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第4章  異世界編 旅の無力な青年

出発と暑さと旅人 2

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 そうして、雪乃改めユキは炎の国へ向かう。
 ユキが一人国を出ると100年前がいかに平和だったのかをまざまざと知る事になる。
 あらゆる人や物の介入を許さず、ある一定の人や物、状況だけ許して居た100年前。それは、ユキ様の力で雪をコントロールし危険だと判断して場合国には入れないと徹底的に管理していたから。
 だが、今氷の国を管理する者も住む者も居ない。故にユキ様の加護も無く有象無象が蔓延るまさに荒地だった。
 歩く場所全て雪が降って、雪に埋もれた氷の国は、雪乃がユキとして歩く場所全て雪なんて全く無かった。

 それほどまでにユキ様の存在は大きかったのだ。だが、そんなユキ様だからこそ、注意すべき事があった。
 コーローから聞いたユキ様は、ユキ様以外には使えない氷と雪の魔法が使え他の人達より凄まじほどの魔力がある。
 それを踏まえると、人前でユキ様が復活した事を国の外にバレてしまうとまた炎王が攻めてくる可能性がある。
 そのため、コーローは氷の魔法だけを使って欲しいと言った。どうやらこの世界には、氷の魔法が多少使える人も居るそうだ。しかし、多少であって大きな力にはならない。
 その為、ユキは小さな魔法だけを使って残りの魔力はコントロールしながらいつかの為に体内に貯める事にした。
 ある程度魔法が使える人にしか、本来の魔力量を知る事は出来ないとコーローが教えてくれたから、大丈夫だろう。

 ユキは、そうして雪の無い道をひたすら歩いた。この国を出るまでしばらくは雪が無い場所ばかりな為ユキには少しだけ暑さを感じた。

 そんな時、彼に出会った。
 もしかしたら、運命…いや宿命なのかも知れない。今ならそう感じる。
 が、この頃のユキはそんな風に感じる程の余裕は無かった。

「あっ、いやだ!な、何なんだ!?此処は!?」

 雪の無い道に、慌てふためいた様子で青年はへたり込んでいた。
 これが、ユキにとって初めて会う人だった。
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