クロスフューチャー

柊彩 藍

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3章~最強の剣士現れる?!~

厄災再び

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    その場にいた全員の目に写し出された光景は、戦いに勝ち、国を守ることができた喜びを絶望へと、突き落とすには十分過ぎた。消えた音の中で響く血の滴る音。これが聞こえる度に、戸惑いや絶望は、怒りへと変わっていった。そこで起きていたのは、迅之介、琥珀の将軍が背後から刺されているというなんとも信じがたい光景であった。そして、迅之介を刺していた犯人は、ハルトが捕まえ牢屋に放り込まれていたはずのエド・ゲインである。
 「お前何でここに!」
 ハルトは牢屋に送り込んだつもりで、その事を迅之介から確認していたのでテレポートのミスではないことは確信していた。だから、この時ハルトは驚きの顔を隠せなかった。この時蓮は一つの仮説を思い付いた。 
 「全員に聞く!倒した人間の敵の人数を教えろ!」
 使者や、ハルトの証言から、撃破したのは、蓮と迅之介が倒した二人だけだということ。そして、行動不能にしたはずのエド・ゲインの合計3人だった。
 「やっぱりか」
 蓮が前日に確認していたのは全部で4人だった。1人足りない。すると背後から称賛の声がした。
 「ハイハイハイ、どうもグレイテスト・ロザリンと申します。蓮さんに関してはお久しぶりでしょうか。皆さんはなぜこんなことにとお思いでしょう。それは、蓮さんが頭に描いたシナリオ通りですよ。私が彼を逃がしたんです。なんなら牢屋の場所に行ってみるといい、警備をしていたものの血で赤の染まった地面を見ることができるだろう。」
 「アハッ、蓮さん?あなたはこれのお兄さんなの?ありがとね。たまっていたストレスがスッキリしたよ。あー、ハルトさんじゃないですか。急にあんなとこにつれてくなんてつまんないですよ」
 と足を倒れた迅之介の頭に乗せ挑発した。蓮は怒りでどうにかなりそうだった。だが、それこそが奴らの狙いだった。今回、琥珀を攻めてきた一番の目的は蓮にもう一度竜になってもらうこと。蓮は、怒りを爆発させ、その身体を徐々に竜の姿へと変えていった。しかし、ここで疑問に思う事があるだろう。そう、蓮は薬で竜にされそうになっていたがそれを自分ではねのけ、竜にならずにいることが出来ていたのだ。だが、これは決して薬を克服したわけではなかった。蓮自身の心で押さえつけていたに過ぎなかった。だから、そのストッパーの役割をしていた。理性が怒りで吹き飛んだ時に、竜になってしまったのだろう。
 「よし、これで我々の計画は成功だ。怒り狂う憤怒の竜よ、この町を、この国を焼き払え。」
 こう、高らかに声をあげた。しかし、ここには奴らにも想定していなかった事が起きた。蓮の怒りが強すぎて、暴走してしまっていたのだった。そうでなければ、薬を与えた奴らの言うことを少しは、聞くはずだったのに竜(蓮)は、グレイテスト・ロザリンを凪ぎ払った。並みの人間では、意識が吹き飛んでいただろう。しかし、グレイテスト・ロザリンといえど意識は飛ばずともかなりのダメージを受けた。恐らくここから起き上がることは難しいだろう。それでも竜は、追撃しようとしていた。恐らく、何もかもを壊しきるまで収まらないだろう。
 「エドお前だけでも逃げろ。そして、報告しろ。任務は完了したと。」
 ロザリンは声を振り絞ってエド・ゲインに逃げるように促した。しかし、エド・ゲインはグレイテスト・ロザリンを助けようとしていた。その時エド・ゲインの前にある人影が現れてそのまま消えてしまった。そして、その人影だけが戻ってきた。その人物を見たハルトは驚きで声も出なかった。グランダイトで一戦交えた、あのスナイパーである。
 「お前何でここに!」
 「お前ではない、ネスコースト・ミシュリだ。そんなことよりそいつを何とかしたかったら言うことを聞け」
 「何でお前なんかの」
 「聞きたくなかったら聞かなくていい。一応言うが私は、こいつを元に戻す薬を持っている。それを脳天にぶちこみたい。やつの体と首を固定しろ。そうしたら私が何とかしてやる。なんせ部下の不手際だからな。」
 ハルトは悩んだ。敵であるはずのミシュリを信じてもいいのだろうかと。しかし、この女を信じる他に当てがないのも事実だった。
 「分かった。俺をあいつに直接触れられるように援護してくれ!」ハルトは一時的に手を組むことを決めた。
 「やってみよう」
 ハルトはミシュリの援護射撃により竜の懐にたどり着いた。そして、テレポートを発動させた。竜は、近くの地面に現れ、しばらく身動きがとれないように埋まっていた。そして、ミシュリの薬の入った弾丸が脳天に刺さる。竜は、動きを止めその姿をだんだん元の姿に戻していった。
 「ハルト。お前は、私の組織から殺せと命令されている。だが、今回は助けられた借りがあるから見逃す。」
 「何で俺は、狙われてるんだよ!」
 「自覚が無いのか?やはり相当のクズだな。次会う時はこいつで撃ち抜く。」
 ミシュリはそのまま姿を消した。蓮が人間の体に戻り、目を覚ますまでに時間がかかったがどうやら無事なようだ。ただ、迅之介を救えなかったという傷は癒えないだろうが。
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