毒にも薬にもなりたくないっ

新堂茶美

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「もう勘弁してよ……自己中! 誘拐犯! 変態!! 大バカ野郎!!!!!」
 
「ブフォッ……」
 
やるせない思いが爆発して、思わず叫びだしたスイレンの背後で、吹き出す声が聞こえた。
ガバリと声の方へ振り向くと、扉の脇に今も肩を震わせ、クツクツと笑っている赤髪の男性がいる。
 
えっ! 誰!!??
というか、いつから居た??!!
 
「これは失礼。女性にとても評判で、尊敬の言葉はあれども……偉大な魔導師エイガル様を、まさかの変態呼ばわりとは面白い。ふふっ……。
貴方の案内役を務めさせて頂きます。私、ニール・ガイナーと申します。ニールとお呼びください」
 
ニールと名乗った男性の深い青の瞳が細められ、手を差し出される。
 
ポカンと呆けた顔で手を取ったスイレンは、我に返り、ニールを見返した。
 
紺色で折襟のカッチリと着込んだ服は、どう見ても騎士服だ。
左胸に、竜の翼を模した銀細工の魔法石が嵌め込まれた飾りが光っている。見た目では分からないが、様々な勲章が刻まれている。
父が騎士だったスイレンも、銀細工の模様は違えど、父の勲章を見たことがある。どう見ても、一般の騎士では無い。
 
そんなお兄さんが、案内役??
 
「あ、ご丁寧にどうも。スイレンです。ニールさん……は、その……どう見ても偉い騎士様ですよね?
それがどうして、案内役なんて」
 
「んん……右も左も分からない女性を、一人になんて出来ませんでしょう?」
 
「は、はぁ……よろしくお願いします?」
何か、無難に躱された気がするけど、まあいい。
安全に越したことはない。
さっさと終わらせて帰ろう。
 
「それで、王子様とは聞いたのですが、具体的には?」
 
「失礼ですが……貴方は人族……ですよね?
事情はあれど、人間となると、私にも何故貴方が私達の国に寄越されたのか……さっぱり分かりません」
 
「ニールさんも、何も聞かされていないんですね……。
そういえば、おじさん、ビルガメシアとか言ってたな……。
ビルガメシアと言えば……」
 
「竜族が始祖の、竜国です」
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