writerS

柊彩 藍

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犯罪

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 「先日、三十代の女性が何者かに刃物で腹部を刺されるという事件がありました。現場は尾川市、時間は午後10時頃。女性の命に別状は無いものの重症を負っています。意識は、失なっていとのこと。女性の証言によると、姿は暗くてよく分からなかったが突然目の前に人が現れたと言います。」
 ニュースには、事件が報道されるが魔法や、モンスターによるトラブルはなかった。writerSに寄せられる仕事もなく、やることがないからこそいっそう蒼太のことを考えてしまう。忙しかったのなら忘れることも出来ただろうがやること、考えることがないぶん頭に浮かぶのは蒼太だった。それは誰にでも言えることであるほど蒼太存在は大きいものとなっていたのだ。自然と、部屋の雰囲気が暗くなる。ため息も多かった。しかし、一人だけいつもと変わらないものがいた。
 「みんな暗いね。何かあったの?」
 記憶を封印された紗希は、何事も無かったかのように喋り続ける。
 「そんなに仕事したいの?いくら仕事が無いからってそんなに落ち込まなくてもいいじゃん」
 そんなことを言いながら笑顔を浮かべる紗希に、なぜ落ち込んでいるのかなど説明するような人はいなかった。そんな中でボスが一言これからの行動について指示を出した。
 「これからは、みんなここに集合しなくてもいい。正直ここにきてすることもほとんど無いからな。常に俺から連絡を受け取れるようにしておいてくれれば何をしていてもいい。以上!解散」
 ボスの指示通り、皆バラバラと部屋を出ていった。
 「ねえ、ちょっと今日買い物にいかない?」
 紗希は、池宮と羽鳥を誘った。二人は顔を見合わせて、蒼太も人が多いところにわざわざいないだろうと思い紗希についていった。
 
 そして、繁華街でいろいろな店を回った。繁華街なので平日だというのに人が溢れかえっていた。すぐそばを通りすぎる人以外、誰かと認識することは難しいほどだ。はぐれてしまっては探しだすのは一苦労だろう。そんな時に、紗希が不思議な反応を見せた。
 「どうしたの?」
 池宮は、紗希がどこかに視線を奪われているのに気づき声をかけた。
 「んー?なんとなく知り合いを見つけた気がしたから。多分気のせいだけど。」
 それを聞いた羽鳥は、二人の手を引っ張って、「美味しそうなパフェを見つけた。」といってもその場から離れるように歩いた。
 「おいしい~」
 羽鳥はそのまま本当にパフェを食べてテラス席でくつろいでいるとどこからか悲鳴が聞こえてきた。
 「通り魔だ!みんな逃げろ!」
 その悲鳴のする方から、警告を示す声が聞こえてきた。ここは本来警察に任せなければならないのだろうが羽鳥は、正義感からどうしても我慢出来なくなり通り魔のいる場所へと飛び込んでいった。結果、通り魔を見つけることは出来なかったのだが、その惨状を目撃した。道には血が流れ、人が二人倒れており、その二人をたまたま近くに居合わせていた回復魔法師が傷を癒していた。そして、その光景を見た羽鳥はあることを思い出した。先ほどのニュースである。先ほどのニュースに流れていた事件も似たようなものだった。狙われたと言うより突発的に起こってしまったその様子が。そんなことを考えているうちに警察がやって来て現場を保存しようと回りの野次馬たちを整理していった。
 「どうだった?」
 「何も出来なかった。」
 「そう…」
 そこで出来ることは無くなったと立ち去ろうと振り返った瞬間その横目に映ったフードで顔を覆った男を見て少し驚いた。恐らく蒼太ではないのだが、背丈やオーラがとても似ていた為つい反応してしまった。
 
 その頃、警察では。
 「署長また通り魔の事件です。これで昨日から数えて8件目です。」
 通り魔の事件は、紗希たちが目撃したもの以外にも起きていたのだ。それもかなり狭い範囲で。警察の見解として、同時刻には行われていないことと、その犯行現場と犯行現場との距離から考えて同一犯で間違いないだろうということがほぼ確定していた。しかし、調査をしていく上で少し不気味な事が発覚した。どの被害者の傷も深さ5㎝とミリメートル単位で揃っていたのである。さらに驚くことがどの内臓に対しても傷をつけていない事だった。そして、この事件に魔法が関与していることが発覚するのはそう時間の掛からないことだった。
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