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ドラゴンの女王編

第六十八話 俺=May chan

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「じゃあみんな、私についてきなさい!」

「「「「おーー!」」」」

 ミイナを先頭に、俺を除く全員がキラキラとした表情で『メガワシ車』に駆け込む。
 
「ちょ、待てよ!」

 キム◯ク似の声で言い、慌てて後ろから追いかける。
 先に駆け出した五人は皆、スクールアイドルのように輝いていた。
 ミイナ(アイドルのような女走り)
 天使(胸を揺らしながら女走り)
 リンリン(登校する学生のような女走り)
 ウサ耳少女(ぴょんぴょん跳ねながら可愛く走る)
 おじさん(大人の色気を出したセクシーな女走り)

 ……そこにはなんの違和感もない。
 100人中100人がなんと言おうとないったらない!
 ミンナトテモカワイイ!!

「ほら、早く乗り込んで!」

 ミイナに続き、どんどん『メガワシ車』に乗り込んでいく。
 『メガワシ車』は車体の上に取ってが付いていてそれを巨大なワシが足で掴んで飛ぶ乗り物だ。
 大きさはバスの半分くらいもあり、座席は二つしかないが中は広く、五人でもけっこう余裕がある。
 上にいる巨大なワシの口には紐が繋がれており、その背中には御者用の小さな個室が背負われており、縄はしごが上から降ろされていたが、おじさんは巧みなフィジカルではしごを使わず駆け上り、背中の個室に入っていく。

「皆様、陛下をよろしくお願いします!」

 外にいるアザセルさんが声をかけてきた。
 が、ぶっちゃけあの猫耳コスプレおじさんを助ける気は微塵もない。
 だから!

「断る!」

「何バカ言ってるのよ!」

 ゲンコツ!!

「そうウサ!」

 ドロップキック!

「ジン様、その発言はさすがにダメですよ」

 冷ややかな視線。

「ジンくんめっ!」

 ディープキス。

「シクシクシクシクシク――」

 皆の仕打ちで、出発前から体と心に多大なダメージを負った俺は、席で膝を抱えて泣いていた。
 シクシク、俺何も悪くないもん。ドラコお姉さんの味方なだけだもん。
 トト◯絶対いたもん!

「だ、大丈夫ですよね!」

 アザセルさんが不安そうに俺達を見つめた。
 シクシク、そんなのもちろん――。

「心配しないで、国王様は私達ミイナ隊が必ず助けるわ」

「任せろウサ、僕とリンリンちゃんがいれば鬼に金棒ウサ」

「そうですよね。【六皇】を倒したあなた方なら必ず陛下を救ってきますよね」

 自信満々に答えるミイナとウサ耳少女の言葉で、アザセルさんはホッとする。
 チッ余計なことを言いやがって、ミイナやウサ耳少女じゃなかったら殴っている場面だぞ。

「ミイナさん、こちらの準備が完了しました。飛んでもいいですか?」

 上にいるおじさんの声が、取り付けられているパイプから聞こえてきた。
 ミイナはそのパイプへ返事を返す。

「ええいいわよ、お願い」

「了解です」

「クエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!」

 巨大なワシが鳴き、ふわっと車体が浮かぶ。
 みるみる高度が上がっていき、5分くらいで雲の上を飛んでいた。
 途中途中ゾワっとエレベーターで感じるような嫌な感覚が全身を襲うが、俺耐えられるもん。
 だって――。

「なんで僕がコイツの隣に座るんだウサ!」

 嫌な顔をしながらもウサ耳少女が隣にいるんだもん。
 だからジン、平気だもん!

「しょうがないわよ、座りたがっていた天使がこんな調子だし……」

「ごめんね……お姉ちゃん……ウプっ」

 天使が気持ち悪そうに窓辺に備え付けられている吐き出し口からキラキラを放出していた。

「ああもうしっかりしなさい」
 
 その背中をミイナがさすっている。

「リンリンちゃんも大丈夫ウサ?」

「はい。私は天使様よりは平気……です」

 リンリンも酔ったようで、ミイナのすぐ隣で横になって項垂れている。

「天使もリンリンも後8時間の辛抱よ」

「8時間も!?……おぇぇぇ」

 天使の顔が青くなり、大量のキラキラをリバースした。

「8時……間。がくっ」

「リンリンちゃんしっかりウサ」

 リンリンは気を失うように目を閉じた。
 最初からこんな調子で大丈夫だろうか。
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