毒にも薬にもなりたくないっ

新堂茶美

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31.

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結界は屋根と地中、そして離宮内の魔法石で囲うように張られた他の建物とは孤立した設置型のものだった


「王子様の魔力は青だよね、この魔法石の色なら多分結果内に入れるけど1~2時間かな?」

初めて城門をくぐる時、ニールさんから青い魔法石を持たされたのだが、その最初だけですぐに魔法石は返された

その後は、毎日お城の中央の大広間にある銀竜の像が掴む濃い青の丸い魔法石に触れることで次の日も入城できていた。王家の結界の仕組みはよく分かっていなかったが、難しいことは考えない主義のスイレンだ



スイレンが赤い魔石を半透明白色の魔法石にかざすと白が赤を濁すように徐々に染まっていく

数分で魔法石と変わらない色の石に変わったがよく見るとゆらゆらと動いて輝いている

「真珠みたいだね、綺麗」

「あかい方がきれい、はやくいこ」

「はーい。あ、コハクは一応こっち」

そう言ったスイレンは胸元の巾着袋を揺らす
コハクは一瞬眉を顰めたが、やがて身体から黄金の光を放ち、粒子となって揺らめき消えた

困った笑顔で「ごめんね」と巾着袋を握りしめると、巾着袋の口から一瞬だけ光が漏れる

「さてと……」

白くなった魔石に魔力を流すとスイレンの身体を薄い乳白色の膜のような光が覆う
恐る恐る階段前で、手を伸ばす

先程まで見えない壁があったであろう場所で腕を振るが邪魔をするものはない

小さな階段を上り、金色のドアハンドルを握ると、その扉はすんなりと開いた

扉の隙間から「おじゃましますよー」と小さな声で伺い見る

沢山の木箱や古い燭台が置かれたそこは物置小屋のようだ
段々に重ねられた木箱の方に螺旋階段があり、奥の方には大きな扉がある

大きな扉まで近付き、押してみるが動かない
引くには埃の被った大きな燭台が邪魔だ
諦めて螺旋階段の手すりに手をかける

足場がくすんだ木の板で、おそるおそる体重をかけた。骨組みが鉄骨のためか軋むことも無くしっかりと上ることができた

ちょうど上の部屋が見え始め、外の明かりで照らされた天井に沢山の果実がなった木や果物を抱えた子供達が描かれていた。中央には書見台が見える





───キィッ

あと2~3段で登りきるという時に足場が音を立てた



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