俺はゲームのモブなはずだが?

レラン

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「文化祭頑張るぞー!!」
「「「「おおー!!」」」」
「はあー‥おおー」

 ついに始まった文化祭。
 文化祭といえばゲームのイベントが多いものだ。
 そう。例えば‥‥‥





「こんなふうにな」
「ん?何んだぁ?てか、一緒に学校回ろうぜ?」
「クラスの手伝いとかあるんなら、その後でもいいからよぉー」
「お断りさせていただきます」

 文化祭開始1時間で不良に絡まれている俺は、もう主人公【白蓮】のイベントクラッシャーなのではないだろうか。ことごとく白蓮のイベントをクラッシュしている気がする。
 ちなみに俺の格好は、どこぞのライダーのサポート役に居そうな体の線の出た服を着ている。胸は女子が持っていたパッドなどを詰め込んでいる。

「というか、お姉さんなんでこんな格好してるの?お姉さんの出し物って女装男装喫茶なんでしょ?」
「あ、もしかしてお姉さん男装がいやで女装用の服着ちゃったとか?それはダメでしょ~」
「いや、おれ男ですから」
「「嘘だぁ~笑」」
「本当ですよ‥‥はぁー」

 俺はクラスの出し物の宣伝のために学校内を回っていた。そこで現れたのがこの不良2人組だ。あれよあれよという間に人が少ない区域へと追い詰められました。
 両方見たところ若いので、違う高校の生徒か大学生なりたてのどちらかだろう。社会的には前者の方が助かる。

「俺らの学校も今度文化祭なんだよ。そんときにはお姉さんが来てくれたら俺らとっても嬉しいな~」
「ちなみに学校は毛根高校ね?あ、どうせなら今から一緒に行っちゃう?」
「ご遠慮します。まだ仕事ありますんで」

 ご丁寧に高校名を言ってくれた不良さん達。
 というか、『毛根高校』ってなに?公式さん考えるのめんどがったな?ゲームでは高校名とか出てこなかったけど、現実だからそこはいるって言うことか?面倒くさ。

「そろそろどいてください」
「おい。こっちが下手に出てやってんのに、なんだよその態度」
「お~怖。お姉さんこいつあんまり怒らせない方がいいよ~?学校ではTOP10の中に入るほどの喧嘩の強さだからさ」

 仮に今俺の腕を掴んできたドスの効いた声を出した方を不良1とするならば、下手に出て欲しいと誰が頼んだのかと言いたい。あと、不良2の方はそう言いながら手を振るのは貴方が不良1より弱いからなのだろうか。

「‥‥‥こちらも我慢の限界なんだが?」
「「っ!」お前‥‥男かよ!」
「はぁー何度もそう言ってるだろ」

 声を低くするとやっと不良達は俺を男だと認めたらしく、俺を驚愕の表情で見つめてくる。

「じゃあ、俺当番があるんで」
「ちょ、ちょっと待て!」

 その場を去ろうとすると、すぐに不良1が俺を呼び止めてきた。
 どうせ表情筋は動かないだろうが、せめて気持ちだけでもと睨んでやると、不良1は少したじろんだ。
 俺の無表情が怖かったのか、それとも俺の不機嫌オーラを感じ取ったのか。どちらかなのか分からないが、この不良達があまり強くないことは分かった。
 だってそうだろ?素人の俺にビビるぐらいの不良が、TOP10に入るほどの実力を持っているとは考えにくい。

「さっきから調子のりやがって!」
「‥‥‥別にのってない。というか、そっちが勝手に間違えたんだろ?俺は最初から言ってたし看板にもちゃんと『女装男装喫茶』って書いてある」
「っ~////」

 顔をどんどん赤く染めていく不良1。恐らく恥ずかしさと怒りの両方があるのだろう。

「もう我慢ならねぇー!!」
「っ!」

 不良1が俺の胸ぐらを掴み空いている腕を振り上げた。
 すぐに来る痛みを予想して目を閉じ歯を食いしばったが、なかなか予想した痛みが来ず恐る恐る目を開けると、赤い髪が目に入った。



「おい。何やってんだ?女1人に手を上げるなんて‥‥‥お前らプライドねぇーのかよ」




「羊森‥幸弥」
「ひ、羊森‥‥幸弥!?な、なんでここに!」

 そう。【羊森ひつじもり 幸弥こうや
 容姿は、燃えるように赤い髪は襟足だけが伸びており、それを一つに綺麗な結紐でまとめている。目はツリ目で怖くて草原の草のような緑。
 体格は、筋肉はついているし腹筋はシックスパックだが、服を着ているとそこまで筋肉がついているようには見えない。身長は194cm。
 性格は基本的に優しいが、目や身長のせいで怖がられており絡まれることも多い。それを気にしているがどうすることも出来ず、自分のせいで子供が泣いた時のためにお菓子は常備している。
 不良&癒し担当のです。

 はい。また新しいの出てきたよ。てか、やっぱりこれはイベントだったか。
 乙女ゲームにはというものが存在する。
 略して『瞳愛』のこのゲームは、ストーリー的には主に学校が部隊なので他校とは関わらない。そのために隠し攻略対象は全攻略対象を攻略し終わったあとで現れる。
 ちなみに、前世で一番好きだったキャラだったりして。

「もう一度言う‥‥お前ら何してんだ?[ギロ]」
「っ!に、逃げろ!」

 幸弥の睨みにビビった不良達はすぐさま逃げ出した。その走りは、陸上部にいたらエースになれるレベルの速さで逃げていった。

「‥‥‥助けていただきありがとうございました」
「!?あ、ああ」

 お礼を言うと驚かれた。まぁ、当たり前といえば当たり前なのかもしれない。幸弥は初対面の人に必ずと言ってもいい程怖がられる。それは女子供ならばすぐに泣き出すレベルだ。

「お前‥‥‥怪我」
「怪我ですか?特にありません」
「‥‥‥そうか」

 もしかすると、鷹雅よりも口下手なのかもしれない。そう疑いたくなるほど幸弥は全く目も合わせずに話してくる。

「じゃあ‥‥‥気おつけろよ」
「はい。本当にありがとうございました」

 去っていく幸弥に頭を下げお礼を言った。
 幸弥に続くようにしてその場を去ったので別れたのは挨拶して少しだった頃だったが、その間会話はなかった。
 前世で好きなキャラだったので少し残念だったが、これも自分の平穏な生活のためと思うしかない。
 俺はそのまま人混みに紛れていく幸弥を見送った。

「‥‥‥ん?」

 しばらくして完全に見えなくなったと思ったら、幸弥が消えていった方からざわめきと鳴き声が聞こえてきた。

「うぇ~ん!ママ~!」
「あら。不良が子供泣かせてるわよ?」「この学校に不良が来るなんて‥‥身の程を考えて欲しいわね」
「おい。泣くな‥‥‥チッ」
「おいおい。こんな所に不良が来んなよな?」「子供泣かせるなんてさいってー」

 心配になり少し覗いてみると、幸弥が子供の前でしゃがんで頭をかいていた。
 周りの人達は幸弥が子供になにかしたと思っいるみたいだが、これはどこをどう見ても迷子の子供の相手を幸弥が見ている。
 幸弥は立ち上がり周りを見渡しているが、親らしき人はいないらしくため息をついている。
 『心優しい』という公式設定通りなら、幸弥は迷子の子供を放っておけないのだろう。その場を去る様子はなく、どうするかと悩んでいる様子だ。

「‥‥‥‥はぁー‥‥すみません。通してください」

 俺は心を決めて人混みをぬってその場から去った。
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