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5章~エルフVS忍~
森の守護者の解放
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一晩空けてようやくハルトが目を覚ました。半蔵は、ハルトにいろいろな事を聞いていた。
「何をされたか覚えているか?何でもいい。話せることを話してくれ。」
すると最初はすらすらと言葉を並べて話していたのだが、第一波を退けた直後から記憶が曖昧になっていた。
「もしかしたらその時点から何かの術にかけられてたのかもしれない。」
半蔵はそういって、ハルトが戦闘中に辿ったであろう道のりに沿ってあの場所へ案内した。
「これは?こんな敵が来て大丈夫だったのか?誰か怪我をしているんじゃないか?」
ハルトは、真剣にその他の人の安否を気にした。その様子はひどく乱れていて心の焦りや不安が伝わってきた。
「安心しろとは言えないが、被害者はお前だけだ。しかも、こんなにも被害の爪痕が残るにも関わらず、ハルトに外傷はなかった。その代わり内臓はズタボロだったみたいだけどな。」
ハルトは、まるで見に覚えがないと言った。ここで戦ったことどころかここに来たことさえないと言った。アルビオンの目から見てもそれは真実であった。
「まあ、無事だったんならいいんじゃない?」
蓮はのんきに考えるのを放棄した。ハルトも笑いながらそのようにした。
「そういえば、ハルトたちはどうするんだ?」
「これからはまた、どこかにいくと思うよ。」
ハルトは、次への出発の意図を伝えた。この先どこに行くのかや、これまでの旅はどんなものだったのかなどを話ながらシルヴァヌスへ戻った。
「どこかに行くんだ。」
それを密かに聞いていたルナは自分の部屋へと駆け込んだ。ルナの部屋には沢山の写真が飾られていた。その写真はどれもシルヴァヌスにいるだけでは体験出来ない光景ばかりだった。石で出来た建物やその町並、海や火山どれもシルヴァヌスから旅立ってようやく目に出来るものだ。ルナは、旅をすることに憧れていた。しかし、ルナの周りの環境がそれを許さなかった。ルナは、生まれた時から守護者として育てられたのだ。タリアの前の代の王にその潜在能力を買われ、ルナの行く末を決めてしまったのだ。ルナ自体それを恨んだりはしていない。実際に大好きな人々を守るという実感があることはルナにとって喜びでもあった。しかし、一度守護者として機能を果たし、その機能が認められたときシルヴァヌスの防衛は、ルナ一人に頼るようになってしまった。ルナにはそれでも外部からの敵を退ける力があったのだ。最初のうちは、ルナも喜んで防衛の任務についた。自分が出来ることなら何でもしてやりたいと思ったのだろう。しかしその親切心が他のエルフの怠惰を招いた。しだいに、防衛任務への危機感は薄れやがて来ないものも現れた。それでもシルヴァヌスは平和でいられるから。こうして、ルナは守護者として称えられた。しかし、防衛の任務に明け暮れる中、ルナに1つの考えが染み付いた。私は囚われていると。いつか旅をして自由に行動したいと、そう思うのは幼い頃から1つの仕事に縛り付けられていた少女にとって驚くべき事ではなかったのだ。防衛の任務が嫌だった訳ではない。防衛の任務をサボる者を責めようとも思わない。しかし、ただ一度だけでも自由な時間が欲しいと思ったのだ。
コンコン
「誰?」
ルナの元に誰かがやって来た。ルナが扉を開けるとそこにはタリアが立っていた。タリアは、ルナの気持ちに気づいていたのだ。今までも、少しでもルナに自由な時間を作ってやろうと働きかけていた。本来防衛の任務につくものに、ルナと変わってくれないかと頼んだりもした。しかし、あまりにルナが功績を上げたせいもあって、皆がルナの事を過大にとらえていたのだ。もはや読書の片手間に出来ると思われる程に。その認識が、交代してあげようという気持ちどころか考えすらも奪ってしまっていたのだ。タリアがそのように働きかけても、常に『あいつよりも他のやつを手伝った方がいいでしょう』というのであった。別に彼らが悪い訳ではない。だからこそタリアは、心が痛んでいた。
「もう、ルナには頼らない。自由にしなさい。」
タリアは、ルナに優しく言った。
「別に私は自由よ。」
「私の前で嘘をつくとは余程図星なの?気づいていないわけがないじゃない。彼らは明日までには旅立つそうよ。あなたも着いていったら。」
タリアは、これを機にルナには旅をしてもらおうと考えていた。朧と国を共にした今守護者の存在が必須ではなくなったからだ。
「いいよ、私はこの生活に満足してるし私がいなくなったらそれこそ国はどうするのよ。誰も守れる人がいないわ。」
「それなら忍の方たちがいる。あなたは人の事を心配し過ぎ、少しは自分の事を考えなさい。」
ルナは、その言葉を聞いて涙を流した。余程嬉しかったのだろう。ルナはタリアにしがみついた。
そして、ハルトたちが旅立つとき、ルナはハルトに頼んだ。
「私を連れていって!」
ハルトは、少し驚いた。
「私からもお願いしたい。」
タリアまでも頭を下げた。
「何モタモタしてんの早く来いよ。」
いつまでも頭を下げているルナを呼んだのは連だった。当然、他の3人もルナと旅をすることには大賛成だ。
「ほら、挨拶ぐらいしとけよ。」
「皆ありがとう!私はこれから世界を見てくるから!楽しんでくる!」
皆は笑顔で5人を見送った。
「何をされたか覚えているか?何でもいい。話せることを話してくれ。」
すると最初はすらすらと言葉を並べて話していたのだが、第一波を退けた直後から記憶が曖昧になっていた。
「もしかしたらその時点から何かの術にかけられてたのかもしれない。」
半蔵はそういって、ハルトが戦闘中に辿ったであろう道のりに沿ってあの場所へ案内した。
「これは?こんな敵が来て大丈夫だったのか?誰か怪我をしているんじゃないか?」
ハルトは、真剣にその他の人の安否を気にした。その様子はひどく乱れていて心の焦りや不安が伝わってきた。
「安心しろとは言えないが、被害者はお前だけだ。しかも、こんなにも被害の爪痕が残るにも関わらず、ハルトに外傷はなかった。その代わり内臓はズタボロだったみたいだけどな。」
ハルトは、まるで見に覚えがないと言った。ここで戦ったことどころかここに来たことさえないと言った。アルビオンの目から見てもそれは真実であった。
「まあ、無事だったんならいいんじゃない?」
蓮はのんきに考えるのを放棄した。ハルトも笑いながらそのようにした。
「そういえば、ハルトたちはどうするんだ?」
「これからはまた、どこかにいくと思うよ。」
ハルトは、次への出発の意図を伝えた。この先どこに行くのかや、これまでの旅はどんなものだったのかなどを話ながらシルヴァヌスへ戻った。
「どこかに行くんだ。」
それを密かに聞いていたルナは自分の部屋へと駆け込んだ。ルナの部屋には沢山の写真が飾られていた。その写真はどれもシルヴァヌスにいるだけでは体験出来ない光景ばかりだった。石で出来た建物やその町並、海や火山どれもシルヴァヌスから旅立ってようやく目に出来るものだ。ルナは、旅をすることに憧れていた。しかし、ルナの周りの環境がそれを許さなかった。ルナは、生まれた時から守護者として育てられたのだ。タリアの前の代の王にその潜在能力を買われ、ルナの行く末を決めてしまったのだ。ルナ自体それを恨んだりはしていない。実際に大好きな人々を守るという実感があることはルナにとって喜びでもあった。しかし、一度守護者として機能を果たし、その機能が認められたときシルヴァヌスの防衛は、ルナ一人に頼るようになってしまった。ルナにはそれでも外部からの敵を退ける力があったのだ。最初のうちは、ルナも喜んで防衛の任務についた。自分が出来ることなら何でもしてやりたいと思ったのだろう。しかしその親切心が他のエルフの怠惰を招いた。しだいに、防衛任務への危機感は薄れやがて来ないものも現れた。それでもシルヴァヌスは平和でいられるから。こうして、ルナは守護者として称えられた。しかし、防衛の任務に明け暮れる中、ルナに1つの考えが染み付いた。私は囚われていると。いつか旅をして自由に行動したいと、そう思うのは幼い頃から1つの仕事に縛り付けられていた少女にとって驚くべき事ではなかったのだ。防衛の任務が嫌だった訳ではない。防衛の任務をサボる者を責めようとも思わない。しかし、ただ一度だけでも自由な時間が欲しいと思ったのだ。
コンコン
「誰?」
ルナの元に誰かがやって来た。ルナが扉を開けるとそこにはタリアが立っていた。タリアは、ルナの気持ちに気づいていたのだ。今までも、少しでもルナに自由な時間を作ってやろうと働きかけていた。本来防衛の任務につくものに、ルナと変わってくれないかと頼んだりもした。しかし、あまりにルナが功績を上げたせいもあって、皆がルナの事を過大にとらえていたのだ。もはや読書の片手間に出来ると思われる程に。その認識が、交代してあげようという気持ちどころか考えすらも奪ってしまっていたのだ。タリアがそのように働きかけても、常に『あいつよりも他のやつを手伝った方がいいでしょう』というのであった。別に彼らが悪い訳ではない。だからこそタリアは、心が痛んでいた。
「もう、ルナには頼らない。自由にしなさい。」
タリアは、ルナに優しく言った。
「別に私は自由よ。」
「私の前で嘘をつくとは余程図星なの?気づいていないわけがないじゃない。彼らは明日までには旅立つそうよ。あなたも着いていったら。」
タリアは、これを機にルナには旅をしてもらおうと考えていた。朧と国を共にした今守護者の存在が必須ではなくなったからだ。
「いいよ、私はこの生活に満足してるし私がいなくなったらそれこそ国はどうするのよ。誰も守れる人がいないわ。」
「それなら忍の方たちがいる。あなたは人の事を心配し過ぎ、少しは自分の事を考えなさい。」
ルナは、その言葉を聞いて涙を流した。余程嬉しかったのだろう。ルナはタリアにしがみついた。
そして、ハルトたちが旅立つとき、ルナはハルトに頼んだ。
「私を連れていって!」
ハルトは、少し驚いた。
「私からもお願いしたい。」
タリアまでも頭を下げた。
「何モタモタしてんの早く来いよ。」
いつまでも頭を下げているルナを呼んだのは連だった。当然、他の3人もルナと旅をすることには大賛成だ。
「ほら、挨拶ぐらいしとけよ。」
「皆ありがとう!私はこれから世界を見てくるから!楽しんでくる!」
皆は笑顔で5人を見送った。
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