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5章~エルフVS忍~
衝突
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「お前ら!準備はいいかぁ!今日こそあの耳ながどもに目にもの食らわせてやる!」
疾風の声に雄叫びが返ってくる。全ては、秘宝を取り戻すために…
「あなた方に迷惑や、手間をかけさせてしまっていることは承知しています。ですがどうかこの国を守るために手を貸してください。」
タリアの謙虚な言葉に、不安を吹き飛ばすかのような雄叫びが聞こえた。
そのなかで、全ての平和を願い仕掛けるものたちもまた静かに闘志を燃やし、冷静に頭を回していた。
ハルト達は、馬でシルヴァヌスが見える所まで駆けていった。
「馬はここで置いていく。」
半蔵が、皆に指示を出す。忍の者共は、何も言わずに指示に従い馬から降りた。しかし、ハルトと蓮は馬から降りる事を少しためらっていた。
「相手には、植物を操るものがいる。そいつに罠でも張られてたりしたら馬では反応出来ないからだ。」
疾風の言葉で二人は、納得し馬から降りて草原を駆け抜ける。すると案の定、植物を使った罠が張られていた。もちろん、ハルト達は想定済みでは、あったのだがこの反応の方が自然だろうと少し芝居をうった。
「タリア様!やつらが見えました!南の方角に約50人馬から降りて罠を掻い潜りながら走り抜けてきます。」
視察台から、警戒の鐘がなる。
「全兵士に告ぐ。敵は南からやって来た。南の守りを固めつつ他方の警戒にあたれ!」
「こいつらは、どうしましょう。準備しますか?」
視察の兵士が、アルビオン達を連れてきていった。
「ルナに任せる。」
タリアは状況の確認のため視察台へと足を運んだ。
「とりあえず磔にしましょう。」
ルナは、二人を連れていき十字架に組まれた木にくくりつけた。
「攻撃はいざとなったら全部防ぐので安心してください。」
少し不安そうに、うつむくリリィにルナは優しい言葉をかけた。
そして、ようやく衝突のときは迎える。
「やつらが見えた。武器を構えろ!身を隠せ!相手の背後から襲え!」
半蔵が、開戦の合図を上げた。その時、疾風は一番前で腕を横に伸ばした。それに従い、忍達は武器を下ろし立ち止まった。
「汝らは何をしに、この神聖な森へと足を踏み入れる。」
タリアは、忍達に問う。忍達は、怒りをあらわにして答えた。
「秘宝を盗んでおいて、その反応はなんだ!我らがどんな思いで来たか分かっているくせに!この布陣だってそうだ!あの秘宝があれば簡単に俺たちの襲撃など予測できる。」
その感情をのせた声はタリアには届かない。
「そんなものは知らない。我々は、我々が守るべき土地を守ろうと戦うのみ。決して他国に侵略などしない。我らが武器をとるのは自らを守るときだけだ。」
タリアは、厳かな表情を変えずに答えた。そんな中で、エルフのある兵士が反論する。
「お前らこそ、我らの智宝を使いここに来たのではないのか!タリア様は、智宝が盗まれた時を目撃したと言った。それだけでなく俺たちの仲間殺して…人の命を奪ってまで盗んだものはさぞいいものだろう。今だってそれを使い巧妙な作戦を展開しているに違いない。しかし、我々はそんなものには負けない!我らが、頼みにしていた希望が、相手に渡ったぐらいで我々が負けるものか。」
そこからは、しばらく子供の喧嘩とも言えるような交渉が続いた。ここで攻撃が怒らなかった事は、それぞれのトップの技量によるものだろう。かなり時間が過ぎた。しかし、その状況が永遠に続くわけでもなく遂に忍の者達が、武器を構え、その目はじっとエルフ陣営を見つめていた。それこそ目線で人を殺してしまえるほど鋭い目付きでただただ目標を狙う。その殺気を感知してエルフの者達も気を引き締めて守りを固める。そして、半蔵がここに戦力が固まっていることを確認すると煙弾を放つためその手を上に掲げる。その煙弾は、周りに待機している忍たちへの突撃の合図となるものだった。そこでハルトが止めにかかる。
「なぜ!今がチャンスだ。むしろ今行かなくてどうする。」
「お願いだ…頼む今だけは言うことを聞いてくれ。じゃないと俺はお前までも切らなければならない…」
ハルトが、あまりに必死に止めに来るので半蔵はその手を一瞬止めて辺りを見渡した。するとタリアの後方にぐったりとくくりつけられているリリィ達の姿があった。二人の着ている服は土で汚れ、よほど雑な扱いを受けてきていたことが分かる。
「もしかして、あれが…」
「そうだ…だから頼む…一瞬でいいその手を下ろしてくれ。」
しかし、ハルトの必死の頼みも無駄だった。忍の者とエルフの者の数名が飛び道具で攻撃を開始した。
疾風の声に雄叫びが返ってくる。全ては、秘宝を取り戻すために…
「あなた方に迷惑や、手間をかけさせてしまっていることは承知しています。ですがどうかこの国を守るために手を貸してください。」
タリアの謙虚な言葉に、不安を吹き飛ばすかのような雄叫びが聞こえた。
そのなかで、全ての平和を願い仕掛けるものたちもまた静かに闘志を燃やし、冷静に頭を回していた。
ハルト達は、馬でシルヴァヌスが見える所まで駆けていった。
「馬はここで置いていく。」
半蔵が、皆に指示を出す。忍の者共は、何も言わずに指示に従い馬から降りた。しかし、ハルトと蓮は馬から降りる事を少しためらっていた。
「相手には、植物を操るものがいる。そいつに罠でも張られてたりしたら馬では反応出来ないからだ。」
疾風の言葉で二人は、納得し馬から降りて草原を駆け抜ける。すると案の定、植物を使った罠が張られていた。もちろん、ハルト達は想定済みでは、あったのだがこの反応の方が自然だろうと少し芝居をうった。
「タリア様!やつらが見えました!南の方角に約50人馬から降りて罠を掻い潜りながら走り抜けてきます。」
視察台から、警戒の鐘がなる。
「全兵士に告ぐ。敵は南からやって来た。南の守りを固めつつ他方の警戒にあたれ!」
「こいつらは、どうしましょう。準備しますか?」
視察の兵士が、アルビオン達を連れてきていった。
「ルナに任せる。」
タリアは状況の確認のため視察台へと足を運んだ。
「とりあえず磔にしましょう。」
ルナは、二人を連れていき十字架に組まれた木にくくりつけた。
「攻撃はいざとなったら全部防ぐので安心してください。」
少し不安そうに、うつむくリリィにルナは優しい言葉をかけた。
そして、ようやく衝突のときは迎える。
「やつらが見えた。武器を構えろ!身を隠せ!相手の背後から襲え!」
半蔵が、開戦の合図を上げた。その時、疾風は一番前で腕を横に伸ばした。それに従い、忍達は武器を下ろし立ち止まった。
「汝らは何をしに、この神聖な森へと足を踏み入れる。」
タリアは、忍達に問う。忍達は、怒りをあらわにして答えた。
「秘宝を盗んでおいて、その反応はなんだ!我らがどんな思いで来たか分かっているくせに!この布陣だってそうだ!あの秘宝があれば簡単に俺たちの襲撃など予測できる。」
その感情をのせた声はタリアには届かない。
「そんなものは知らない。我々は、我々が守るべき土地を守ろうと戦うのみ。決して他国に侵略などしない。我らが武器をとるのは自らを守るときだけだ。」
タリアは、厳かな表情を変えずに答えた。そんな中で、エルフのある兵士が反論する。
「お前らこそ、我らの智宝を使いここに来たのではないのか!タリア様は、智宝が盗まれた時を目撃したと言った。それだけでなく俺たちの仲間殺して…人の命を奪ってまで盗んだものはさぞいいものだろう。今だってそれを使い巧妙な作戦を展開しているに違いない。しかし、我々はそんなものには負けない!我らが、頼みにしていた希望が、相手に渡ったぐらいで我々が負けるものか。」
そこからは、しばらく子供の喧嘩とも言えるような交渉が続いた。ここで攻撃が怒らなかった事は、それぞれのトップの技量によるものだろう。かなり時間が過ぎた。しかし、その状況が永遠に続くわけでもなく遂に忍の者達が、武器を構え、その目はじっとエルフ陣営を見つめていた。それこそ目線で人を殺してしまえるほど鋭い目付きでただただ目標を狙う。その殺気を感知してエルフの者達も気を引き締めて守りを固める。そして、半蔵がここに戦力が固まっていることを確認すると煙弾を放つためその手を上に掲げる。その煙弾は、周りに待機している忍たちへの突撃の合図となるものだった。そこでハルトが止めにかかる。
「なぜ!今がチャンスだ。むしろ今行かなくてどうする。」
「お願いだ…頼む今だけは言うことを聞いてくれ。じゃないと俺はお前までも切らなければならない…」
ハルトが、あまりに必死に止めに来るので半蔵はその手を一瞬止めて辺りを見渡した。するとタリアの後方にぐったりとくくりつけられているリリィ達の姿があった。二人の着ている服は土で汚れ、よほど雑な扱いを受けてきていたことが分かる。
「もしかして、あれが…」
「そうだ…だから頼む…一瞬でいいその手を下ろしてくれ。」
しかし、ハルトの必死の頼みも無駄だった。忍の者とエルフの者の数名が飛び道具で攻撃を開始した。
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