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柊彩 藍

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結界を破りし救世主

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 志穂は、その姿を見てかける言葉も出なかった。そのあまりにも壊れてしまった姿に絶望とも呼べる感情がわいてきたのだった。機械の中の優衣は、目の色に光はなくまるで死体のようだった。
 「こんな魔法何かを使ってる悪徳どもに負けてんじゃねぇ!」
 優衣の声は荒ぶっていた。しかし、今二人が目の前にしている人間は、依然として魂が抜けたような状態だった。機械の動き、言葉から察するに優衣が酷く怒り狂っているのには間違いが無かった。それにも関わらず優衣は、無表情で口すら動いていなかった。
 「あんたがやったのか?なかなかやるじゃねぇか!私ともやらせろ!」
 その巨体を物理的限界に迫るスピードで、紗希を目掛けて飛び込んできた。紗希はそのあまりの機動力を想定出来ずにそのまま吹き飛ばされてしまった。
 「紗希!」
 志穂には一瞬の出来事で、吹き飛ばされた紗希を見てからようやく状況を理解するようなレベルの攻撃だった。さらにいつの間にそんなことが出来たのか分からないが、スピードではトップレベルの大柴が既に気絶した状態で横たわっていた。そして、紗希がまだ息があることを感じ取ったのか、優衣は再び攻撃を仕掛ける。しかし、先ほどの一撃も反応するのでやっとだったのに対し、今は吹き飛ばされたダメージも残っている。当然かわすことなど出来ずまた防ぐことも誰かが変わりに防ぐことも叶わなかった。
 パチン
 泡が弾けるような音と共に、すべての動きが止まった。ある少女と一匹を除いて。
 「やれやれこんなに厄介な結界じゃと助けに行くのも大変じゃ。ほれ、あれをどかしてこい」
 少女の一言で一匹の狼が紗希を殺しにかかっている機体に飛びかかった。
 当然その様子は紗希たちにとっては一瞬のことだった。自分を襲いかかっていた機体はいつの間にか狼に押し倒され動けなくなっていた。
 「ワシにも、魔法はなくられたら困ることがあるんでな。大魔法使いイリス・アーヴィングが、助けてやろう。」
 突如それは現れ協力することを宣言した。
 「どう…やって?」
 紗希には、またしても訳の分からない方法で結界を突破されてしまった。なぜなら、イリスが鍵を持っていることになっているからだ。
 「こんなものワシならいくらでも作れる。じゃがなちと複雑過ぎんか?優秀なのは誇らしいが、助けまで拒んでどうする!」
 イリスは、少女らしくない言葉使いで少女らしい怒りの表しかたをした。
 グルァァァァ
 「なんじゃ」
 狼は、突如叫び苦しみ始めた。さらに押し倒されていたはずの優秀をのせた機体が、何かを狼の肉体に突き刺している。
 「下がれ小僧!」
 イリスは、魔力で編んだ糸で狼の体を引き剥がした。
 「クソ薬物か。あやつらがとりそうな行動よ。一旦引くぞ紗希、結界を解放しろ。」
 イリスは、的確に指示をだし撤退を試みた。優衣も消耗していたらしくいつの間にかその場を撤退していた。
 「おい、小僧大丈夫か!?」
 狼は、薬を入れられたせいか、体がビクビクと痙攣していた。
 「毒か…処理を間違ったら小僧を死なせてしまう…」
 「紗希!結界を張りなおせるか?広範囲じゃなくていい。ワシと小僧さえ入ればいいその代わりとびきりの上物を頼む。」
 紗希は特別魔力の濃い結界で覆った。
 そして、イリスは狼の体に切り傷を入れた。そして、血が吹き出した。しかし、ただ血が吹き出すのではなく止まることなく全ての血が排出されたようだった。
 「イリス!それじゃこの狼が…」
 「黙っとれ!科学の知らん素人が、科学に対して何が出来る!説明は後でする。お主は、結界に集中しろ!その環境が小僧を耐えさせている!」
 そして、全て血が排出されたあと。イリスは、何やら赤い塊を出現させてそこから赤い糸を狼の体に突き刺した。赤い塊は、だんだんと小さくなりやがてなくなってしまった。その頃にはイリスが作った傷も癒えていた。
 「イリスどうやったの?」
 「科学の薬品はな、処理を間違ったら命とりになる。だから魔法で癒すと解毒は出来ない。魔法でかけられた毒は、毒の状態は魔力で再現されたものだから魔力で解除出来るが、薬品はそうはいかない。だから、血液を毒ごと抜ききって、血液を入れ換えた。ほんとは別の時に使いたかったんだけど。」
 イリスは自分が科学の知識を持ち得ないと理解した上で、魔法の知識で解決したのだ。
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