毒にも薬にもなりたくないっ

新堂茶美

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7.

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静かな空間で、今だに睨みつけられているスイレンとコハクは、
ニールに視線を投げる。

「では……改めて説明致します。
先程、呪術で阻害された私の切り傷を、
スイレンさんの魔力で癒して頂いたのです。
それも治癒と解呪、同時にです」

切り傷があった場所を、誇らしげに見つめるニール。

「……お前まで私を謀るのか」

「私も信じられないですよ」

「ハッ……側近がこんなガキの幻術に惑わされるとは、
私の命もこれまでか。笑えるな」

「はぁ……いい加減、意地を張るのはやめろ、ミケラウス。
俺の目で見たんだ。これは事実なんだよ」

「ハハッ……おい! スイレンと言ったか。
あの平和ぼけ爺は兎も角、
この堅物ニールをどうやって誑かした?
金か…金が欲しいのか?
それとも命知らずの他国の間者か?」

――反論もせず、ただ黙っているというのに、
よくここまで会ったばかりの人を貶せるものだと関心する。
だが、そろそろ腹が立ってきた。

離したら真っ直ぐ王子に噛み付きに行くだろうコハクを、
飛びつかせないよう首元を掴んでいた。
だが、そろそろ腕が疲れてきた。
目の前で不敬罪で処されるコハクを見たくもない。

「大体、その貧相な身体で何ができ――」

「あのっ!!!!!!」

急に言葉を遮られ、ミケラウスの眉間が更に寄る。たぶん。

「ニールさんの怪我を治したのは事実です。
私がどこの誰だか分からないのは最もだと思います。
ですが、信頼しているニールさんの言葉を少しも耳に入れず、
寄り添って心配してくれている事にも気付かずに、
自分のことを疎かにするような方、
治るものも一生治らないと思いますよ」

きっと目が合っているであろう位置を、
真っ直ぐに見つめて言った。

「……」

「スイレンさん……」

「私、やっぱり帰りますね」

もっと口悪く罵るつもりだった。
だが、ニールが少し泣きそうな顔でミケラウスを見ていたため、
怒りも半減してしまった。

なんだか一気に脱力して、コハクと手を繋ぎ直す。
軽く王子へ頭を下げ、振り返ると、午後の予定のことをぼんやり考えながら歩き出した。
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