writerS

柊彩 藍

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突然の別れ

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 「玉木さん僕たち別れましょう。」
 紗希は、お互いの好意を初めて確認したその屋上で突如蒼太から別れを告げられた。
 
 遡ること二時間前、学校から一緒にwriterS本部に向かっていった。
 「蒼太?」
 紗希は、蒼太の違和感を感じとり尋ねた。しかし、それに対して蒼太は何でもないと笑いながら答えその反応に違和感が無かったため気のせいであると何も気にしなかった。そして、ついてからも普通に仕事をし、いつも通りの連携でノルマであるデータの整理をすぐに終わらせた。玉木班は今日も、一番最初に暇である。最近はモンスター出現情報も無いため書類仕事が終わると何もする事が無かった。明日の分をするか早く帰るかそのままだらけるかの三択であった。大体はみんなで話をして夜まで過ごすというのだがそのタイミングで蒼太が紗希を連れ出そうとした。
 「紗希先輩、ちょっと屋上に来てくれませんか?」
 紗希は、羽鳥と池宮と話していたがそれを中断して蒼太の元へついていった。
 「おー二人とも見せつけるね~」
 羽鳥はそんな二人をちゃかした。
 「もう!やめてよ南」
 紗希は、顔を赤くして羽鳥に少し怒った。
 そして屋上へ、登る階段で紗希は何の用なのかを聞いた。
 「何?」
 「ちょっと二人きりじゃないと……」
 その後の沈黙に紗希は期待を膨らませる。キスでもされるのだろうかと、紗希の頭の中はピンク一色だ。
 そして、屋上の扉を開け二人とも屋上に出ると蒼太は振り向き、あのようにいったのだ。それは、紗希の頭の中を混乱させた。紗希自身、キスやハグなどイチャつくことしか頭に無かったためその正反対のことが現実に起こることは想定外だった。さらに付き合って日も浅いためそんなことを考えないほど紗希の頭はアツアツだったのだ。どのカップルにもこのような日が訪れる可能性はあるが、かなりあり得ない一組であったことは事実である。
 「冗談…だよね…」
 紗希はその声を震わせながら聞いた。
 「本気」
 声を震わせるほど動揺が隠せない紗希に容赦なくはっきりと告げた。
 「何で?いや、なんででもないか私より可愛い子なんていっぱいいるもんね。そんな子見ちゃったら気にもなるよね。」
 紗希は、自分で自分が何を言っているのかすら分からなくなっていた。
 「あと、もう2度とここには来ないから。学校にも行かない。もう会うことはない。」
 紗希の言葉を無視して、蒼太は自分のことを告げる。
 「待って、そこまでしなくても…そんなに私の顔が見たくないの?だったら私が蒼太に会わないようにするから!じゃないと蒼太に会えなくて悲しむ人が増えるよ…南や、ボス、修、志穂だって心配するよ。それにあの二人だって…」
 紗希の言葉を聞き終える前に蒼太は屋上から隣の建物の屋上へ、跳び移り姿を消した。夕日に照らされて泣き叫ぶ紗希を残して。
 しばらくして、羽鳥が屋上に二人を呼びに来た。しかし、羽鳥もその光景を理解出来なかった。泣き続ける紗希が一人そこに座っているのだから何も聞かなくても何が起きていたか想像するには十分だった。
 「落ち着いたらどっか飯食いに行こ。奢るからさ」
 羽鳥は、それだけ言って紗希を優しく抱きしめた。
 
 それとほぼ同時刻に、煌輔が家に帰って来た。煌輔が扉を開けると明かりが一つもついていない。
 「まだ、帰ってねぇのか。最近は帰るのが俺より早いからいると思ったんだけど。」
 ふと呟きながら電気をつけ、荷物を置いた。そして、机に置かれた一枚の紙に気づいた。
 「ん、なんだ?まあ、どうせ今日は飯作らんとかそんなんだろ。」
 煌輔はその紙を見ることなく冷蔵庫をあさり電子レンジで昨日の肉じゃがを温めた。
 晩飯を終え、テレビを見ながらくつろいでいるとまた、机の上の紙に視線が動いた。大したことが書かれていないだろうとたかをくくってその紙を開くと驚いたことに文字がびっしり並んだ長文だった。
 「今までお世話になった。本当に感謝してる。特に僕を拾ってくれた時の事なんて一生忘れられない恩だ。あのときは記憶も持ち物も何もかもを失った俺に声をかけてくれてマジで嬉しかった。それからも、たくさんいろんなところに遊びに行って、煌輔とは本当に楽しい思い出ばかりだった。もちろん優衣と過ごしていた時間もだ。あんなに楽しめる空間はそこしかないと思えるほど居心地のいい空間だった。けど、僕にやらなきゃいけないことができた。今からはそれに専念しなくちゃならない。煌輔達に迷惑がかかることが目に見えてるからお前らの目の前から消える。どこに行ってももう僕と会うことはない。それに僕を少しでも心配してくれるなら僕のことを忘れてくれ。それが僕にとって一番嬉しい。さようなら。」
 煌輔は即座にその紙を破り捨て玄関を飛び出し蒼太を探しに行った。
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