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狩人の矜持
第7話
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「皆の武器や能力は把握した上で戦線での陣形について提案がある。まず前衛はイリヤだ。動きの素早さで魔獣を撹乱しつつダメージを少しずつ与える役割を任せたい。」
「了解です!任せてください!」
「中衛と後衛をハンナとグレイブに任せたい。ハンナは感知魔法で敵を探知して私達に位置を知らせるのと、必要に応じて防御魔法でイリヤと私のサポートを頼む。」
「分かりました。お任せください。」
「グレイブは後衛から魔獣を攻撃しながらハンナに魔獣が近づかないか目を見張ってくれ。」
「分かったぜ。」
「私は前衛と中衛を兼任する。イリヤと連携して魔獣を狩ったりハンナに魔獣が近づかないように注意を引いて蹴散らす。これで問題なければこの陣形で戦線で動きたいが大丈夫そうか?」
「問題ないな、むしろベストだと思うぜ。」
「俺も大丈夫です!」
「私も問題ありません。」
「ありがとう。最後まで油断せずに魔獣を狩るぞ。」
そう話して準備を終えた私達は戦線へと向かった。
戦線へと到着した私達を待っていたのは、騎士団たちや先に戦線へと向かっていた狩人たちが魔獣と戦闘している光景や既に生き絶えた騎士団や狩人の亡骸が其処彼処に転がっていた。
「負傷した団員や狩人は戦線から一旦退いて治療にあたれ!到着した狩人達は戦線へと向かってくれ!」
騎士団長のレイブンが指揮を執っているが、戦況は芳しくないようであった。
「くうう、もうダメだ・・・。このまま俺たちは死んでヴィタルトも崩壊するんだ・・・。」
「諦めるな!今ここで私達が死んだらヴィタルトにいる国民は全員死ぬんだぞ!命を賭してもここを守り切るんだ!」
負傷して弱音を吐く団員をレイブンが喝を入れて士気を高めようとしているが、団員たちの多くが魔獣に対する恐怖と絶望で頭が一杯になっていた。
「うわあ、ひどい有様ですね。このままだとやばそうですね。」
「やばいのはいつものことだろ、今回も特別なことじゃないぜ。」
イリヤとグレイブがそう言っていると、恐怖で錯乱している団員がきつく当たってきた。
「何だよお前たち!今さらのこのこ来たって遅いんだよ!どうせ戦ったところで俺たちは魔獣に殺されてヴィタルトにいる住人だって皆全員殺されるんだよ!この都市だけじゃない、いずれこの国まるごと—」
「黙れ。」
私がそう言うと団員はヒッと小さく悲鳴をあげた。
「王立騎士団の団員が何を言うかと思えば聞いて呆れるな。死にたくないなら哀れに逃げればいい。戦場に腰抜けは不要だ。」
「な、何だよお前!」
「私達狩人は、魔獣や咎人を殺すことが生業だ。つまり常に死と隣り合わせの任務が永遠と続く。仲間が死ぬことも日常茶飯事だ。それでも戦い続けるのは、もう帰る場所を失った者や自分が死ぬことを覚悟してでも莫大な報酬を貰って明日を生き延びるためだ。」
私はそこまで言って冷たい視線で団員を見つめた。
「命が惜しくて泣き言言うような奴は戦場には要らないし周りの邪魔だ。さっさとここから消えろ。」
そう言うと団員は私に怯えてようやく黙った。グレイブが苦笑して話しかけてきた。
「相変わらずお前は恐いな。」
「事実を言っただけだ。ハンナ、周囲にいる敵の数はどれくらいだ?」
「およそ50体くらいいます。団員や他の狩人も戦っているようですが魔力の揺らぎが強いので消耗が激しそうです。」
「わかった。イリヤ、予定通り前衛を頼む。」
「了解しましたー!」
イリヤはそう言うと前衛に立ち戦線へと先導した。すると目の前に大きく口の裂けて頭部だけが肥大化したような小型の魔獣が3体こちらに向かってきた。
「この程度の魔獣なら俺に任せてください!」
イリヤがそう言うと、片手剣を使って斬りかかった。軽やかな身のこなしで敵の急所を一撃で狙って1体倒すと、他の2体が同時に襲いかかる。イリヤは大きく跳んで回避すると2体目の頭部に一撃を食らわせて着地し背後にいた3体目も振り向きざまに斬り伏せた。
「なるほどな、確かに素早くて動きが洗練されているな。大した身体能力だな。」
「セツナさんに褒められるなんて光栄です!」
「だが少し注意散漫だな。」
多節剣を鞭のように伸ばし、まだ息の根があってイリヤを襲おうとしていた3体目を狩った。
「油断するなと言っただろう。いつか死ぬぞ。」
「す、すみません・・・。つい狩ったと思って・・・。」
「2人とも、上空にも魔獣が2体こちらに向かってます!」
ハンナがそう言うと、上空から2体の魔獣が大きな牙を口から覗かせてこちらへ向かって来ていた。
「飛行型の魔獣か、面倒だな。」
そう呟き多節剣を構えて接近してくるのを待ち構えていると、何かに頭部を撃ち抜かれて2体の魔獣は地に落ちていった。
「飛行型の魔獣は俺に任せろ!お前たちは地上にいる魔獣を狩ってくれ!」
グレイブがそう言って他の飛行型の魔獣を撃ち落としていく。
「助かる。イリヤ、このまま他の魔獣を狩るぞ。ハンナも周囲に注意して近くにいてくれ。」
「了解しました!今度こそ任せてください!」
「分かりました。常に探知して敵の位置を知らせます。」
「了解です!任せてください!」
「中衛と後衛をハンナとグレイブに任せたい。ハンナは感知魔法で敵を探知して私達に位置を知らせるのと、必要に応じて防御魔法でイリヤと私のサポートを頼む。」
「分かりました。お任せください。」
「グレイブは後衛から魔獣を攻撃しながらハンナに魔獣が近づかないか目を見張ってくれ。」
「分かったぜ。」
「私は前衛と中衛を兼任する。イリヤと連携して魔獣を狩ったりハンナに魔獣が近づかないように注意を引いて蹴散らす。これで問題なければこの陣形で戦線で動きたいが大丈夫そうか?」
「問題ないな、むしろベストだと思うぜ。」
「俺も大丈夫です!」
「私も問題ありません。」
「ありがとう。最後まで油断せずに魔獣を狩るぞ。」
そう話して準備を終えた私達は戦線へと向かった。
戦線へと到着した私達を待っていたのは、騎士団たちや先に戦線へと向かっていた狩人たちが魔獣と戦闘している光景や既に生き絶えた騎士団や狩人の亡骸が其処彼処に転がっていた。
「負傷した団員や狩人は戦線から一旦退いて治療にあたれ!到着した狩人達は戦線へと向かってくれ!」
騎士団長のレイブンが指揮を執っているが、戦況は芳しくないようであった。
「くうう、もうダメだ・・・。このまま俺たちは死んでヴィタルトも崩壊するんだ・・・。」
「諦めるな!今ここで私達が死んだらヴィタルトにいる国民は全員死ぬんだぞ!命を賭してもここを守り切るんだ!」
負傷して弱音を吐く団員をレイブンが喝を入れて士気を高めようとしているが、団員たちの多くが魔獣に対する恐怖と絶望で頭が一杯になっていた。
「うわあ、ひどい有様ですね。このままだとやばそうですね。」
「やばいのはいつものことだろ、今回も特別なことじゃないぜ。」
イリヤとグレイブがそう言っていると、恐怖で錯乱している団員がきつく当たってきた。
「何だよお前たち!今さらのこのこ来たって遅いんだよ!どうせ戦ったところで俺たちは魔獣に殺されてヴィタルトにいる住人だって皆全員殺されるんだよ!この都市だけじゃない、いずれこの国まるごと—」
「黙れ。」
私がそう言うと団員はヒッと小さく悲鳴をあげた。
「王立騎士団の団員が何を言うかと思えば聞いて呆れるな。死にたくないなら哀れに逃げればいい。戦場に腰抜けは不要だ。」
「な、何だよお前!」
「私達狩人は、魔獣や咎人を殺すことが生業だ。つまり常に死と隣り合わせの任務が永遠と続く。仲間が死ぬことも日常茶飯事だ。それでも戦い続けるのは、もう帰る場所を失った者や自分が死ぬことを覚悟してでも莫大な報酬を貰って明日を生き延びるためだ。」
私はそこまで言って冷たい視線で団員を見つめた。
「命が惜しくて泣き言言うような奴は戦場には要らないし周りの邪魔だ。さっさとここから消えろ。」
そう言うと団員は私に怯えてようやく黙った。グレイブが苦笑して話しかけてきた。
「相変わらずお前は恐いな。」
「事実を言っただけだ。ハンナ、周囲にいる敵の数はどれくらいだ?」
「およそ50体くらいいます。団員や他の狩人も戦っているようですが魔力の揺らぎが強いので消耗が激しそうです。」
「わかった。イリヤ、予定通り前衛を頼む。」
「了解しましたー!」
イリヤはそう言うと前衛に立ち戦線へと先導した。すると目の前に大きく口の裂けて頭部だけが肥大化したような小型の魔獣が3体こちらに向かってきた。
「この程度の魔獣なら俺に任せてください!」
イリヤがそう言うと、片手剣を使って斬りかかった。軽やかな身のこなしで敵の急所を一撃で狙って1体倒すと、他の2体が同時に襲いかかる。イリヤは大きく跳んで回避すると2体目の頭部に一撃を食らわせて着地し背後にいた3体目も振り向きざまに斬り伏せた。
「なるほどな、確かに素早くて動きが洗練されているな。大した身体能力だな。」
「セツナさんに褒められるなんて光栄です!」
「だが少し注意散漫だな。」
多節剣を鞭のように伸ばし、まだ息の根があってイリヤを襲おうとしていた3体目を狩った。
「油断するなと言っただろう。いつか死ぬぞ。」
「す、すみません・・・。つい狩ったと思って・・・。」
「2人とも、上空にも魔獣が2体こちらに向かってます!」
ハンナがそう言うと、上空から2体の魔獣が大きな牙を口から覗かせてこちらへ向かって来ていた。
「飛行型の魔獣か、面倒だな。」
そう呟き多節剣を構えて接近してくるのを待ち構えていると、何かに頭部を撃ち抜かれて2体の魔獣は地に落ちていった。
「飛行型の魔獣は俺に任せろ!お前たちは地上にいる魔獣を狩ってくれ!」
グレイブがそう言って他の飛行型の魔獣を撃ち落としていく。
「助かる。イリヤ、このまま他の魔獣を狩るぞ。ハンナも周囲に注意して近くにいてくれ。」
「了解しました!今度こそ任せてください!」
「分かりました。常に探知して敵の位置を知らせます。」
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