クロスフューチャー

柊彩 藍

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3章~最強の剣士現れる?!~

蓮の過去

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     しばらく歩くとそこには、とても広い屋敷があった。
 「着いたよ。ここが僕の家だよ。さ、遠慮せずにどうぞ。」
 「…………」ある程度は想像していたが想像していたものよりも大きな屋敷が目の前に出てきたので言葉が出てこなかった。
 「ご、ご、ごめんね。遠慮しないでとか言っても遠慮しちゃうよね。それとも警戒してる?急に落とし穴とかないから安心して歩けるよ!」迅之介は何かとても慌てていて言っていることが変だ。
 「ぷっ…ははははは」あまりにもおかしかったので思わず笑ってしまった。
 「何かおかしかったかな。変なとこあったら言ってね。僕は、街を歩くといろんな人にじろじろ見られるから、変なところがあるんだと思うけど…自分では、分からないんだ。」(じろじろ見られてるんじゃなくて、尊敬の眼差しとかそんなのだと思うけどなぁ。)
 「ごめんごめんそうじゃない。ただすごかったから言葉が出てこなかっただけなのに、いきなり落とし穴がどうとか言い出して、そんな家絶対ないじゃん」
 「気に入らなかった訳ではないってこと?」
 「当たり前だろ。と言うか俺たちが場違い過ぎて呼ばれていいのかわからないくらいだから」(ホントに俺らがいるべき場所じゃない気がする。)
 「そんなことないよ。こんなのただの飾りでしかない。それに兄さんのこと聞いてきたから、話をしないとって思って。」
 「兄さん?」
 「え?一条蓮を知っているんでしょ?」
 「そうだよ」
 「それ、僕の兄なんだ。」
 「マジか!?全然似てないなぁ。主に性格。まあ、迅の方が断然しっかりはしてるけど…」
 「そんな事ないよ。僕なんて兄さんの足元にも及ばない。」
 「でもなんで蓮のこと話してくれるようになったんだ?」
 「誰かに兄さんのこと聞かれたら包み隠さず話そうって決めてたから」
 「あーそうか、ありがとな」
 「じゃあ客間に案内するからついてきて」
 「おう!おーい、リリィ、アル、そんなに離れてないでいくぞー」少し離れて歩いているリリィと、アルビオンに声をかけた。
 「リリィ、俺は今ハルトが恐ろしいんだけど」
 「私もです。ハル君絶対わかってないですよね。」
 「そうだよな。ハルトがしゃべっている相手がこの国でかなりの偉い人だってこと。」
 「いや、案外分かってるのかもしれないですよ」
 「相手がどんな偉い人か聞いてもあんなにガツガツいけるとか、考えられない」
 「ハル君に怖いものなんてあるんですかね?」
 「それは、あると思うけど…」アルはリリィの顔をじっと見つめた。
 「アル君どうしたんですか?」こっちはこっちで怖いと思ったアルビオンであった。
 「おーい、行くぞ~」
 「分かりましたよ。」リリィはため息をつきながら足を進める。
 
 迅之介につれてかれて、一つの部屋へと案内された。
 「それでまず聞きたいんだけど」
 「何でも聞いてくれ俺から言えることなんてほとんどないけどな」
 「名前教えてくれないかな」
 「………?」
 「あ、嫌だったらいいよ。でもあのそれじゃしゃべりにくいかなって…」
 「そんなに改まってきくことじゃないだろ。俺はハルト・グレンフェル、こっちはリリィで、こっちはアルビオン・ラッセル。宜しくな迅。」
 「あぁ、よろしく。その迅って僕が迅之介だって分かってて愛称として呼んでくれてるんだよね。何かそういうの嬉しいな。稽古ばっかりで友達とかあまりいなかったから。」
 「迅之介だったのか?!」
 「え?」3人とも驚いて、少しの間固まっていた。
 「ハル君話聞いてなかったんですか?」
 「話?なんのことだ?」
 「リリィもう、ハルトはこういうやつだから仕方がない」アルビオンはもういろいろと、諦めているみたいだ。
 「まあ、迅は迅でいいじゃん」
 「何か兄さんを思い出すよ。」
 「そうだ、蓮について教えてくれ!」
 「その前に一ついいかな。」また、改まって迅之介が聞いてきた。
 「なんだ?またか、もう、名前とかきくなよ?」
 「違うよ!兄さんとは、どこであったのかを知りたいだけ。この国にはもう…いないから。」
 「草原。というかこの国にいないってどういうことだよ!」
 「ちょっと待って順番に言うから。草原てどこにいる全然わからないな。」
 「うん、俺も分からん。」
 「あれ、でも琥珀まで蓮さんに案内してもらったんじゃなかったっけ?」リリィがふと思い出したように言った。
 「そうだよ」
 「ホントにじゃあこの国のどこかに!」迅之介の顔が急に明るくなった。
 「それはないかな、琥珀の近くまでは案内してくれたけど、琥珀の近くに来たらどっかいってしまったから。」
 「そうか…そうだよね」顔の光に影が射したようだった。
 「何でなんだ?」
 「じゃあ少し長くなるけど聞いてくれるかな」
 「おう」
 「一条蓮は僕の兄さんで、次期トップになるべき人だったんだ。僕らは一条家の主になるためにいろんな教育を受けてきたんだ。座学、剣術、政治、琥珀の歴史、魔物の整体、竜の種類など、まあ、本当に沢山の事をやらされたよ。僕は、ただ真面目に受けるだったんだけど、兄さんは違った。
 …「おい、もっとしっかり姿勢を正さんか!」
 「でも、このほーがやり易いよ。」蓮は父親に言い返した。
 「そんなに型から外れた方法で戦える訳がないだろ!」父親は歴史とか今までの成功例とか過去に重きを置く人だったから、型にはまらない兄さんのような自由な才能は気に入らなかったんだと思う。
 「意外といけるんだってこれが。」それでも兄さんは引かなかった。
 「それなら、迅之介にそれで勝ってみせろ、勝てたらその型を認めてやろう、しかし、負ければ正しい型をおぼえてもらう!勝負は三本勝負。まあ、型が、しっかりしとる迅之介に蓮が勝てるわけがないけどな。」
 「いったな!」兄さんニッと笑った。
 「兄さん無理だよ。そんなんでまともに戦えないよ。」僕も頭が固いのもあって、それで勝てるとは思いもしなかった。
 「それでは始め!」
 
 結果は僕の三勝で、圧勝だった。どの試合もすぐに勝負がついた。こんなに簡単に負けて、ましてや弟に負けるなんて、僕ならもう、剣を握りたくなくなるよ。たとえそれが、自業自得であったとしても。けど、兄さんは全く違った。次の日も平然と剣を振っていた。その兄さん独特の型も変えずに。
 「蓮!勝負に負けたら、型を戻す約束だっただろ!はやく戻せ!じゃないと、この先一度も迅之介に勝てないぞ!兄貴としてはずかしくないのか!」父親は精一杯兄さんに型に当てはめようとしていた。
 「できが、いい弟で、嬉しいじゃないか。それに一度も勝てないなんて事はあり得ない。俺がそう決めたから!」そう言いきった、兄さんは僕にはカッコよくみえたんだ。
 「もう、好きにせい。」あまりにしつこく反抗してくるので、兄さんに期待するのを諦めたのだろう。この先、素晴らしい剣豪が誕生するとも知らずに…
 
 「次の主は迅之介様できまりね。」
 「そうね。蓮様ったらろくに座学も受けられないらしいですよ。」
 「あらま、なんて子。そんな子一条家の恥だわ」
 そんな声が聞こえてくるのも珍しくなかった。」
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