毒にも薬にもなりたくないっ

14.

6歳までニールと共に庭園を駆け回り剣術の真似事をした

8歳になると、様々な教師や学者がミケラウスの部屋を行き交い、共に遊ぶ時間を減らした

10歳の頃からは部屋から外国の言葉が聞こえ、王妃様からの叱責を耳にすることも増えた



ミケラウスは決して出来が悪い訳では無い。むしろ物覚えもよく、魔術や外国語の読み書きに関しては学ぶ前から予習していて、同じ机に並んだニールは驚かされたくらいだ
次期王として学ぶことも多いのだろうと、その友の背中に、近くに居れるようにとニールも必死に学んだ


だが王妃様は決まって、答案だけを見ては少しでも不備があれば、そこを執拗に責め立てた

そんな扱いをされても毎回ミケラウスは

「申し訳ございません。次こそは母上に喜んでもらえるよう励みます」と

目の合わない王妃に笑顔を向けた





12歳のミケラウスの誕生パーティーの後、国王とミケラウスが結界へ魔力を補給する式典の儀式へ向かうため、ニールの父が護衛として付き添っている間、ニールは王妃様へ進言したことがある


「ミケラウス殿下のスケジュールは余りにも過密すぎます。少しばかり、ほんの少しでいいのです。お休みを……学ぶこと以外の会話をして頂けませんか？」


「あの子に付いていけないような、見合わぬ側仕えはいらないわ」

と一蹴りされてしまった


後に1週間ほど瘴気に当てられた川辺の処理に国境沿いまで遠征する騎士隊に無理矢理ねじ込まれ送られたニールが帰ってくると

「ニールは唯一の友だ。お願いだから、居なくなるようなことはしないで」

とミケラウスに泣いて言われ、縋る手にペンだこが破れ血濡れているのを見て、悪化させてしまったと勝手な行動を悔いた