。」
「でも、ライナス。」
リリィは不服そうだが、ライナスがリリィを送ってから戻って来ることに決まったようだ。
二人が出ていってから気兼ねすることなくゆっくりと酒を飲む。ああ、旨い。この世界が15才で成人で良かった。上機嫌で飲んでいると目の前に新たな酒が置かれた。
「あちらのお客様からです。」
振り返りあちらを見てみると、綺麗なお姉さんがこちらを見てウインクをした。おおうっ、これって…俺口説かれてる?
どどどどどうしよう!?もしかして脱童貞出来ちゃう?期待に胸を膨らませていると突然ドカンと隣に男が座り、俺が貰った酒を一気に飲んだ。
「ななな、何を!!?」
お姉さんから貰った大事な酒を飲みやがった!!俺が怒りに震えていると男はフフンと笑った。
「怖くて震えてんのかぁ?可愛いなぁ。」
男が震えている俺の手をぎゅっと包み込んだ。なんてでけえ手だ。よく見ると縦にも横にも全てがでかい。おいおい椅子が壊れそうだぞ。俺は椅子の心配をして青ざめた。
「そんなに怯えんなよ。優しくしてやるからよぉ。」
こいつ、あのお姉さん狙いで俺を牽制をしているんだな。優しくしている内に諦めろという事か。しかし、俺がここで諦めたら、俺を選んでくれたお姉さんの身に危険が及びそうだ。
「ここではまずい、外に出よう。」
「話がはぇなぁ。慣れてんのかぁ?」
いや、こういうことには決して慣れていない。女を取り合って決闘なんて、初めての事でたぎる。俺はやってやる!お姉さんを勝ち取ってやる!青ざめているお姉さんに安心するようにニコリと笑い、俺は男と店を後にした。後ろからガタガタと色々倒れる音がしてからうっかり笑った事に気づいて冷や汗をかいたが、後で謝れば大丈夫だろう。
「最後に聞くが、お前ここから大人しく去るか?それとも死ぬか?」
外に出ると俺は男に問いかけた。一応確認しておかないと後味が悪いからな。勿論犯罪者になりたくはないので殺しはしないが、再起不能にはするつもりだ。大体さっきから馴れ馴れしく肩に腕を回され不快感が半端ない。誰も見てないしいい加減キレてもいい頃だろう。
「オイオイオイオイ。突然粋がっちゃってどうした?まぁ、そういうプレイも俺は好きだぜ~。」
「――分かった。」
再起不能決定な。男の鳩尾に一発お見舞いしようと動こうとした瞬間、男は遥か遠くにぶっ飛んで行った。何かデジャブを感じる。
「どうして大人しく店にいられない?」
男をぶっ飛ばしたライナスが珍しく焦ったように俺を睨む。俺が悪いのか?あいつが絡んで来たんだぞ!?そうだ!お姉さん!!店に急いで戻るとお姉さん他数名が担架で運ばれて行くところだった。くそ!!俺が笑ったばっかりに!!俺はがっくりと膝をついた。good-bye脱童貞。俺は2度と笑わない。
「おい、どうした?泣いてるのか?」
こんな不細工な俺とやってくれる女なんてこの先現れないだろう。俺は絶望に咽び泣いた。エンが死んだと言われた時だってこんなに泣かなかった。
「……あの男に何かされたのか?」
「俺が悪いんだ。」
涙が止まらない。俺が醜い笑いをしたせいで一生童貞だ。途端に物凄い力で抱き締められる。
「お前が悪い筈がないだろう!お前を守れなかった俺が悪い!」
「や、そうじゃなくて……」
「もういい!何も言うな!」
おおう、クールな奴だと思ってたけど意外と熱いのね。ビックリして涙が止まったわ。
「この剣に誓う。これから先、お前を守り抜く事をっ!!!」
アレンが持っていたような伝説の剣っぽいやつを天に高らかく掲げライナスが悦に入っている。
「ぶふぉ!ううう。」
面白すぎて笑いが。
「俺がいる。今は思いっきり泣いていい。」
俺を笑い死にさせる気か?もしかしてこいつアレンの刺客かもしれない。
「そのお酒美味しいんですか?」
こくんと頷く。ボロが出てはいけないので俺は極力話さないようにして寡黙キャラを貫いている。
「明日は危険な場所での仕事になります。あなたをそんな場所へ連れていくのは忍びないのです。」
リリィの中で俺はどんだけ最弱キャラなんだ?
「ライナスは置いていくよう言うのですが、あなたがこの町に一人で居て何かあったらと思うと…」
リリィが沈痛な顔をしている。あれ?俺守られてる?リリィ可愛い顔して男前だなぁ。でもさすがに町にいるだけで襲われたりはしないだろう。俺どんだけいじめられっ子キャラなんだよ!
「俺も行く。」
幼い頃より魔物を倒して稼いだお金を入れたマジックバッグをあの家に置いてきたから、俺は無一文。付いて行って稼がせて貰おう。
「そうですか。分かりました。私が必ず守りますからね。」
こんな可愛い女の子に守られるとはなんて幸せな男なんだ俺は。こんな醜男に優しいなんてリリィは天使なのかな?
「リリィ様、明日も早い事ですしそろそろ宿に帰りましょう。」
ジロリと俺を睨みながらライナスはリリィを立たせる。
「そうですね。帰りましょう。」
「俺はこれを飲んでから帰る。先に帰っていてくれ。」
こんな美味しいお酒を残して帰れるか。リリィは困った顔をしてライナスに助けを求めた。
「ご心配なさらずともリリィ様をお送りしてから戻ります。」
「その間が心配だわ。」
宿屋そこだけど?5分もかからないよね?
「リリィ、俺は大丈夫だ。ライナスも戻って来なくていい。」
俺は一人でゆっくり飲みたいんだ。
俺の言葉に二人は黙り、顔を見合わせため息をついた。
「何て無防備なの。記憶喪失だから自覚がないのかしら?」
「私は勝手にすればいいと思いますが。」
何の話だ?こんな公共の場で何がおこるって言うんだ。
「兎に角、俺が戻るまでの間大人しくしておけ。」
「でも、ライナス。」
リリィは不服そうだが、ライナスがリリィを送ってから戻って来ることに決まったようだ。
二人が出ていってから気兼ねすることなくゆっくりと酒を飲む。ああ、旨い。この世界が15才で成人で良かった。上機嫌で飲んでいると目の前に新たな酒が置かれた。
「あちらのお客様からです。」
振り返りあちらを見てみると、綺麗なお姉さんがこちらを見てウインクをした。おおうっ、これって…俺口説かれてる?
どどどどどうしよう!?もしかして脱童貞出来ちゃう?期待に胸を膨らませていると突然ドカンと隣に男が座り、俺が貰った酒を一気に飲んだ。
「ななな、何を!!?」
お姉さんから貰った大事な酒を飲みやがった!!俺が怒りに震えていると男はフフンと笑った。
「怖くて震えてんのかぁ?可愛いなぁ。」
男が震えている俺の手をぎゅっと包み込んだ。なんてでけえ手だ。よく見ると縦にも横にも全てがでかい。おいおい椅子が壊れそうだぞ。俺は椅子の心配をして青ざめた。
「そんなに怯えんなよ。優しくしてやるからよぉ。」
こいつ、あのお姉さん狙いで俺を牽制をしているんだな。優しくしている内に諦めろという事か。しかし、俺がここで諦めたら、俺を選んでくれたお姉さんの身に危険が及びそうだ。
「ここではまずい、外に出よう。」
「話がはぇなぁ。慣れてんのかぁ?」
いや、こういうことには決して慣れていない。女を取り合って決闘なんて、初めての事でたぎる。俺はやってやる!お姉さんを勝ち取ってやる!青ざめているお姉さんに安心するようにニコリと笑い、俺は男と店を後にした。後ろからガタガタと色々倒れる音がしてからうっかり笑った事に気づいて冷や汗をかいたが、後で謝れば大丈夫だろう。
「最後に聞くが、お前ここから大人しく去るか?それとも死ぬか?」
外に出ると俺は男に問いかけた。一応確認しておかないと後味が悪いからな。勿論犯罪者になりたくはないので殺しはしないが、再起不能にはするつもりだ。大体さっきから馴れ馴れしく肩に腕を回され不快感が半端ない。誰も見てないしいい加減キレてもいい頃だろう。
「オイオイオイオイ。突然粋がっちゃってどうした?まぁ、そういうプレイも俺は好きだぜ~。」
「――分かった。」
再起不能決定な。男の鳩尾に一発お見舞いしようと動こうとした瞬間、男は遥か遠くにぶっ飛んで行った。何かデジャブを感じる。
「どうして大人しく店にいられない?」
男をぶっ飛ばしたライナスが珍しく焦ったように俺を睨む。俺が悪いのか?あいつが絡んで来たんだぞ!?そうだ!お姉さん!!店に急いで戻るとお姉さん他数名が担架で運ばれて行くところだった。くそ!!俺が笑ったばっかりに!!俺はがっくりと膝をついた。good-bye脱童貞。俺は2度と笑わない。
「おい、どうした?泣いてるのか?」
こんな不細工な俺とやってくれる女なんてこの先現れないだろう。俺は絶望に咽び泣いた。エンが死んだと言われた時だってこんなに泣かなかった。
「……あの男に何かされたのか?」
「俺が悪いんだ。」
涙が止まらない。俺が醜い笑いをしたせいで一生童貞だ。途端に物凄い力で抱き締められる。
「お前が悪い筈がないだろう!お前を守れなかった俺が悪い!」
「や、そうじゃなくて……」
「もういい!何も言うな!」
おおう、クールな奴だと思ってたけど意外と熱いのね。ビックリして涙が止まったわ。
「この剣に誓う。これから先、お前を守り抜く事をっ!!!」
アレンが持っていたような伝説の剣っぽいやつを天に高らかく掲げライナスが悦に入っている。
「ぶふぉ!ううう。」
面白すぎて笑いが。
「俺がいる。今は思いっきり泣いていい。」
俺を笑い死にさせる気か?もしかしてこいつアレンの刺客かもしれない。
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