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4時間目開始のチャイムが鳴り、それを無視して廊下を進む俺と虎國。
既に1からと言うより朝からサボっている俺は、さすがに気持ち的に授業に出たい。
「俺、実は朝から出てないんです」
「そうですか」
「俺、入学して2日目なんですよ」
「そうですか」
「初日と言っても過言ではないこの中で、これ以上サボるのは如何なものかと」
「そうですか」
‥‥‥ダメだこれ。
俺は早々に諦めることにして、素直に虎國に引っ張られる事に決めた。
しばらくして着いたのは、生徒指導室と書かれたプレートがある部屋だった。
虎國はポケットから『今までどこにしまってたんだ』と言うほどの鍵の束を取り出し、その中の一本で鍵を開けた。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
中に入ると、いわゆる人をダメにするソファーと本来は資料などが入っている棚(何も入ってない)。それに長机が2個あって、上にはノートパソコンなど色々置いてある。
あとから入ってきた虎國は、何個かあるソファーの中の青色のものに座り、横に緑色のを引き寄せ、自身は部屋にあったノートパソコンで何やら仕事を始めた。
「‥‥」
とりあえず俺は虎國の隣の緑のソファーに座ってみる。
カタカタ‥タン‥カタカタ‥タン
虎國が打つキーボードの音がしばらく響く。
先に口を開いたのは虎國だった。
「‥‥先程の事ですが」
そこで話すのを辞めてしまった虎國。
しょうがないので俺も話す。
「さっきって‥‥メールのことですか?」
俺がそう言うと、虎國は静かに首を横に振った。
え、だったらなんだよ。
「いえ、そうではなく。先程の‥‥‥あれです」
パソコンを打っていた手が止まり、こちらをチラチラと「分かってくれ」と言わんばかりに見てくる虎國。
いや、分かるわけねーだろ。俺は超能力者じゃねーっての。言葉で言われないとわかんねーよ。
「あれ‥‥とは?」
「‥‥‥あれ‥‥です」
えー。わかんねー。
「すみません。あれじゃ、俺わかりません。なんですか?あれって」
「‥‥‥あれは‥‥あれですよ」
虎國は「あれ」がなんなのか説明する気がないのか、頑として教えてくれない。
うん。埒が明かない。このままじゃ平行線のまま終わっちまう。
恐らくだが、「あれ」について話をするためにここに俺を連れてきたんだろうが、当の俺が「あれ」なるものを知らない以上、話が先に進まない。
「「‥‥‥‥」」
ただただ長い沈黙が訪れる。
俺は虎國を見ているのだが、虎國は俺の方をチラッと見たと思うと、直ぐにパソコンの方に目を戻すので、睨み合ってはいない。
が、沈黙だ。
「[ガラッ]‥‥‥何をしているんだ?」
そんな沈黙を破ったのは、第三者の修也だった。
「犬童川会長。こんにちは」
「チッ‥邪魔が入ったか」[ボソッ]
とりあえず修也は先輩のため挨拶をしておく。すると同タイミングで隣から何やらボソッと聞こえたが上手く聞き取れず、舌打ちしたことだけはわかった。
「お前達。今は授業中だぞ?ここで何をしている」
いや、それは修也も同じことだろ。
「いや、それは修也も同じことだろ」
俺が思った事を、同時に虎國が修也に言ってくれた。
俺は後輩のため言えない言葉だが、同学年で生徒会会計係の虎國は、気兼ねなく修也と話せる。
ナイスツッコミだ虎國。
心の中だけで虎國にグッジョブを向ける。
「あぁ?俺か?俺はサボりだ」
おいおい。こいつ堂々とサボりだって言ったぞ。
俺は変化のない表情にお礼を言いながら、怪訝な表情をする。
「修也。それは堂々と言うことではない」
「まぁいいじゃねーか。小言は勘弁だぜ」
そう言って、修也は扉を閉めてこちらに近づいてくる。
ふと、外から白蓮の声が聞こえてきた。
そっか。外での体育だったのか。何の競技やってるんだ?
俺は立ち上がって窓からグラウンドを見下ろした。
グラウンドではサッカーコートで生徒達がボールを蹴っている。白蓮は案外早く見つかった。キーパーをやっていたのだ。
指をさして指示をしていることから、指揮官的な何かをしているのだと思うが、ボールが自分の方に来たらものすごく慌てている。
あんなで大丈夫なのか?
「ん?なんだ。昨日お前といたやつじゃねーか」
「‥‥犬童川会長。脅かさないでください」
後ろからぬっと顔を出してきた修也を睨みながらそう言うと、苦笑いが帰ってきた。
「驚いたというんならもっと表情帰ろよ。全然変わってないぞ?」
マジか。これでも睨んでいるつもりなのだが、俺の顔は全くもって変わっていなかったらしい。睨むことも出来ないのか。この顔は。
少し悲しくなる気持ちを押し込めて、俺は白蓮の姿に目を戻した。
すると、白蓮がいきなりこちらを向いて笑って手を振ってきた。でも、次の瞬間。
「「あ」」
白蓮の横顔に見事ボールが突撃した。
それはもう「見事」の一言。スローモーションで見たら、アニメのような感じになっていたのではないかと思う程だ。
白蓮は自分がよそ見していたせいだと言うのに、ボールを蹴った生徒に向かって何かを叫んでいる。
「はぁー‥‥」
本当にあいつは何を考えてるんだか。
「「えっ」」
白蓮を見ていると、横と後ろから驚きの声が聞こえてきた。
何かあったのかと振り向けば、虎國と修也が顔を間抜けな感じにして俺を見ていた。そして、何か目に入ったのか、目を擦ってからまた俺を見る。
‥‥‥なんだよ。
「あの先輩方。俺の顔に何かついてますか?」
「あ、いや」
「何も‥‥ついてないです」
惚け顔を続けつつ、ちゃんと返事はしてくれるあたり、保健室とかには行かないで大丈夫そうだ。
「「夢?いや、でも」」[ボソッ]
何かシンクロをして呟き始めた2人をほおって置いて、俺は白蓮の体育を観察し続けた。
既に1からと言うより朝からサボっている俺は、さすがに気持ち的に授業に出たい。
「俺、実は朝から出てないんです」
「そうですか」
「俺、入学して2日目なんですよ」
「そうですか」
「初日と言っても過言ではないこの中で、これ以上サボるのは如何なものかと」
「そうですか」
‥‥‥ダメだこれ。
俺は早々に諦めることにして、素直に虎國に引っ張られる事に決めた。
しばらくして着いたのは、生徒指導室と書かれたプレートがある部屋だった。
虎國はポケットから『今までどこにしまってたんだ』と言うほどの鍵の束を取り出し、その中の一本で鍵を開けた。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
中に入ると、いわゆる人をダメにするソファーと本来は資料などが入っている棚(何も入ってない)。それに長机が2個あって、上にはノートパソコンなど色々置いてある。
あとから入ってきた虎國は、何個かあるソファーの中の青色のものに座り、横に緑色のを引き寄せ、自身は部屋にあったノートパソコンで何やら仕事を始めた。
「‥‥」
とりあえず俺は虎國の隣の緑のソファーに座ってみる。
カタカタ‥タン‥カタカタ‥タン
虎國が打つキーボードの音がしばらく響く。
先に口を開いたのは虎國だった。
「‥‥先程の事ですが」
そこで話すのを辞めてしまった虎國。
しょうがないので俺も話す。
「さっきって‥‥メールのことですか?」
俺がそう言うと、虎國は静かに首を横に振った。
え、だったらなんだよ。
「いえ、そうではなく。先程の‥‥‥あれです」
パソコンを打っていた手が止まり、こちらをチラチラと「分かってくれ」と言わんばかりに見てくる虎國。
いや、分かるわけねーだろ。俺は超能力者じゃねーっての。言葉で言われないとわかんねーよ。
「あれ‥‥とは?」
「‥‥‥あれ‥‥です」
えー。わかんねー。
「すみません。あれじゃ、俺わかりません。なんですか?あれって」
「‥‥‥あれは‥‥あれですよ」
虎國は「あれ」がなんなのか説明する気がないのか、頑として教えてくれない。
うん。埒が明かない。このままじゃ平行線のまま終わっちまう。
恐らくだが、「あれ」について話をするためにここに俺を連れてきたんだろうが、当の俺が「あれ」なるものを知らない以上、話が先に進まない。
「「‥‥‥‥」」
ただただ長い沈黙が訪れる。
俺は虎國を見ているのだが、虎國は俺の方をチラッと見たと思うと、直ぐにパソコンの方に目を戻すので、睨み合ってはいない。
が、沈黙だ。
「[ガラッ]‥‥‥何をしているんだ?」
そんな沈黙を破ったのは、第三者の修也だった。
「犬童川会長。こんにちは」
「チッ‥邪魔が入ったか」[ボソッ]
とりあえず修也は先輩のため挨拶をしておく。すると同タイミングで隣から何やらボソッと聞こえたが上手く聞き取れず、舌打ちしたことだけはわかった。
「お前達。今は授業中だぞ?ここで何をしている」
いや、それは修也も同じことだろ。
「いや、それは修也も同じことだろ」
俺が思った事を、同時に虎國が修也に言ってくれた。
俺は後輩のため言えない言葉だが、同学年で生徒会会計係の虎國は、気兼ねなく修也と話せる。
ナイスツッコミだ虎國。
心の中だけで虎國にグッジョブを向ける。
「あぁ?俺か?俺はサボりだ」
おいおい。こいつ堂々とサボりだって言ったぞ。
俺は変化のない表情にお礼を言いながら、怪訝な表情をする。
「修也。それは堂々と言うことではない」
「まぁいいじゃねーか。小言は勘弁だぜ」
そう言って、修也は扉を閉めてこちらに近づいてくる。
ふと、外から白蓮の声が聞こえてきた。
そっか。外での体育だったのか。何の競技やってるんだ?
俺は立ち上がって窓からグラウンドを見下ろした。
グラウンドではサッカーコートで生徒達がボールを蹴っている。白蓮は案外早く見つかった。キーパーをやっていたのだ。
指をさして指示をしていることから、指揮官的な何かをしているのだと思うが、ボールが自分の方に来たらものすごく慌てている。
あんなで大丈夫なのか?
「ん?なんだ。昨日お前といたやつじゃねーか」
「‥‥犬童川会長。脅かさないでください」
後ろからぬっと顔を出してきた修也を睨みながらそう言うと、苦笑いが帰ってきた。
「驚いたというんならもっと表情帰ろよ。全然変わってないぞ?」
マジか。これでも睨んでいるつもりなのだが、俺の顔は全くもって変わっていなかったらしい。睨むことも出来ないのか。この顔は。
少し悲しくなる気持ちを押し込めて、俺は白蓮の姿に目を戻した。
すると、白蓮がいきなりこちらを向いて笑って手を振ってきた。でも、次の瞬間。
「「あ」」
白蓮の横顔に見事ボールが突撃した。
それはもう「見事」の一言。スローモーションで見たら、アニメのような感じになっていたのではないかと思う程だ。
白蓮は自分がよそ見していたせいだと言うのに、ボールを蹴った生徒に向かって何かを叫んでいる。
「はぁー‥‥」
本当にあいつは何を考えてるんだか。
「「えっ」」
白蓮を見ていると、横と後ろから驚きの声が聞こえてきた。
何かあったのかと振り向けば、虎國と修也が顔を間抜けな感じにして俺を見ていた。そして、何か目に入ったのか、目を擦ってからまた俺を見る。
‥‥‥なんだよ。
「あの先輩方。俺の顔に何かついてますか?」
「あ、いや」
「何も‥‥ついてないです」
惚け顔を続けつつ、ちゃんと返事はしてくれるあたり、保健室とかには行かないで大丈夫そうだ。
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