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ドラゴンの女王編
第五十一話 お父様!!!!????
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「私はミイナ。剣士よ」
「ミイナ様ですね。よろしくお願いします」
「俺はジン。勇者だ」
「勇者様!?」
リンリンが驚き、憧れの先輩を尊敬している後輩のような眼差しを向けてきた。
くぅ~、勇者に対してのこのピュアな反応、気持ちぇえええ!
でもリンリンって名前、どっかで聞いたような……。
「初めましてリンリンさん。私は天使です」
「天使様!? 何故このような場所にいるのですか」
あっさりとリンリンの尊敬するような眼差しが、俺から天使に切り替わった。
ぱっと見(悔しいが外見の可愛らしさ以外は)天使の羽や頭に輪っかも無く、普通の一般人のような装いや姿なのに、リンリンは本気で初対面の天使を天使だと信じているようだ。
まあ勇者って言ってもあっさりと信じてくれたし、この子めちゃくちゃええ子なんやな。
「皆さん、列がなくなったので並ばずに『エクスカリー』へ入るチャンスです。早く馬車へ」
「ええ、わかったわ」
おじさんの呼びかけで馬車に乗ろうとしたら、リンリンが手を振った。
「じゃあ私はこれで。皆様の後ろからついていきます」
「その必要はないわよ。リンリンさえ嫌じゃなければ、一緒に馬車に乗ってくれないかしら」
「いいのですか」
「もちろんだ」
「もっとお話しましょう、リンリンさん」
俺達の誘いに、リンリンは両指を合わせて嬉しそうに。
「はい、是非お願いします」
こうしてリンリンも加わり、おじさん含めて五人となった馬車は、最後尾から先頭になったことであっさりと検閲を終え、『エクスカリー』の中へと入った。
◆
洋風の街並みに、溢れんばかりの人。それとお祭りのような賑わいがあちこちで聞こえる。かつて俺が国王として治めた(笑)王国に負けず劣らずのいい街だ。
「相変わらず賑やかな街ね」
「人酔いしそうだな」
「ジンくん。酔ったらいつでも抱きついてきてね」
「天使様。は、破廉恥です。大胆すぎます」
誘惑したいのか胸元を開く天使に、リンリンが注意しながら顔を赤くした。
ピュアでええ子や~。
天使は後でコロス。
「そうだ、リンリンはこの街に何しにきたの?」
「私ですか。
実は、国王様に呼ばれまして……」
ポケットのような場所から、豪華な封筒を出すリンリン。それは間違いなく、俺達のところに来た封筒と同じものだった。
「リンリンも!」
「え、もしかしてミイナ様達もですか!?」
「そうよ」
「おう。リンリンも呼ばれたんだな」
「はい。たまたま出会えただけなのに、こんな偶然ってあるんですね」
「ええ、そうね」
「私一人だけだと緊張していたので、ミイナ様達も一緒なら心強いです」
リンリンが真正面にいるミイナに目を合わせながら手を握った。
美少女×美少女!
なんと素晴らしい光景だろうか。
同じ金髪だし、よく見るとこの二人、似たような体型や顔立ちだな。天使なんかより、リンリンのほうがミイナの妹みたいだ。
そんなことを思っていると突然。
「きゃっ、指輪が」
「何よこれ」
「なんだ!」
「この光は……」
ミイナと手を握ったまま、リンリンの右手にはめていた指輪から光りが溢れ出した。
すぐに光は弱くなったが、光を浴びた天使が天使のように祈りながら、ゆっくり口を開く。
「リンリンさん、指輪が共鳴しています」
「共鳴。ですか?」
「何か知ってるの、天使」
「はい。リンリンさんの指にある【永輪の指輪】が、ミイナさんに反応したようです」
「私に!」
「はい。私と同じ天使が仕組んだのでしょう。指輪がミイナさんを、リンリンさんの探していた人と認めたようです」
「私を!?」
「はい、ミイナさんを、です」
ミイナが自身に指をさし、天使が頷いて肯定しながら目を閉じて、人差し指を立てながら教師のような口調でペラペラと、うんちくを語るように指輪について語り始めた。
「ちなみに【永輪の指輪】とは、生きた生き物や、大きすぎる物以外は無限に収納できる便利な指輪です。収納したら中の時間は止まっているので食べ物などは決して腐れたりしませんし、使い方は回収したいと思い浮かべるだけで回収したり、取り出せたりと、ものすごく便利な指輪なんですよ」
「成程。それでニクショクウサギが光になって消えたんだな」
説明はムカついたが、いろいろと納得した。
指輪に収納して時間も止まっているってチートすぎるだろ。
てかそんな便利な指輪があるなら【契りの指輪】なんて呪われた指輪じゃなくて【永輪の指輪】を渡せよ、クソ天使!
心の中で怒りながら、天使を睨みつける。
が、天使がぶりっ子全開でウインクしてきたので、視線直しにリンリンを見る。
リンリンはミイナだけを凝視しながら、大きく開いたその目から――。
「嘘、それって、ミイナ様が……うぐぅ……ひぐぅ……」
その目から、大粒の涙がぽろぽろ流れた。
「ちょっ、リンリン、どうしたのよいきなり。なんで泣いてるのよ」
「どうしたリンリン。まさか、この天使が嫌なことを言ったのか!」
もしそうならぶん殴ってやる!
「いえ……ひっく……違うのです」
ダムが決壊したような勢いで涙を流しながら、迷子の小さな子供が、何時間も探してやっと親と再開したように強くミイナに抱きつき。
衝撃的な一言を放った。
「やっと、やっとお会いしましたね、お父様」
「ミイナ様ですね。よろしくお願いします」
「俺はジン。勇者だ」
「勇者様!?」
リンリンが驚き、憧れの先輩を尊敬している後輩のような眼差しを向けてきた。
くぅ~、勇者に対してのこのピュアな反応、気持ちぇえええ!
でもリンリンって名前、どっかで聞いたような……。
「初めましてリンリンさん。私は天使です」
「天使様!? 何故このような場所にいるのですか」
あっさりとリンリンの尊敬するような眼差しが、俺から天使に切り替わった。
ぱっと見(悔しいが外見の可愛らしさ以外は)天使の羽や頭に輪っかも無く、普通の一般人のような装いや姿なのに、リンリンは本気で初対面の天使を天使だと信じているようだ。
まあ勇者って言ってもあっさりと信じてくれたし、この子めちゃくちゃええ子なんやな。
「皆さん、列がなくなったので並ばずに『エクスカリー』へ入るチャンスです。早く馬車へ」
「ええ、わかったわ」
おじさんの呼びかけで馬車に乗ろうとしたら、リンリンが手を振った。
「じゃあ私はこれで。皆様の後ろからついていきます」
「その必要はないわよ。リンリンさえ嫌じゃなければ、一緒に馬車に乗ってくれないかしら」
「いいのですか」
「もちろんだ」
「もっとお話しましょう、リンリンさん」
俺達の誘いに、リンリンは両指を合わせて嬉しそうに。
「はい、是非お願いします」
こうしてリンリンも加わり、おじさん含めて五人となった馬車は、最後尾から先頭になったことであっさりと検閲を終え、『エクスカリー』の中へと入った。
◆
洋風の街並みに、溢れんばかりの人。それとお祭りのような賑わいがあちこちで聞こえる。かつて俺が国王として治めた(笑)王国に負けず劣らずのいい街だ。
「相変わらず賑やかな街ね」
「人酔いしそうだな」
「ジンくん。酔ったらいつでも抱きついてきてね」
「天使様。は、破廉恥です。大胆すぎます」
誘惑したいのか胸元を開く天使に、リンリンが注意しながら顔を赤くした。
ピュアでええ子や~。
天使は後でコロス。
「そうだ、リンリンはこの街に何しにきたの?」
「私ですか。
実は、国王様に呼ばれまして……」
ポケットのような場所から、豪華な封筒を出すリンリン。それは間違いなく、俺達のところに来た封筒と同じものだった。
「リンリンも!」
「え、もしかしてミイナ様達もですか!?」
「そうよ」
「おう。リンリンも呼ばれたんだな」
「はい。たまたま出会えただけなのに、こんな偶然ってあるんですね」
「ええ、そうね」
「私一人だけだと緊張していたので、ミイナ様達も一緒なら心強いです」
リンリンが真正面にいるミイナに目を合わせながら手を握った。
美少女×美少女!
なんと素晴らしい光景だろうか。
同じ金髪だし、よく見るとこの二人、似たような体型や顔立ちだな。天使なんかより、リンリンのほうがミイナの妹みたいだ。
そんなことを思っていると突然。
「きゃっ、指輪が」
「何よこれ」
「なんだ!」
「この光は……」
ミイナと手を握ったまま、リンリンの右手にはめていた指輪から光りが溢れ出した。
すぐに光は弱くなったが、光を浴びた天使が天使のように祈りながら、ゆっくり口を開く。
「リンリンさん、指輪が共鳴しています」
「共鳴。ですか?」
「何か知ってるの、天使」
「はい。リンリンさんの指にある【永輪の指輪】が、ミイナさんに反応したようです」
「私に!」
「はい。私と同じ天使が仕組んだのでしょう。指輪がミイナさんを、リンリンさんの探していた人と認めたようです」
「私を!?」
「はい、ミイナさんを、です」
ミイナが自身に指をさし、天使が頷いて肯定しながら目を閉じて、人差し指を立てながら教師のような口調でペラペラと、うんちくを語るように指輪について語り始めた。
「ちなみに【永輪の指輪】とは、生きた生き物や、大きすぎる物以外は無限に収納できる便利な指輪です。収納したら中の時間は止まっているので食べ物などは決して腐れたりしませんし、使い方は回収したいと思い浮かべるだけで回収したり、取り出せたりと、ものすごく便利な指輪なんですよ」
「成程。それでニクショクウサギが光になって消えたんだな」
説明はムカついたが、いろいろと納得した。
指輪に収納して時間も止まっているってチートすぎるだろ。
てかそんな便利な指輪があるなら【契りの指輪】なんて呪われた指輪じゃなくて【永輪の指輪】を渡せよ、クソ天使!
心の中で怒りながら、天使を睨みつける。
が、天使がぶりっ子全開でウインクしてきたので、視線直しにリンリンを見る。
リンリンはミイナだけを凝視しながら、大きく開いたその目から――。
「嘘、それって、ミイナ様が……うぐぅ……ひぐぅ……」
その目から、大粒の涙がぽろぽろ流れた。
「ちょっ、リンリン、どうしたのよいきなり。なんで泣いてるのよ」
「どうしたリンリン。まさか、この天使が嫌なことを言ったのか!」
もしそうならぶん殴ってやる!
「いえ……ひっく……違うのです」
ダムが決壊したような勢いで涙を流しながら、迷子の小さな子供が、何時間も探してやっと親と再開したように強くミイナに抱きつき。
衝撃的な一言を放った。
「やっと、やっとお会いしましたね、お父様」
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