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第23章 炎と聖剣

暴れる火龍 4

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 三日目…

 既に魔王城も村だった場所も、騎士団の野営地も火の海とかした。
 城跡には、真っ赤な龍。そして聖剣を掲げてさた人間。そして人間の仲間達。
 彼らは知らないだろう。彼らが戦い続けた日々に安寧も安らぎも与える筈が無い事を。
 子供達は、血に争う理性すら無くし感情も無くした。騎士達は、自らが招いた筈の戦いに後退の一途を辿るしか無かった。争う魔族達は、救える者を救う力すら無くして人間に協力を求めるしか無かった。
 燃え盛る彼らの戦いに救いは無い。
 誰かが彼らを見て呟いた。

「何故こうなってしまったのか…」
「こんなつもりじゃ無かった…」

 人間か?魔族か?
 もはや関係無い、誰もがそれを考え過ぎり感じ、たった1人が呟き皆それに連なり呟く。
 そして、決定的な一言が発せられた。
 決してそれは言ってはいけない。
 言ったら終わってしまう。

【誰のせいだ】

 目の前の火は、より力を増す。
 目の前の光は、より力を増す。

 人も魔族も、同じ目をして居た。
 それは、憎む心が色を作る暗く深い瞳ばかりだった。
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