異世界転生しました。〜優し過ぎる彼と冷た過ぎる私〜

黒狼 リュイ

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第3章 異世界編  宿敵ーー炎王 

氷の中と宿敵 1

 穏やかな寒い国で唯一賑やかな日がある。
 それは生誕祭。氷の国の姫ユキの生誕祭。一年の内たった1日が国中賑やかに着飾り日が上るまで騒ぎ踊る日。
 そんな日は、いつもは来ないだろう行商人も近くを通った冒険者も魔族もこぞって集まる。そんな日ーーだからこそ、警戒は緩い。

「ユキ様の生誕祭である為、多くの方達がご挨拶されました。その中には、森の館に棲むリョク様も光の国のライ様も水の国のウォール様も多くの方がいらっしゃいました。」

「その人達は、その時だけ来たの?」

「えぇ、皆さま多忙の為になかなかいらっしゃる事はありません。特に100年前はその日だけでした。」

 そうして、順に挨拶を終えて屋敷のベランダに出たユキ達は氷の国では見られない大輪の花を空に写し出した。それは現代で言う花火だ。
 それに感動したユキは、普段なら緩まない魔力を少し緩め国中に散らばる雪を少しづつ減らしたらしい。
 そして、それが一番の恐怖の引き金になった。

「ユキ様の雪は、侵入者を感知する事も可能だったのですが…緩まった事で侵入者に気が付くのが遅れてしまったのです。…気付いた時には既に炎の国の者に取り囲まれてしまったのです…」

「もしかしてっ、この辺りが焼けているのは…」

「はい。御察しの通りです。…それは酷い有様でした…」

 そう言うとコーローは、涙を浮かべ焼けて何も無い天井を仰ぎ見た。涙を溢さないように小さな嗚咽を吐いた。
 ユキは、炎王と戦争の様な状態になったのだろう。辺りが一部焦げているのもそれで間違いないだろう。
 だが、ユキは何故氷の中に居たのだろう?炎王と戦ったのなら一緒に…なのに何故?
 答えはコーローから伝えられた…

「ユキ様は最期まで力を使って私達を護ろうとしましたが、私達が氷の中に封印したのです。いつか目が覚めた時ユキ様だけになってしまったとしても、ユキ様が居れば私達はまた動き出せる。そう信じて皆で魔法を使いユキ様だけの時間を止めました…すみません…」
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