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しおりを挟む扉を開けると海辺が良く見える大きな窓のある真っ白な部屋だった。
その窓の横のベッドに上体を起こした優しそうな30代くらいの女性が目を丸くして此方を見ている。
「あらあら、こんなに可愛らしい知り合い居たかしら」
旦那さんが椅子にかけてあったストールを女性に掛け、ベッドに腰掛けた。
「どうも、初めまして! スイレンと言いますっ! こっちはコハクです!」
自己紹介をすると、女性は微笑んだ。
「ふふっ、リエンナと申します。ほら、そんなとこに立ってないで。貴方、そちらの椅子をお願いしてもいい?」
リエンナが旦那さんのシャツの裾を小さく引っ張る姿が可愛らしい。
慌ててベッド横に椅子を運んでくれた旦那さんは「お茶を持ってくるよ」と言い、退出した。
「ベッドからこんな姿でごめんなさいね。それで……私に何か御用が?」
不思議な顔で腕を組み、頬に手を当てるリエンナが問いかけた。
「ふふっ、リエンナさんのことが大好きな男性方がとてもリエンナさんのお身体を心配していらっしゃったので、私に治せないかなーって……」
「まぁ……治癒士の方? でも、男性……誰かしら。まさか夫が??! そんなお金はないわ……ごめんなさいね」
「いえっ。お金は頂けません!! ただ、すこぉーし触診させて頂いても?」
困り顔のリエンナが手をワキワキさせるスイレンを見て、さらに困惑する。
コハクがその手を掴み、引っ張った。
「あのっ、ごめんなさい。触って調べた方が分かりやすいというか、えっと、その、言い難いのですが、子が……流れた……と」
「あら……昔の事を知っているのね。ええ……意思が弱い私から逃げちゃったのかしらって思っているの。それでも立ち直れたのは夫と一人息子のおかげね。あぁ、でもあと2人居たわね。1人はしっかり者で、もう1人は甘えん坊で……ずっとついて回ってきたの、天使だと思っていたわ。なのに……グス……ごめんなさいね。やっぱり私は弱いわ」
「リエンナさん……大丈夫! 人間みんな弱い生き物です! だから治癒士がいるんですっ! それに旦那さんもいます。よしっ! 見てみましょ!!」
「ふふっ、そうね。ありがとう、お願いします」
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