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第22章 破壊と運命

俺の過去と真実

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 ラルトは、人間でありながら魔族を敵とは見れなかった。
 幼い頃から魔物を倒さなければ平和に生きて行けないと言う大人が多かった。しかし、ラルトの両親はその大人達とは違った。

「魔族だからって私達と何も変わらない」

 いつもいつもそう言っていた。
 だから、勇者となったラルトを両親は鼻高にする事も無く、特別扱いする事も無く。変わらず息子として受け入れてくれた。
 初めてミーラを連れて行った時もそうだった。魔族だとか人間だとか魔王や勇者だって変わらない。

 だから、俺は両親と同じ様に皆んなを救いたい。そう思った。
 ーー聖剣の力は、彼らに使いたくない。

 俺は、まだ一度も聖剣の真の力は使っていなかった。
 ーーだが、目の前には魔王が倒れていた…
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