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柊彩 藍

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 ある日いつものように蒼太の捜索にいそしんでいる頃奇妙な出来事が起こった。それはある密輸業者を制圧したあとのことである。
 「ここには?」
 「いないと思う。というかそもそも魔力の痕跡がない。もはや魔法を使える人が誰もいなかったかのようなそんな感じ。」
 「それはないだろ。今では魔法は、義務教育の一貫だろ。それで使えないはないだろ。戦闘は出来ずとも日常で使用出来る程度の魔力は誰しもが持ってるって誰かが証明してただろ。」
 そう、一条が言った通り。魔力の痕跡の残っていない場所などないのだ。あるとすればそれは人里離れた山奥の誰も立ち入ったことのないような場所ぐらいだ。しかし、その場所はどれだけ奇妙に感じようとその事実は確認された。流石に怪しいと思いその建物内をくまなく探した。すると、煌輔が新たに変なものを見つけた。それは壁にペンキで殴り書きされた文字だった。
 『我は、太古と昔の魔術を知りし魔術師なり。貴様らがここに来ることは知っていた。』
 「太古と昔って何が違うんだ?」
 「本当に大昔のことと、魔法が現代で普及し始める前って事じゃないかな」
 そして、その文字を残した主は、壁の文字だけでなく一枚の手紙を残していた。その手紙にも何か全てを知っているような書き方をされていた。
 『ここでは門を開くことは出来ない。私の元にたどり着くものはたった一人。しかし、それは蒼太を願いしものではなく、真実を求めしものなり。その者がただ、一人この文を読むとき門は開かれる。』
 それが誰を指しているのか分からないまま一旦持ち帰ることにした。
 
 優衣の家でそれが誰なのかという話し合いが始まった。
 「真実を求めるってみんなが知りたいと思ってるだろ」
 「いや、多分優先順位の問題だと思う。だから優衣と煌輔はこれに当てはまらない。」
 「それもそうだな。二人は、この四人の中でひときわ蒼太への思いが強いだろう。それを考えると俺も違うな。蒼太への思いが無いわけでもないし、真実を知りたく無いわけでもないけど思いの強さで言えば他の人に負ける。」
 四人の中で考えるとのこるは、志穂である。その時少し志穂はショックを受けた。自分に蒼太を心配する気持ちは無かったのかと、ただ、真実を知る為だけにwriterSをはなれたのかと。しかし、知るすべが自分しかいない以上志穂が行くしかないのである。
 「じゃあ行ってくる。」
 3人は志穂を残して、部屋を出た。
 ポスッ
 手紙が落ちる音がした。そこで3人が部屋の中を見てももう何も無かった。
 
 突如転移させられた志穂は不安になった。辺りは真っ暗で音も聞こえない。更には人の気配もない。そして、以上なほどに漂う魔力。志穂は、本に魔力を流し適当な魔法を使い続けることで常に自分を魔力不足状態にすることで空気から体内に吸収される魔力で体がおかしくならないようにした。志穂ははその時に自分に対して状態回復をしていたので魔力過剰の状態をリセットしつつ魔力消費することが出来たので効率が良かった。そして、その状況に適応し、安心したところであることに気づく。魔力のことで感じる暇もなかった押し潰されるような殺意が向けられるのを感じた。
 「おい、なにを突っ立っておる。」
 「ひゃいっ!」
 感じることのなかった人の気配がいきなり手の届く距離に現れ声をかけてきたのだ。
 「ん?主は女か。しまったのう。あの物知り気な男を、誘ったつもりがお前が引っ掛かるとは。さてはあやつ気づいて来なかったのじゃな。」
 志穂はだんだん暗闇になれてきた目でその人影を見る。その姿はしゃべり方とは全く異なってツインテールの可愛らしい少女の姿だった。
 「あの、あれは?」
 「そうじゃなこのまま帰れというのもいささか気が引けるしの。少しだけでも話してやるか。」
 
 そして、少女に案内させられるまま少し明るい場所へ向かった。
 「とりあえずここはどこか説明しておこうか。」
 少女いわく、ここは一種の結界らしい。異空間を作る際、その空間を膨大に作り再現なく圧縮することで異空間事態の強度を高めることが出来るという。その際に本来散らばっている筈の魔力が圧縮されるため高濃度になったのだという。こうすることで、発見されても外部からの攻撃をほぼ無傷にすることが出来るという。更には膨大な魔力があるためこの空間の隠蔽に惜しむことなく魔力を注ぎ込めるため発見されることはまずないのだという。そして、この少女こそがこの異空間の創造主であるらしい。
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