毒にも薬にもなりたくないっ

新堂茶美

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34.

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いつの間にか部屋の中が薄暗くなっている。
後ろを振り返ると螺旋階段の下の方は真っ暗で何も見えない。

時間の経過を感じると一気に空気の冷たさが身体を襲ってきた。

「王子様、寒くはないでっ……ックシュン」

「……そうだな」

体調を心配しようと思ったのに、逆にミケラウスにひざ掛けを差し出される。仕方がないでしょう、生理現象には抗えない。



くすくす笑うミケラウスは、今もソファに腰掛けたままだ。


「あの、そろそろ帰りませんか?」

「あ、あぁ少し待ってくれ。たぶんもうすぐ……」

「でしたら」

スイレンはミケラウスの足元に座り込むと鞄からデカい毛布を取り出し、2人を覆ったのだがミケラウスに首元を掴まれる。

「ぐえっ」

「勝手が悪い」

ミケラウスの膝の間に収まり、抱き抱えられるような状態になったスイレンは恥ずかしくなり前のめりになったが、背中や肩にすきま風が刺し、思いの外暖かかったミケラウスの体温に身体を預けてしまった。



ミケラウスの見つめる先、天井の少女の持つ桃がひとつ、キラリと光った。

「わぁ……綺麗」

「一等星だ。桃の果実の部分に魔法石が埋め込まれている。母上が込めた魔法石らしい。太陽の光を遮る仕組みになっていて、夜の星だけを見せるんだ……」

「なにか……意味が込められているんでしょうか?」

「……どうだろうな。あの少女は母上に似ている。母上の産まれた国は小さくも恵み豊かな国だ。きっと、国を……愛していらっしゃったんだろうな」

「……」

スイレンは腰の前で組んだミケラウスの指を両手で包んだ。


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