俺はゲームのモブなはずだが?

レラン

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閑話 side喜三久 虎國

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「てか、早く下ろせよ!いい加減吐きそうなんだよ!」

 鷹雅たかまさ七夏弥ななひさに言われて連れてきたのは、不思議な新入生だった。
 灰色よりの黒の髪は多分染めているのだろう。瞳は琥珀と青紫の色。世にゆうオッドアイだ。
 綺麗だ。
 見た瞬間にそう感じた。
 でも、すぐにその考えは頭の隅においやった。髪を黒染めしているところ、この新入生は自分の容姿が嫌いなようだし、ズボンを履いているから男子生徒だ。男子に「綺麗」は失礼だろう。

「ひゃ!」

 突然かわいゴホゴホ‥‥男子生徒が裏声を出したので、驚き男子生徒を見ると、鷹雅が男子生徒のおでこを触っていた。

「‥‥‥‥熱は無いな」

「あ、はい。いたって健康体です」

 驚いた。
 鷹雅が初めて会った男子生徒を心配そうにしているのもだが、普通、俺達生徒会役員に触られた生徒は男女方わずに、キャーキャー騒ぐか顔を真っ赤にさせ固まってしまうかだ。
 でも、目の前にいる男子生徒はどちらとも違い、眉を少しも動かさずに言葉を発した。

「昼にさ、屋上に来てよ!それだけ!じゃあね~!ぷくくく」

 その後。七夏弥の気まぐれから男子生徒と昼は一緒に屋上でとることになった。

「七夏弥!さっきのはなんだ!」

「何が~?」

 教室に向かう最中は、新入生や在校生がまだ廊下にいる中を進む。そのほとんどが顔を赤く染めてこちらを好奇の目見てくる。
 別に嬉しい訳でもない。逆に鬱陶しく感じる時の方が多いこの視線を適当にあしらいつつ、俺達は会話を続ける。

「さっき新入生のことだ」
 
「ああ~!可愛かったよね~あの子。鷹雅もそう思うでしょ?」

「‥‥‥」[コクコク]

 無言で頷いた鷹雅の顔は、これまで一緒にいたのにあまり見た事のない表情だった。

「ほら!鷹雅もこう言ってるしいいでしょ?」

 鷹雅が否定しなかったのをいいことに、七夏弥は俺に同意を求めてくる。

「はぁー。もう勝手にしろ」

「やったー!」

 喜ぶ七夏弥は、第三者から見たら無邪気に笑う子供だが、本性を知っている俺からすれば、鳥肌が立ちそうなほど寒気がする。

☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆

「うう~」

 今は昼の時間帯。
 いつもは屋上で生徒会メンバーだけの昼をとるが、今日は今朝の新入生・稜驊いつか君とその従兄弟の新入生・白蓮びゃくれん君が一緒だ。
 だが七夏弥が、昼を持ってきていないという2人に修也達の弁当を渡したせいで、稜驊君は頭痛をおこし寝込んでしまった。

「大丈夫ですか?」

 頭痛でうなされているのに、眉一つ動かさないと稜驊君の表情筋を不思議に思いつつ、俺は声をかけた。

「大丈夫です。さっきより落ち着きましたから」

 起き上がってそう言った稜驊君と目が合った。

 「そうですか‥‥今日は私の家の車で送ります」

「え、いいんですか?」

「はい。車が来たら起こしますから、まだ寝てていいですよ」

 稜驊君の目は綺麗だ。顔も整っている。そのせいで、目が合っただげで俺は何やら不整脈をおこしてしまう。
 それを必死に押し殺し、稜驊君にバレないようにして会話をする。

「っ!?」

 稜驊君がまた寝転がると、鷹雅が瞬時に動いて稜驊君の膝枕をした。
 初めて膝枕なるものを見た俺は、そんなことよりも鷹雅の俊敏性と不可解な行動に頭がパンクしそうだった。

「「‥‥‥‥‥」」

 無言で見つめ合う2人。稜驊君がもし女性なら、この光景はとても恋人らしい光景だったかもしれないが、幸いなことに稜驊君は男性だ。どうやってもそうは見えない。
 ‥‥‥『?』何を考えてるんだ!俺は!
 頭を振って今考えたものを追い払ってから、2人に目線を戻す。
 すると、既に稜驊君は眠り始めており、鷹雅は本を読み始めていた。
 ‥‥‥‥‥何やってるんだ。
 俺は考えることを放棄して、生徒会用の書類に目を通す。
 しばらくすると、迎えの車が来た。

「‥‥稜驊君?車が来ましたよ?」

 鷹雅に膝枕をされている稜驊君を起こそうと、俺は声をかけた。
 だが、稜驊君は全く起きそうにない。しかも、気持ちよさそうに寝息を立てている始末だ。

「仕方ありませんね‥‥‥僕が運びます」

 普通、こういう時は鷹雅が運ぶのだが、鷹雅も眠そうな顔をしており、それに加えて体制がキツそうだ。
 俺も鷹雅程ではないが、力には自信があるし、筋トレもしているから男子生徒1人、屋上から車まで運ぶのは容易いことだ。

「よいしょっと‥‥‥軽いですね」

 俺は稜驊君を抱き上げた。
 稜驊君は予想以上に軽く、本当にご飯を3食キチンと食べているか心配になるぐらいだった。

「ん」

「っ!」

 稜驊君がモゾっと動いた瞬間、稜驊君の髪が俺の首をくすぐった。それと同時にフワッと香ってきたのは、とても甘くいい香りだった。
 いやいやいや。しっかりしろ俺!
 頭を振って頭にある邪念を追い出す。

「ん~ん」

「っ」

 一瞬起きたのかとも思ったが、変わらず気持ちよさそうな寝息が聞こえているから、ただの寝相だろう。

「はぁー」

 深くため息をひとつついてから、俺はまた足を動かした。
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