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第23章 炎と聖剣

暴れる火龍 3

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 二日目。
 魔族達は、自らの身体変化に追い付かない。ある者は、力に優れ、ある者は、知恵に優れた。
 しかし大半の魔族は、代償なのか理性を失った。ただただ、暴れ叫び力を振るう。それは小さな子供だろうが、男だろうが女だろうが関係ない。彼らの血がそうさせる。
 そして、彼らの様に暴れる事なくただ、内に溢れる魔力に混乱し逃げる事しか出来ない者達も居た。

「お、とう…さん?」

「見ちゃダメだ!逃げるんだ!」

 中には子供を連れて人間達から逃げて居た同胞でさえ、血に抗えずに暴走し始めていた。
 理性がかろうじて働く者は、魔力の低い力の無い者を庇いながら逃げる。彼らには人間も同胞も同じ恐怖の対象にしか映らない。
 何が起きたのかすら分からずに第二の恐怖と戦う術も無く、混乱を抱えて日々を隠れながら過ごす。

 誰か居ないか?
 理性のある同胞は?
 人間でも良い。誰か、助けてくれ。

 この時から、魔族の大半は人間へ戦いに。
 残りは、救いを求めて彷徨った。
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