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3章~最強の剣士現れる?!~
殺戮狂人
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琥珀の将軍達が迎撃体制に入った直後に魔物の吠える声が届いてきた。
その後予想されていた通り、複数箇所から魔物の群れが押し寄せてきた。
「状況は」
「森に面している側がかなり押されています。」
「分かった僕が行く。」
「待て、俺が行った方がいいだろう。何のために俺が残ったんだよ。」
「頼む。」
「うっし!」
そう言って、森の方角へ走っていった。だが、おかしい。そろそろ聞こえてきてもいいはずの、魔物の吠える声や、兵士達の声が全くきこえない。そんな不安を抱えながら、目的地に到着した。やはり、嫌な予感が的中してしまっていた。そこに広がるのは、『赤』血の赤だ。その場の地面は血で塗り潰されており、この先には兵士の死体が積み上げられていた。
「あー!新しいお客さんだ~。精一杯おもてなししないとね」
死体の山の後ろから笑顔で出てきたのは、返り血で身体を真っ赤に染めた、男の子だった。ハルトは、こいつが皆殺しにしたのかという怒りと、その残虐さに対する恐怖を隠すことは出来なかった。
「おにーさん、僕からできるおもてなしは、殺し合いと一方的な拷問と他の兵士を一緒に殺しに行ってその人数を競う事だけどどれがいい?」
イカレている。それだけでこいつを表現するのには十分だった。それほど、彼は狂っていた。
「あ、自己紹介がまだだったね。ごめん、ごめん。僕は、エド・ゲイン。宜しくね。あとおもてなしの話だけど、僕は殺し合いがお勧めかな、おにーさん相当人を殺してきたような気がするし。で、どうする?」
ハルトには、選択しなど存在しなかった。これ以上、野放しにしてはいけないという使命感と今目の前で積まれた死体を作ったエド・ゲインに対する怒りで確実な殺意が芽生えたからだ。
「じゃあお勧めで頼むよ。」
ハルトは、歯を食い縛って溢れだす怒りを押さえながら答えた。
一方その頃、森の奥では…
「俺が助けに行けたらもう少し何とか…」
蓮が琥珀の光景を見て、助けに行きたいと願うが薬の影響でいつ暴走してもおかしくないため、助けに行けず、ただただ飛び散る血を見ながら嘆いていた。そして、とうとう薬がちゃんと効いてきた。蓮の腕はだんだんと竜の鱗が浮かび上がり、次第に竜の姿へと近づいてきた。激しい痛みを伴いながら。しかし、蓮は必死に抗った。まだ琥珀に近い。ここで竜になってはまた自分の手で街を壊してしまうと。
しばらく、抗い続けた結果。蓮は理性を取り戻し、浮かび上がってきた竜の鱗もだんだんとひいてきた。
「よっし。これで助けに行ける!」
こうして蓮は急いで琥珀へと、引き戻したのであった。
その頃ハルトは、依然エド・ゲインと、死闘を繰り広げていた。
「あはっおにーさんやっぱり思った通りだよ!この躊躇の無い太刀筋、おにーさんは人殺したことがあるんだね。僕とおんなじだね」
「確かに、そんな時期もあった。それは、否定しない。けどな、俺はもうあんなことはしないし、あんな思いもさせない!」
「おにーさん、殺意に抗ったらダメだよ。本能のまま生きないと世の中苦しいよ?」
「そうか、苦しいか。なら、なおさら俺は自分の殺意を抑えないとな。俺が積み重ねた死体の数に見合う以上の苦しみを味わってやるよ!」
エド・ゲインは快楽を、ハルトは苦しみを求めて互いに剣を合わせた。
「おにーさん、本気出してないよね」
確かにハルトは本気を出していなかった。あのテレポートを一切使っていなかった。これは、使わなかったと言うよりも使えなかったと言う方が適切だろう。テレポートは、体力を失うと言うデメリットがあるからだ。もし、テレポートを使用して、エド・ゲインに勝ったとしよう、しかし、そのあとはどうなる?この先、まだ敵が増えるかも知れない状況で倒れる訳にはいかないじゃないか。ましてや、体力を回復してくれるリリィも側にいない。しかし、いつまでもここで足止めを食らっている訳にもいかなかった。その時、ハルトの頭にある考えがよぎった。敵が押し寄せてくる前に迅之介に、聞いていた事だった。
「ハルトさん、もし出来ればですが殺さずに捕まえることが出来たらここの牢屋まで連れてきてはくれませんか?」
ハルトは思ったのだ。その牢屋に直接エド・ゲインをぶちこむことが出来たらと。しかし、これを決行する上での難点が2つあった。1つ目は、エド・ゲインを直接触らなければならないこと。2つ目は、目で直接見えていない所にテレポートで飛ばして目標点に飛ばせるのか。そして、目標点に飛ばせたとして、あの牢屋がつぶれたり移動していたりしたら、牢屋の外に出た状態で迅之介のもとへと強敵を送り込んでしまうのではないかと。「俺の弟は凄いんだぜ。」そんな蓮の声が聞こえた気がした。ハルトはそれに応じて、2つ目の難点を迅之介に、託した。あとはエド・ゲインを触るだけだ。
「エド。俺はお前を殺さずに勝つ!」
「おにーさん、ガッカリだよ。おにーさんもつまらない人間だったんだね。」
エド・ゲインは、それをきっかけに間合いを急激に詰めてきた。しかし、それこそハルトの思うツボだったのだ。
「もらった」
ハルトは、手のひらをエド・ゲインの肩に当て、エド・ゲインを飛ばした。
ドサッ
「なんだ?!」
「恐らく敵かと。」
「おにーさんは、僕と殺し合う?」
「その前にお前から情報を聞き出してからな。それにしても本当に殺さずに捕まえるとは。やっぱり、兄さんの認めた人だな。」
「つまんなーい。僕しゃべる気無いから。拷問でも、するならどーぞ。慣れてるし」
こうして琥珀は相手の一角を切り崩した。
その後予想されていた通り、複数箇所から魔物の群れが押し寄せてきた。
「状況は」
「森に面している側がかなり押されています。」
「分かった僕が行く。」
「待て、俺が行った方がいいだろう。何のために俺が残ったんだよ。」
「頼む。」
「うっし!」
そう言って、森の方角へ走っていった。だが、おかしい。そろそろ聞こえてきてもいいはずの、魔物の吠える声や、兵士達の声が全くきこえない。そんな不安を抱えながら、目的地に到着した。やはり、嫌な予感が的中してしまっていた。そこに広がるのは、『赤』血の赤だ。その場の地面は血で塗り潰されており、この先には兵士の死体が積み上げられていた。
「あー!新しいお客さんだ~。精一杯おもてなししないとね」
死体の山の後ろから笑顔で出てきたのは、返り血で身体を真っ赤に染めた、男の子だった。ハルトは、こいつが皆殺しにしたのかという怒りと、その残虐さに対する恐怖を隠すことは出来なかった。
「おにーさん、僕からできるおもてなしは、殺し合いと一方的な拷問と他の兵士を一緒に殺しに行ってその人数を競う事だけどどれがいい?」
イカレている。それだけでこいつを表現するのには十分だった。それほど、彼は狂っていた。
「あ、自己紹介がまだだったね。ごめん、ごめん。僕は、エド・ゲイン。宜しくね。あとおもてなしの話だけど、僕は殺し合いがお勧めかな、おにーさん相当人を殺してきたような気がするし。で、どうする?」
ハルトには、選択しなど存在しなかった。これ以上、野放しにしてはいけないという使命感と今目の前で積まれた死体を作ったエド・ゲインに対する怒りで確実な殺意が芽生えたからだ。
「じゃあお勧めで頼むよ。」
ハルトは、歯を食い縛って溢れだす怒りを押さえながら答えた。
一方その頃、森の奥では…
「俺が助けに行けたらもう少し何とか…」
蓮が琥珀の光景を見て、助けに行きたいと願うが薬の影響でいつ暴走してもおかしくないため、助けに行けず、ただただ飛び散る血を見ながら嘆いていた。そして、とうとう薬がちゃんと効いてきた。蓮の腕はだんだんと竜の鱗が浮かび上がり、次第に竜の姿へと近づいてきた。激しい痛みを伴いながら。しかし、蓮は必死に抗った。まだ琥珀に近い。ここで竜になってはまた自分の手で街を壊してしまうと。
しばらく、抗い続けた結果。蓮は理性を取り戻し、浮かび上がってきた竜の鱗もだんだんとひいてきた。
「よっし。これで助けに行ける!」
こうして蓮は急いで琥珀へと、引き戻したのであった。
その頃ハルトは、依然エド・ゲインと、死闘を繰り広げていた。
「あはっおにーさんやっぱり思った通りだよ!この躊躇の無い太刀筋、おにーさんは人殺したことがあるんだね。僕とおんなじだね」
「確かに、そんな時期もあった。それは、否定しない。けどな、俺はもうあんなことはしないし、あんな思いもさせない!」
「おにーさん、殺意に抗ったらダメだよ。本能のまま生きないと世の中苦しいよ?」
「そうか、苦しいか。なら、なおさら俺は自分の殺意を抑えないとな。俺が積み重ねた死体の数に見合う以上の苦しみを味わってやるよ!」
エド・ゲインは快楽を、ハルトは苦しみを求めて互いに剣を合わせた。
「おにーさん、本気出してないよね」
確かにハルトは本気を出していなかった。あのテレポートを一切使っていなかった。これは、使わなかったと言うよりも使えなかったと言う方が適切だろう。テレポートは、体力を失うと言うデメリットがあるからだ。もし、テレポートを使用して、エド・ゲインに勝ったとしよう、しかし、そのあとはどうなる?この先、まだ敵が増えるかも知れない状況で倒れる訳にはいかないじゃないか。ましてや、体力を回復してくれるリリィも側にいない。しかし、いつまでもここで足止めを食らっている訳にもいかなかった。その時、ハルトの頭にある考えがよぎった。敵が押し寄せてくる前に迅之介に、聞いていた事だった。
「ハルトさん、もし出来ればですが殺さずに捕まえることが出来たらここの牢屋まで連れてきてはくれませんか?」
ハルトは思ったのだ。その牢屋に直接エド・ゲインをぶちこむことが出来たらと。しかし、これを決行する上での難点が2つあった。1つ目は、エド・ゲインを直接触らなければならないこと。2つ目は、目で直接見えていない所にテレポートで飛ばして目標点に飛ばせるのか。そして、目標点に飛ばせたとして、あの牢屋がつぶれたり移動していたりしたら、牢屋の外に出た状態で迅之介のもとへと強敵を送り込んでしまうのではないかと。「俺の弟は凄いんだぜ。」そんな蓮の声が聞こえた気がした。ハルトはそれに応じて、2つ目の難点を迅之介に、託した。あとはエド・ゲインを触るだけだ。
「エド。俺はお前を殺さずに勝つ!」
「おにーさん、ガッカリだよ。おにーさんもつまらない人間だったんだね。」
エド・ゲインは、それをきっかけに間合いを急激に詰めてきた。しかし、それこそハルトの思うツボだったのだ。
「もらった」
ハルトは、手のひらをエド・ゲインの肩に当て、エド・ゲインを飛ばした。
ドサッ
「なんだ?!」
「恐らく敵かと。」
「おにーさんは、僕と殺し合う?」
「その前にお前から情報を聞き出してからな。それにしても本当に殺さずに捕まえるとは。やっぱり、兄さんの認めた人だな。」
「つまんなーい。僕しゃべる気無いから。拷問でも、するならどーぞ。慣れてるし」
こうして琥珀は相手の一角を切り崩した。
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